064.天空の支配者
ソリダリスの空が、鉄の影に覆われた。
プロイン帝国が誇る空中要塞『レヴァイアサン』。
全長数百メートルに及ぶその巨体を中心に、数十隻の魔導戦艦がV字の陣形を組み、ソリダリスを見下ろしている。
「……ありゃあ、笑えねえな。
空に浮かぶ城そのものじゃねえか」
城壁に立つレオンが、忌々しそうに空を睨む。
プロイン帝国のやり方は、シトラスのように「正義」を謳いながら裏で細工するような真似ではない。
圧倒的な質量と火力で踏みにじる、軍事国家としての蹂躙だ。
『地上の大罪人たちへ告ぐ。
我がプロイン帝国は、列強連合の総意として、貴様らの即時降伏を要求する』
レヴァイアサンから響く拡声魔法の声が、街全体を震わせる。
『三つ数える。
答えがなければ、この街を地図から消去する。
一、二……』
「……三、は言わせねえよ!!」
俺は麻痺した右腕を左手で固定し、城壁の先端に立った。
全身の魔力を循環させ、ソリダリスの街全体を覆う氷の結界を最大出力まで引き上げる。
「――凍れ!!」
瞬間、空中で『レヴァイアサン』の主砲が閃光を放った。
太陽よりも眩しい魔導熱線が垂直に降り注ぎ、ソリダリスを包む透明な氷の天蓋と激突する。
凄まじい衝撃。
街が地震のように揺れ、天蓋にヒビが走る。
「がっ……、あぁぁぁッ!!」
直接、脳を焼かれるような衝撃が俺を襲った。
結界へのダメージは、そのまま俺の精神と肉体への負担となる。
右腕から広がる凍傷のような紋様が、首筋まで這い上がってきた。
「ガルシア!
無理だ、一人で受け止めるには出力がデカすぎる!」
「……黙って見てろ!
俺がやらなきゃ、この街の民は一瞬で蒸発するんだよ!!!」
歯を食いしばり、魔力を捻り出す。
空では、艦隊から無数の降下艇が射出されていた。
それは人工勇者のような異形ではない。
プロイン帝国が誇る、魔導重装甲に身を包んだ精鋭『飛翔騎士団』だ。
彼らは空中で姿勢を制御しながら、氷の天蓋の「割れ目」を目掛けて次々と着弾し、結界を物理的に破壊し始めた。
「ハデな空爆だけでなく、歩兵による地味な攻撃まで合わせてきやがるとは!
チッ、ちゃんと軍隊してやがる……」
レオンが指揮刀を抜く。
「ソリダリス防衛隊、全軍戦闘開始!
結界を直接攻撃している騎士どもを一人残らず叩き落とせ!
ガルシアをこれ以上削らせるんじゃねえぞ!」
地上では、街の守備隊とプロインの飛翔騎士たちが激しい白兵戦を開始した。
だが、俺の視線は空を離れない。
レヴァイアサンの二番砲が、すでに充填を終えようとしている。
「……カイル、あと三日だと? 笑わせるな」
俺の視界が赤く染まる。
鼻から血が滴り、意識が遠のきかけるが、俺は自らの肉体をさらに強く凍らせることで、無理やり神経を繋ぎ止めた。
「一日……
いや、一時間も持つかよ、こんなもん……!」
再び、天空から光の柱が降り注ぐ。
俺は絶叫と共に、凍りついた右腕を天へ掲げた。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「今後どうなるの!?」
と思ったら、
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いします!!
面白い!なら☆5つ、つまらない!!なら☆1つ、
正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です。
ブックマークも頂けると本当にうれしいですし、はげみになります!
よろしくお願いします!!






