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異世界でも凡骨は希う  作者: 日暮キルハ


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凡骨は振り返る

 ギルドに戻って事態の報告。

 報告を受け次第、ただちに子鬼迷宮(ゴブリンダンジョン)は閉鎖され、他にもミノタウロスがいる場合に備えてミノタウロスを単独で問題なく討伐できると判断された金級以上の冒険者が派遣された。

 その結果、迷宮(ダンジョン)に他にミノタウロスは存在しないことが確認され、存在したのは先生によって炭と化したミノタウロスの死骸ともはや誰のものかすら判断の難しい複数の肉塊だけだった、らしい。


「……レベル、結構上がったな」


 諸々の報告を聞いたのは数日後の話。

 迷宮(ダンジョン)は即座に閉鎖されてしまったので、報告を済ませたあとはすっかりやることもなくなってしまい、念のための待機をしながらバタバタとギルドの職員さんが駆け回るのを眺めていた。

 ニトロさんとドールさんは先生の回復スキルで命に別状はないものの報告ができるような状態ではなかったし、先生は先生でいつの間にかすっかり冒険者としてのランクを上げたらしく集まった冒険者やギルド職員さんに話しかけられていて忙しそうだった。

 そんなわけでしばらくはバタバタと忙しそうに駆け回る人々の様子を眺めていたのだけど、三十分もすればそんな状況にも慣れて飽きがくる。

 とはいえ帰っていいとは言われていないので手持ち無沙汰でなんとなく開いたステータスを見てみれば思いがけずレベルが上がっていた。


 迷宮(ダンジョン)の魔物は通常と比較して手ごわい。

 それだけに討伐した際に得ることができる経験値も多くなることは知っていたが、ここまで効率よく経験値を稼ぐことができるのであれば今後はもっと積極的に迷宮(ダンジョン)に潜るのもありかもしれない。


 ステータスに表記されたレベル23の文字は死にかけたということすら忘れさせるに十分なインパクトを有していた。

 冒険者として活動を始める前のレベルが7。

 冒険者として活動を始めて今日まででレベルが20まで上がった。

 そして、今日一日でレベルが23まで上がった。


 ここから先、レベルの上昇に必要な経験値が増えていくのでこのペースを維持するのは難しいだろうけれど、それにしたってここ一週間でのレベルの上がり方は凄まじいものがある。

 ステータスもそれに比例して一週間前とは比較にならないくらい上がっているし、スキルポイントも多少溜まっているのでこれでまた戦略の幅が少し拡張できる。

 この調子なら、クラスメイト達に最低限レベルだけでも追いつくのは夢物語でなくなるかもしれない。


 もっとも、あくまでレベルやステータスがそうというだけで、ギフトやら実戦経験に基づいた指導による差なんかはあるだろうから油断はまったくできないけれど。


「どのスキル取ろうかな」


 これまでに取得したスキルは「フリーズ」「ファイア」「ウィンド」「ウォーム」「ショックボルト」「クリエイトアース」「フラッシュ」「シャドウ」「スライス」「強拳」「ハイド」「センス」「パワーアップ」「マジックアップ」「ガードアップ」「メンタルアップ」「スピードアップ」「ラックアップ」「アップセンス」「ダウンセンス」「パワーダウン」「マジックダウン」「ガードダウン」「メンタルダウン」「スピードダウン」「ラックダウン」「シールド」「キュア」「レスト」の三十種類とパッシブで常時発動するステータス強化「HP強化」「MP強化」「ATK強化」「INT強化」「DEF強化」「RES強化」「VIT強化」「AGI強化」「LUK強化」の九種類。

 並べてみるとそれなりに多いように見えないでもないが、実際のところこれらのスキルのほとんどはスキルの系統ごとに分離したスキルツリーの最初の一つに位置するもの。


 つまり、取得に必要なスキルポイントが少なく、その効果も極めて弱いものばかり。

 凡骨のギフトに与えられた数少ない長所である「一部スキルの取得に必要なスキルポイントの減少」を活かそうと考えた時に対象となるスキルのほとんどはこういった安かろう悪かろうなスキルとなっている。

 とはいえ、単発ではともかく組み合わせ次第で多少は使えるスキルや状況によっては使えないこともないスキルもあるので結局のところは工夫次第なのだと思う。

 まぁ、結局あれこれと考えて工夫するよりもシンプルに強いスキルを押し付けてねじ伏せる方が圧倒的に汎用的で強いのだけど。


「……何に使うかはあとで考えるとして、とりあえず補正がかかるスキルは全部とっておこう」


 ないものはない。

 後追いを避けるという意味でも下手に上位スキルの取得を目指すべきではないはずだ。

 そんなことをしたところで追いつけるわけもない。

 であればせめて、広く浅く他のクラスメイトには持つ必要のない幅広い対応力を身につけたいところだ。


 結局、幸いなことに新しく取得したスキルをどう使うかを考えるのに忙しくて、帰っていいと言われるまでにそれ以降暇を持て余すようなことはまるでなかった。

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