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月影のエレメンター〜設定編Extra〜  作者: ハイエナ=エレメント
『魔境書』地理志
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政治体制・トイラプス帝国

 今日は9月9日ということで、五節句の一つ「重陽」の日です。

 現代日本ではもうあまり馴染みがないかもしれませんが、平安時代には中国から伝わっており、宮中の年中行事として観菊の宴が催されていました。菊の節句です。


 実は、9月9日は日本で初めて「律」と「令」がそろった「大宝律令」が制定された日でもあるのです。

 701年9月9日のことです。陰暦だと大宝元年8月3日ですね。


 という訳で、大宝律令の「令」にならって、法律ではありませんが行政についてまとめました。

 トイラプス帝国の政治体制を解説する上では、まず、文の「雪月花」を説明しなければならない。


 文の「雪月花」とは、政治や経済、学問など軍事よりも内政に優れた手腕を発揮する一族のことを指している。

 また、いずれの家も望月もちづき家の始祖たる望月春朝もちづきはるともの血が流れている。


 雪は、羽林家と称されるヴァトリー家。

 月は、摂家または摂関家と言われる望月もちづき家。

 花は、清華家と呼ばれる江月こうげつ家。




 ちなみに、羽林家、摂家、清華家など公卿の家格を表す言葉は、この三者を表現する上で用いられるイメージであり、必ずしもそのまま当てはまるという訳ではない。

 また、大臣家は「鳥」のおおとり家と「風」の青嵐せいらん家とされている。






 以下、五大家は雪、月、花、鳥、風で表記する。


 月の家は、政治家や資本家、企業家が多く、中央政府の重職も月の一族が占めていることがある。また、軍人にも数多の優秀な人材を輩出している。


 建国当初から存続する一族であり、その始祖が建国の立役者、戦争の英雄、皇族の外戚でもあるので、政治権力は非常に強い。しかし、それに比例する様に忠誠心も高い。

 だが、その忠誠心は主に皇帝というよりは、帝国民に向けられたものである。そのため、二代目皇帝の頃から既にトイラプス帝国皇帝の権力を弱体化させ、民草の暮らしを安定させようとした。

 同時に、中央政府の権力を高め、中央集権国家にすることに成功する。






 花の家は、月の家の分家からできた家であり、女性が多い。

 軍にも優れた人材を出しているが、その本質は政治であり、官僚になるエレメンターがほとんど。高い調整力で、クロノス暦2200年代からトイラプス帝国の安定性を保って来た。


 また、眉目秀麗な女性が多かったため、雷帝の頃から外戚の地位を月の家から奪う。しかし、月華げっかを皇帝から賜ってから、多産になったが女性が多く、その大半が子どもの安寧を願う者ばかりなので、それほど強権で政治に参与をしたことはない。


 ちなみに、魔境では地球に比べて性差別が極端に少ないが、それは花の一族の功績、とは世間一般の認識である。






 雪の家は、元はフレア帝国の貴族の一つであったが、皇女との結婚によりトイラプス帝国の貴族となる。


 希少魔法を学び、その異常な適性の高さが皇帝の目に留まり、直属部隊・特殊部隊としての地位を与えられた。そのため、当初は近衛隊や諜報部隊としての役割を担い、重宝されていた。

 しかし、精鋭とは言え少産な上、あまり戦闘に向いていないからか、それ以上の功績を上げることはせず、ほとんどのエレメンターが早々に隠居した。仙人となったことは知られているが、神聖化された場所で修行を行っているため、その存在を実際に知る者はほとんどおらず、伝説化されている。


 四十世紀末期の三帝=魔王大戦後に誕生した涼羽りょうが、他者を寄せ付けない程の功績を打ち立てると、雷帝は彼のためだけに新たな部隊を創設し、その部隊、SVMDFが大きな力を持つ様になる。


 その息子、秀羽しゅうはわずか一歳で読み書きを覚え、神童と言われる。二代目SVMDFの隊長となり、内政に手腕を発揮すると、さらにSVMDFの力は増大し、その状態で彼の息子、玄羽くろうに引き継がれることとなる。

 その後、秀羽しゅうは宰相となり、政務に専念することとなる。


 そのため、現代のトイラプス帝国において最も政治権力が強いのは、表向きは秀羽しゅうがトップである内閣であるが、人気も合わせると実質SVMDF、特別諸般対策考案部隊である。






 鳥の家は、クロノス暦3060年に雷帝の三男が勃興させた家。






 風の家は、クロノス暦3080年に鳥の家の次男が侯爵となり、独立して生まれた家。






 トイラプス帝国の政治体制は立憲君主制に近いが、ワイマール憲法の様に緊急時には皇帝が全権を掌握することができる。

 しかし、それが発動したとしても、結局は内閣のトップがその全権を握ることになる。






 帝国民の小さい規模での選挙により、議員が出される。その議員が集まる議会では、地球の二十世紀初期のものに近い憲法に従って立法する。

 議会は上院の貴族院と下院の衆議院の二院制。 






 中央政府は内閣を中心に、宮省、農省、海省、工省、道省、商省、魔省、財省、外省、法省、東春軍を下部組織としている。


 魔省というのは日本の文部科学省とほぼ同じ役割を持つ省庁であり、エレメンターの育成が主な仕事。


 宮省は宮内庁、農省と海省は農林水産省、道省は国土交通省、商省は経済産業省、財省は財務省、外省は外務省、法省は法務省、東春軍は防衛省とそれぞれ似た役割を持つ。官僚の重役は花の一族が占めることが多い。


 内閣のおさは宰相(首相・総理大臣)であり、皇帝が議会の指名を判断基準に任命する。クロノス暦4096年時点での議長は月の家の明衡あきひら。また、宰相は雪の家の秀羽しゅう






 また、皇帝直属に近衛隊と特別諸般対策考案部隊(SVMDF)がある。


 前者は、滝口守屋たきぐちもりやが隊長を務める。隊員は2000人と少ないが、全員が精鋭である。


 後者は、玄羽くろう=ヴァトリーが隊長を務める部隊。人数は1000人で、所属するには優秀であるか、皇帝または隊長から気に入られなければならない。

 奇数は陽の数とされており、その数の極である9が重なっている今日は、と言ってもすぐに終わりますが、縁起が良い日なのです。


 ちなみに、前書きで菊の節句と書きましたが、キク科の植物であるシオンやそれに似たキク科の植物は英語で"aster"と言います。菊花をかたどった紋は皇室・皇族の紋章なのですが、実はアスタグレンスのasterアスタには、星だけでなく、そういう意味も含めていました。

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