↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/72

朝

ピピピピピと鳴る目覚ましを消してゆっくりと体を起こして、まだぼんやりする目をこすってのびをします。


昨晩は艦長にお渡しする報告書を遅くまで書いていたのでまだ少し眠いですが、時間なのでベッドから出てコーヒーを淹れます。どんなに忙しくても朝はコーヒー、昼は艦長の部屋で紅茶を淹れます。コーヒーは頭をスッキリさせるために、紅茶は少しの休憩と一旦のんびりと艦長と過ごすためにリラックス目的で飲んでいます。信濃には自動で淹れてくれる機械がありますが、あえて私自身で淹れています。だって艦長には自分の淹れた紅茶をお渡ししたいので、


 …さて、海賊艦隊の海戦から数日たちました。戦ったのが太平洋の真ん中あたりだったのと、信濃の損傷からして通常航行ができないので、速度を落として三笠や伊号型に牽引してもらいながら二ホンに向かっています。

とはいえ、信濃の哨戒システムは健在なのとクロトリ部隊と伊号型による哨戒で魚一匹見逃してません。そのかいあって今のところ緊急事態になりそうな敵は見つかっていません。


 自室にあるメールボックスを開いて何か連絡事項が来ているかチェクしながら入れたコーヒーを飲み干します。連絡事項はほとんどが修理に関することですね。皆さん物資は足りてるだけに人手が圧倒的に足りていません。今回の戦いでも人的被害は出ましたが、信濃が航行不可能になるほど減っていません。それでも足りないというのは今いる人数に主計課、航行課、機関課、魔導課等信濃で人数が減らせない課、非番でお休みの人、現在修理を担当している人達も引くと、信濃の損傷具合に対して修理している人が圧倒的に足りないんです。


 艦長達も見回りと言いながら物資の運搬など簡単な仕事を手伝ってくださっていますが、焼け石に水です。それほどまでに今回の戦いは苛烈でした。この航海は艦長達曰くこの世界を一周する予定と聞いています。そのことに反対する気はありませんでした。私たち自身航海することは好きです。


 ただ、この航海の先には何があるのか、一周した後に何があるのか、私には全くわかりません。

艦長達は元の世界に帰る方法を見つけるために航海をしています。私は見つかって欲しいと思っています。ただ、今回のような戦闘が今後数回にわたって起きた場合、修復する資材を計算するとそれほど何回も戦闘することができないということがわかります。

私は信濃も好きです。ボロボロになっても直すことが出来るなら戦闘に反対意見はありません。ですが、修復のめどが立たない、そもそも修復できない状態の信濃は見たくありません。


 そして、その先に元の世界に帰る方法が見つかったのなら艦長は……それなら……

ふと浮かんだ考えを頭を振って振り払う。

幸い、今回は私達以外にも三笠や伊号の人たちもいます。今まで頼めば喜んで人員を送ってくれます。

今もそれなりに送ってくれますが、この要求からしてまだ人員が足りないということでしょう。

その分報酬を用意しないといけませんが、向こうの要求を飲むには艦長と少し話をする必要がありますね。


 少しの憂鬱と艦長に会える予定が出来たという楽しみで少しウキウキしながら着替えをします。

この服は艦長が一から用意してくれた大切なものなので、洗濯、アイロンと手入れは欠かしていません。それにこの上着は艦長が川に落ちた時から持っている艦長の上着なんですけど似合っているからとそのまま来ているように言われたので勲章や腕章などを私仕様に変えて着ています。正直に言うなら今まで少し薄着で寒かったので助かっています。


 取り合えず、手持ちのタブレットに連絡事項と相談事をまとめてから部屋を出ます。信濃は重要な案件はタブレットに、需要じゃない案件は後に回せるけど視覚的にわかりやすい紙で送られます。


 この時間だと艦長はまだ艦長室にいるはずなので、中央エレベーターに向かいますが、修理中の個所でいつもの道は使え無いので少し遠回りをします。


 そうして信濃の損傷具合を見ると前々から思っていた心配ごとが頭をよぎります。私たちの行っているのはあくまで応急修理、本来はこのレベルの損傷具合はドッグで総メンテナンスをしなければなりません。しかし、ここにドッグはなく、私達だけで何とかしなければなりません。そして、その修理用の資材もそこが見え始めています。艦長と梵天丸さんの提案であの蛇もどきの装甲を溶かして修理用の資材にすることで今のところは大丈夫です。でも限界があります。航海記録と艦長達の話からすると大体半分まで移動できたと想定して、あと半分同じ損傷をした場合に資材が足りません。

三笠から使わない資材を譲ってもらう予定ですが、それでもこの世界に来たときの資材に比べれば微々たるものです。


 何とかしなければ…

タブレットを操作して考え事をしているとガラガラと音と一緒に曲がり角の向こうから台車を押した艦長出てきます。


「艦長!」


 ここで艦長に会えるとは思わず、少し上ずった声で艦長に声を掛けます。


「スーシア、おはよう」


 皆さんは艦長の表情が読めないと言いますが、結構声色や顔の角度とか見れば笑っていることは一目瞭然です。


「おはようございます。何故荷台を?」

「修復に必要らしくて主計課の子が運んでたんだけど、重そうだし他にやる仕事があったみたいだから代わりにこれを運んでいるんだ」


 艦長のそういうところは好きですが、艦長ですからそういうのはやって欲しくないのですが、そういうところが好きなので何も言いません。あとで監視カメラから艦長に頼んだ方を見つけはします。


「書類仕事はスーシアがやってくれて、戦闘以外の時は出番ないとはいえこの状況で椅子に座っているのは性に合わないからね。…そういえばスーシアはどうしたの?」

「そうでした。艦長にお話ししておきたいことが」

「では、移動しながら聞こう」


 そうして私は艦長と二人で歩きだします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。