↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/72

ラム

「嘘だろ」

「嘘じゃないです。シャーロックさん死にたくなかったら早くフルバーストを」


 思わず出たっぽい言葉を一刀両断する。こんな瀬戸際で冗談言う余裕は俺にはない。


「…フルバースト準備!」

「了解、クロトリ隊は直ちに信濃から離脱!全員回収できる時間はありません」


 ゴゴゴという轟音と軋むように悲鳴に近い音を立てながら、なんか色々な部品かパーツを落としながら、信濃のクロトリの発射口が再展開する。ただし中身は発射兼収納用のカタパルトではなく、新風からもらったジェットエンジンもどき。エネルギはグンマ―にいる間に充電は完了しておいた。

 無論向こうも気がいて攻撃をするが、フルバースト用のエンジンは展開した信濃の装甲が盾になって直撃は避けられる。


「フルバーストエンジンセット完了、起動」


 低いうなり声と共にエンジンのファンがゆっくりと回りだす。装甲に当たる砲撃の爆発音に負けないほどの音量と振動が船体を揺らすほどになるころには他のフルバーストへの準備は終わる。

 ビービーとモニターの船体被害図が凄いことになっている。フルバーストの音と衝撃で船体のあちこちにダメージ表記が出ている。元々設計にない装置を強引に組み込んだ影響である程度のダメージなら信濃の構造上深刻な問題はないが、ここまでダメージがでかい状態でフルバーストは危険だったか。ただ今更止められない。


「フルバースト準備完了」

「総員衝撃にそなえろ」


シートベルトを締めながら言うと全員既にシートベルトを締めていた。はや!


『まもなくフルバーストが始まります。荷物と体の固定急いで下さい』


 俺が指示するまでもなく、スーシアが艦内放送でフルバーストに備えている。偉い


「艦長準備完了しました」


 やがてスーシアが完了知らせるのと同時に船体が艦首の直線コースに乗る。


「直撃コースまで3…2…1…今」

「フルバースト!」


シャーロックさんがフルバーストのスイッチを押すと爆発音と一緒に体が、背もたれに押し付けられる。

今回はバラスト排水による重心位置の変更に加え、並列砲で魔水を貯めているタンクが空だからその分速度に乗りやすいのだろう。にしても


「これ、思ったより速度出てそうだけど大丈夫?」

「……本当は融解しかけている個所に直撃するように計算したんですけど、これヤバいかも」



 グングンと敵艦との距離が縮まる。敵の主砲がこちらを追いかけているがフルバーストの速度に追いつけてない。このまま行けると思ったが敵も一番痛いところを回避するために速度を落とし始めた。

とはいえ、戦艦の速度は元々遅い。今更止めた所で直撃コースは変わらない。

対ショックはもうしている。


 艦首と艦首がぶつかり先ほどまで流星のような速度を出していた信濃も勢いを急激に落とし、内部にいる俺たちは前の方につんのめる形になる。シートベルトしといてよかった。信濃はフルバースト中舵が固定されるのでシャーロックさんが間違えて舵輪を回しても信濃の舵は変わらない。


 とはいえ、フルバーストは続いているのでここでは止まらずに敵の船を押しのける形で進み始める。

敵も一瞬動かなかったが火花を散らしながら自分の船がこすれている様子を味化で見たら、現在の状況を理解すると同時に攻撃が再開される。先ほどに比べて距離は近いのでラグもなく標準も外れない。弾道予測をする必要はない


 次々と砲弾が信濃に撃ち込まれ、黒煙と爆発音が信濃のあちこちから上がる。


「最後っ屁に副砲撃ち方はじめ!」


 主砲は全部使えないので、副砲で嫌がらせ程度の攻撃しかない。

 少しの時間の後に信濃が強引に敵の向きを変えながら進むと、遮る物がなくなり再び速度を出し始める。


「よーし」

「梵天丸さん?」

「観測できました…時間通りです」


 直後、突如敵船が閃光に包まれ、一拍おいて爆発音が信濃に響く


「な、なんだ?!」


 爆炎に包まれつつも見える船の姿は何とも不自然だった。艦首と艦尾がどっちも上を向いている。

折れているのだ。先のは三笠の列車砲による砲撃が並列砲によって熔けていた個所に直撃、勢いそのままに艦内で大爆発、弾薬庫とかその他諸々に引火しているのだろう。現に大きい爆発は終わったが、船の至る所から新しい爆発や、爆炎が吹きあがっているのが見える。


 こうなればもう戦闘どころじゃない。ただ、俺たちは船が沈むのを見るだけだ。助けたい気持ちもあるが、この世界の所業や行動指針には一切共感できない。

やがて、俺たちが見ている中で火災が消えるころには海上に船影が見えなくなった。


「勝ちか?」

「ああ、俺たちの勝利だ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。