この世界は
「こんにちは初めまして超々大和型3番艦信濃改艦長の春雷です」
「初めまして改装型敷島型4番艦三笠艦長のロクリンだ。まずは先の戦闘行動に対して謝罪を申し訳ない」
会談に答えてくれた艦長さんは艦長と言えばでイメージするような顎ひげを蓄えた海の漢と言った風貌だ。ちなみに会談場所は信濃の作戦会議室で俺とロクリンさん以外にはスーシアが出入り口で会話を記録しながらロクリンさんの様子を見張っている。
「いえ、狙おうと思えばそちらの主砲で艦橋を撃ち抜くことはできたはずなので手加減されていたことは理解できます。それに誠意として信濃の修復と物資の供給をしてくれているのと人的被害はなかったのでこちらも特に追及する意味はありません。その代わりに聞きたいことが何点か」
「ええ、お答えできるものなら答えましょう」
「ここは日本であっていますか?」
「あっています。何ならここは位置的には群馬県辺りに位置します」
まさか日本唯一の未開の地グンマ―だったとは……いやまて
「ここがグンマ―?確かグンマ―はどこにも海に面してない県だったような?」
ここが俺たちの知っているグンマ―なら信濃レベルの船がここまで近寄れるほど海があるはずがない。しかもざっと調べた感じ本州と呼ぶには陸面積があまりにも少ない。レーダーによると四国程度しかない。
「ああ、その辺りもきちんと説明するが、一つ聞きたい」
「なんです?」
「君はこの世界でどう生き抜いている?目的は?」
「答える必要あります?」
「ある。答えによっては俺らの敵になる可能性がある。それを見極めたい」
「……」
正直、答える意味を感じない。俺たちは戦闘に一応勝った勝者だ。こういうのは、向こうが先に言うべきなのではと思うが、むやみに敵を作る必要もないし特にデメリットも感じられないので素直に話す。元の世界に帰るために行動していること、そしてここに来るまでどう行動したのかを
「一応、私たちがどう行動したかはスーシア達が戦闘記録及び航海記録を保管しているので必要なら資料にまとめてお渡ししますが?」
「その必要ない。先ほどの話は真実だと信じよう」
「……」
「拍子抜けかね?それともそんな簡単に信じる馬鹿とでもおもっているのかな?」
「いえ」
「冗談さ。これでも見た目通り元の世界でも長生きしているおじいちゃんでね。嘘をついているか
どうかは言い方でわかる。君は本当のことを話している。隠そうともせずにそれ十分だ」
そこで言葉を区切り一旦出された紅茶に口を付ける。おじいちゃんなら緑茶の方がよかったかな?
「話そう。そして話を終えた後に協力してほしいことがある」
「さて、君はこの世界が俺たちが元居た世界に近い世界だとは理解しているな。グンマ―と聞いて疑問に思わなかったこと、先の行動からして未来か過去か並行世界かどれかと思っているだろう?」
「はい」
「俺達の見解は未来か並行世界のどちらかと判断している」
俺達も未来が可能性が高いと思っている。しかし、それでは説明できないことがあるのも事実だ。
「まず、北に何もないことは確認済み。北、俺たちの世界で北の果てにあったのは北極、そこの氷が全て溶けたら海面上昇が起きる」
「その可能性はもちろん考えました。しかし、それではシュミレーション結果と違う場所が出たんです」
「それだけならな」
「簡単な話だ。ここが未来の世界ならどうして文明が退化しているのか?未来って言ったらチューブの中を走る電車に青い寸胴ロボットとかがいる世界を想像するだろ?なのにこの世界は航海技術すら向こうで蒸気機関がやっと出てきたくらいだろ?ここだとまだ文明的には鎌倉時代レベルだ。なぜ文明が退化したか、意図的にはありあえない。人類世界が滅ぶとしても文明を退化させない。ならば」
「意図しない結果、文明が退化した」
その意図しない出来事は何となくだが予想がつく。
「ああ、どこぞの天才はこういった。『第三次世界大戦でどのような兵器が使われるのか私は知りません。ですが、第四次世界大戦は石と棍棒によって戦われるでしょう』と、本人はブラックジョークのつもりだったのだろうが実際に起きてしまったということだ」
「つまり、この世界は世界規模の戦争が起きて文明が破壊された結果だと?」
「そう俺たちは仮定して周辺海域の調査を行った結果、ここから250kmほど北東に行った先で普通より高い放射能を観測した」
「放射能」
「そして観測された地点とここの座標を星から測定し俺たちの世界の地図とあてはまてみた。結果、ここがその地点は元の世界ではフクシマの原発だった」
「……な」
「原発があったのならここは少なくとも未来であると俺たちは判断した。そして、一緒に転移したイ号型の方と協力してここを拠点にしながら調査を継続した結果、原発があるはずの場所以下他の座標数か所に爆発物によって発生したクレーターがあったのを確認した」
そう言ってロクリンさんが地図に印をつけた後にもう一つ俺の知っている日本地図にも印をつけていく。
「爆発によって地形が変形結果、海面上昇の個所が変わっていたと」
ロクリンさんは印をつけながらも深くうなずく
「そして、戦争による文明の退化、この二つは同じ時期に起きている。つまり地形が変わる程の戦争が発生、その際の兵器によって南極の氷が解けて、激化によって文明が退化、再興した人類の今に自分たちが転移したとそう俺たちは考えている。なぜ転移したのか?どうして転移したのかはわからないがな」
「なるほど」
「だが、この転移が意図的、いや人為的なものだと俺たちは考えている」
「え」
転移とかそういうのってラノベだと大体神様がうっかり殺したりしたとかじゃ……。ゲームでの転移はべつだけど
「ちゃんと理由がある。ただその理由を説明するにはちとここじゃ難しい。俺たちの船に来てくれねえか?」
タラップを飛び降りて三笠の甲板に降りる。三笠は明治時代に建造された戦艦で俺たちの時代では現存する唯一の日本戦艦だった。俺自身は遠かったのもあり三笠に乗ったことはないが画像の通り元の三笠に近い形をしている。マストの列車砲以外
「見せたいのはこの列車砲のことですか?」
「そうだ。何でゲームになかった列車砲があったのか。結論から言えばこの世界にあった代物だ。列車砲名前は『エーリッヒ』、幻の3番目の80センチ列車砲って設定らしい…ほらここに刻印がある」
ロクリンさんの指さすところを見れば『Erich』と刻印されているのが見える。その他書かれているのは80cm列車砲である事とかが書かれている。
「俺たちがこれを見つけたのはこの島のご神体として島民に祭られていたところだった」
最初この島に転移した三笠と乗組員たちは暖かく島民に迎えられた。ここでは金属の乗り物に乗った人は神様であり、我々を救ってくれるとかいうよくある感じの信仰内容だった。ちがかったのはご神体として案内されたのがこのエーリッヒ他多数の戦車が収納されている格納庫だった。
「格納庫」
「そうだ。明らかに時代に合わねぇ代物が大仏様みたいに祭られてて驚いたが調べてたりしてもっと驚いた。何せそこに合った代物も転移物だったんだからな」
そして当たり前に戦車に搭載されていた無線機や録音機から当時の会話内容、島民の事情徴収など徹底的に調べ上げたさらに島内外、海域の状況を精査した結果。
「この世界には定期的に転移者が現れている。それもゲームからだ」
無論同じゲームからではない戦車、サバイバルと様々なゲームから転移してきている。そしてそのどれも元の世界に戻れずにこの世界に骨を埋めている。
「……これがこの世界で俺達が調べて判明した事実だ」
「……」
俺は言葉が出なかった。異世界ではなく俺たちの未来の世界であったことではない。元々話し合いで梵天丸さんから出ていたしある程度そうであるという過程で動いた時もある。どれも元の世界に帰れなかったということが俺にダメージを与える。
「それで、話があるのだが」
「あ、はい」
軽く頬骨を叩いて気持ちを切り替える。
「俺達と一緒に倒してほしいやつがあるんだ」
「一体、何を?」
「太平洋を牛耳っている戦艦ドレッドノーズ率いる。海賊艦隊その駆除だ」




