沖ノ鳥島
「まさかリギースの追手が来るとは」
急いで艦橋に戻った俺たちがモニターで見たのはリギースの旗印を掲げたボロボロのガレオン船だった。正直最初見た時には幽霊船か何かだと思ったが、取り合えずクロトリ部隊を出して偵察を出したが近づいても反撃はなし、乗船許可を出して乗り込むと死屍累々と言った感じで倒れていた。
一旦撤収してイユさん達アンドロイド部隊の救護活動と同時に船内の調査して、リギースからここまでほぼ補給なしでここまで来たことが分かった。
「しかもほぼ世界半周してくるなんて結構な一大イベントですよ」
「まぁその結果、ご覧のあり様だ」
ほぼ未開拓の海を強引に進んだ結果、壊血病やら衛生環境が終わっていたので伝染病と全滅のカウントダウンを全力疾走していたので、取り合えず救助と看護を優先的に行動している。何が目的か知らないが、流石に死にかけている相手を放置することは出来ない。
「取り合えず間に合わなかった人以外は全員無事に治療が進んでいます」
「一応、問題があっても対処できるようにしてね。リギースとはあの別れ方をしたから」
「わかっています。既にクロトリ部隊を配置済みです」
流石スーシア仕事が早い。あの女王様の性格上強引な手段を取る気はしないけど、船にあの偉そうな人がいたから少し警戒している。
「一応、意識が回復したら教えて」
「わかった」
医務室から出て行って艦橋に戻る。既に赤道祭の装飾は取り払っている。修理もメンテナンスもすべて終えて完璧に近い信濃に戻った。
「おかえりなさい、リギースの人たちはどうしました?」
「とりあえず、意識戻るまでは後回しにしましょう。目的もわからないんので」
「……まぁ、そうですね」
正直、待つことも出来るが、せっかく赤道祭で気持ちを切り替えたのだからここでダラダラしたら意味がなくなる。
「というわけで機関始動」
「機関始動、HGエンジンスタート」
「目標、日本へ向け信濃抜錨!」
「間もなく沖ノ鳥島があるとされる座標を通過、日本の排他的経済水域に侵入します」
赤道祭が終わり俺たちは北上を続けている。目的地は変わらずに日本だ。マレーシアから少し遠回りをしてパプアニューギニア付近から北上して日本の最南端、沖ノ鳥島付近まで来たはずなのだがなんもない。元の世界だとほぼコンクリートの塊の島があるはずなのだが何も見つからない。
「流石にありませんでしたね」
「私がいた時でもコンクリートで厳重に守られていましたから、元の世界から結構たっているなら少なくともリギース位の技術がなければ海に沈んでますよ。一応日本が健在なら自衛隊の飛行機がスクランブル発進してる頃ですね」
確かに流石に人の手が入らなければ波がコンクリートを削っているか。
「とりあえず、丘が見えるまで現在の速度を……」
「ソナー反応アリ!!魚雷です」
「え」
直後に爆発音とともに船体が大きく揺さぶられた。まずい被弾したか!
「艦尾に被弾!航行に支障なし!!」
「船影確認できず!」
つまり潜水艦、一番面倒でイライラする相手だ。
「雷跡も確認できず酸素魚雷です」
「また面倒な!」
捕虜?もいる状況で戦闘は避けたい。それに潜水艦ならこちらの最高速度以上の速度は出せないはずだ。ここは戦闘を回避する。信濃3モードの3番目を使うときが来た。
「逃走します」
「しっぽ巻いて逃げるのか!」
「進路をふさがれているわけでもない、ここで戦闘する理由がありません。機関最大出力、魔水は艦尾の分を残して機関に回せ!」
「了解したわ、機関出力最大」
「艦橋変形開始、信濃を高速艇モードに移行し振り切ります。」
信濃は基本形態の戦艦モード、対抗意識で作った潜水艦モード、そして逃走用の高速艇モードがある。今回は逃走用の高速艇モードを使って一気に逃走する。
「了解しました。信濃、高速艇モードに移行開始、艦橋変形、艦底エアー充填開始」
高速艇モードは、外見上は潜水艦モードと同じで艦橋を前方に倒している。これは一応空気抵抗を減らす目的があるが、ゲームの時は完全にフレーバーだった。それと高速で航行できるように艦底に空気穴があり、そこから気泡を発することで水の抵抗を減らせる。というより、これがないと高速を出せない。
「魚雷反応アリ」
「回避行動の必要はない!コバンザメで迎撃お願いします」
『任せな!』
後部で水柱が上がる。このままコバンザメに任せれば大丈夫そ
『あ』
「え」
「迎撃漏れで数発直撃コースの魚雷がきます!」
うそん
「衝撃に備えろ!!」
またしても船体が揺れる。どこかでガラスが割れる音が聞こえた。
「両舷後部へ被弾を確認」
「魚雷の2,3発で戦艦が沈むか!スーシアあとどのくらい?」
「エアーの充填完了しました。機関ともバイパスつながりました。タイマーセット完了、いつでもいけます」
よし、間に合った。スクリューは無事みたいだ。
「よし、エアーと同時に音響魚雷発射!相手の耳を潰します」
「わかった!艦尾魚雷発射管に装填、起爆はまかせる!」
「……よし、カウントダウン開始!」
「了解しました。5…4…3…2…1…高速航行開始!」
ガクンと船体が上に上がり艦首の喫水下部分が見えるようになる。乗り物でいうならバイクがウィリーしている状態だ。速度が上がりエアーにより海面をすべるように航行したことでこうなった。問題というか欠点は船体が持ち上がった状態で航行していることで重心が上に上がり、左右への旋回ができないことと、横からの攻撃で横転しやすくなっていることだ。
その代わりに得た速度は駆逐艦でも追いつけない速度、ましてや海に潜っている潜水艦じゃこの状態の信濃には追いつけない。
だが、今、新たに欠点が判明した。ものすごく揺れてヤバい!!




