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もしかしたらの未来

「漂流艦?」

「はい」


 深夜突然艦橋からの通信が入り、何事かと思い。向かったさきにいたスーシアからの報告を聞く。なんかいつもスーシアが夜の当直を担当している気がする。ちゃんと寝ているだろうか?俺は心配だ。


 それ今は置いといて現在の位置から数十キロの地点にレーダー反応があったそうだ。ちょうど哨戒中だったクロトリ部隊の一機を向かわせたところ反応のあった地点に船らしきものが発見、報告、俺に連絡、相談の流れになったようだ。


「いかがしましょうか?クロトリの報告ですと信濃のような戦艦ではなく輸送艦のような形状をしているそうです」

「航海灯は?」

「点いていません。また乗務員も今のところ確認できてないです」

「ふむ」


 航海灯は車でいうヘッドライトのようなもの、海の上での事故を避けるためにお互いに位置を確認できるように、自分の位置を教えるものだ。ゲームでもフルダイブ型だと補正をかけても割と見えにくかったりする時もあったから信濃にも装備されている。


 それを点けないのは戦闘中だったり非常事態になっていたりするとつかない。それだったら信濃にも攻撃が来てもおかしくはないのだが今のところ魚雷もエネルギー反応もない。レーダーも反応はない。

潜水艦みたいに潜っていたらわからないが、戦闘の可能性は少ないとみる。


「その船の向かう先は?」

「それが……エンジンも切られているようで、ただ海流に流されているみたいです」


 エンジントラブルでさまよえるオランダ船にでもなったか?けれど救難信号が出てないようだし、この世界で救難信号とか意味ないと思って使わなかったとか?いや、使うだろ普通。クロトリの子が撮った船の外観は真っ暗で見えにくいが、特に損傷している様子もない。うーむ謎だ。

謎だが放っておくこともできまい。

本当は皆に相談したいが漂流が何日続いているかわからない。なるべく早く向かったほうがいいだろう。


「スーシア進路変更、目標不明艦。不明艦の調査と救助」

「了解しました。自動航行システム副長権限で変更、座標入力、第一船速で航行、救助部隊も編成します」

「それと一応、第一種戦闘配置、もしかしたら敵が来る可能性もある。警戒を厳にして」

「了解、警報アラーム作動します」

「え、あ、いやまだ到着まで時間あるしそんな焦らなくても……」


 ポチ


 瞬間、けたたましい警報が鳴り響きランプが点滅し、艦内が騒がしくなる。これで外には音が漏れてないのだから防音すごいんだろうな。


「総員第一種戦闘配置、本艦はこれより漂流したと思われる船に接近する。万が一にそなえ総員戦闘配置、繰り返す総員戦闘配置」


 スーシアのアナウンスを聞きながら、今までゆっくり休んでいた子たちに謝罪する。ごめん。でも考えたらゆっくり起こしてたら時間かかるよね。





「……なるほど、それで僕たちが起こされたわけですね」

「はい、その通りですシャーロックさん」

「確かに航海灯もつけず、救難信号もない。警戒して当然かと思います」

「にしても警報アラーム慣れねぇな。家の目覚まし程度なら絶対起きない自信があったんだが」

「いや、起きなさいよ!私は嫌だからね。目が覚めたら海の底とか!!」


 各自寝たときの格好のまま急いできて文句も言わずに作業を始める。頭上がらない。

 ……シャーロックさん寝るときはパンイチ派なんだ。


「まもなく、不明艦までの距離が2キロを切ります」

「減速、探照灯照射開始。シャーロックさん、信濃を横につけてください」


 信濃に設置されている探照灯が船を照らす。報告通りタンカー、輸送船のようだ。信濃よりも一回り小さいが300m弱くらいありそうな船体と甲板には色とりどりのコンテナが敷き詰められている。


『こちらは超々大和型三番艦信濃改、そちらの所属と状況をお答えいただきたい』


 船外スピーカーを使ってタンカーに呼びかける。周りに敵が潜んでいたら自殺行為だが、探照灯使っている時点で自殺行為なので開き直って使っている。が、


「春雷さん、これは」


 探照灯に照らされた甲板に映るのは骨、骨、全身が白骨化した人がコンテナ近くで力尽きてるように見える。俺みたいに骨でも生きている可能性はあるかもしれないが、どれも動いていない。中には頭のない骨も見える。


「……シャーロックさん信濃を接舷させて救助部隊を出してください」

「……わかりました」

「スーシア、遺体はドライのところに送って検死させて」

「了解しました。直接指揮するので私も向かいます」

「一応、武装して」

「……承知しました」


 スーシアが一礼して艦橋から出ていくと思い空気のみが艦橋に漂う。


「白骨化してるとするなら、天候にもよりますが死んでから1週間前後は経過してますね」

「ということは最低でも一週間以上は漂流していたということですか、いったい何が」

「そのあたりも追々わかるでしょう。ドライさんはともかくイユさん達はベテランですから」


 あいつは藪だけどイユさんは知識に関してもプロだし間違えないだろう。


 とはいえ、現状でもわかることがある。死体がきれいに残っていること、船に外傷が見当たらないことから攻撃によるものでもない。もし攻撃なら骨がきれいのに残っているわけがないし、船体に何かしらの損傷があるはずだ。損傷がないということは外的要因ではなく内部からの何かが原因ということになる。

一体何があったんだろうか


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