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時間稼ぎ

「機関全速!!直列砲発射シ―クエンス開始!!」

「了解、発射シークエンス移行、砲手の避難を確認、主砲副砲連結」

「主砲三番二番に魔水注入開始、機関と直列砲にエネルギーを優先して回します」


 照明が落ちて潜水艦モードと同じく非常灯が点灯する。もし、機関が停止することになってもサブで起動できるようにするためだ。


「今回は最大火力を確認する目的もあります。エネルギーチャージは目一杯で」

「了解、あそび分エネルギー120%までチャージ同時に沸騰開始」

「クロトリ部隊準備完了」


 漆捌さんから報告が上がる。直列砲で撃破できなかった時、信濃の機能が回復するまで時間を稼ぐ必要がある。そのためと直列砲発射まで信濃に攻撃を向けさせないためにクロトリ部隊を展開することにした。とはいえ、このまま展開するわけではない。


「噴煙式ミサイル発射、同時にクロトリ部隊展開」

「両舷展開クロトリ離陸します」


 敵が何をもって俺達を認識しているか分からないが熱だろうがカメラだろうが噴煙式の煙はそこそこあったかい。熱源もカメラも一時的に使えないだろう。クロトリ展開中に攻撃が当たるのは避けたい。向こうが無人機ならこっちを補足できないのに攻撃して自分を壊すこともしないだろう。


「クロトリ部隊全機発艦完了」

「全機作戦通りだ。今回は敵は落とさない。だからこっちも勝手に命を落とすな」

『了解、各機行動開始』


 海上を滑るように走る18機の水上バイク、36人の部隊員

 彼ら彼女らの目的は敵のロボに発信機を付ける事、直列砲は強力だが四門分のエネルギーを砲身は異常な加熱によって使い物にならなくなる。もし、この直列砲で異能停止まで追い込めなかった場合、全力で離脱必要があるので転ばぬ先の杖として発信器を取り付ける。それも信濃のチャージが終わるまでの時間だ。


「だが、この時化具合まともな戦闘なぞ無理に近い、時間稼ぎも兼ねているから、早く終わるもの問題だが無理する必要もない。発信器を付けることに集中するぞ」

「なるほど、だから今回は装備がこれなんですね」


 そう言って後部座席に座っているナラが自分の獲物を軽くたたく。今回は、メインにアサルトライフル(実弾)を持ってきている。魔水は信濃のチャージを優先するために使われているので使用できなかった。一機だけなら支給されたかもしれないが我々は全部で18機、バイクの燃料にも魔水が使用されていると考えればいっぱいいっぱいなのだと容易に想像できる。

「今回は発信器を付けるだけ、敵を沈める必要はない。そういう考えだ。……さて」

『こちらロメオ、発進完了しました』


 クロトリのけつが出た。これで全機無事に発進できたということだ。


『了解、こちらアルファこれより作戦行動に移る。総員敵を取り囲むように散開!』


 俺の号令を聞き部隊がきれいに別れ左右から回り込むように距離を詰める。敵機の火力はこちらを一瞬で消し飛ばす火力、一点にまとまったらいい的である。そこで、全機別々の角度から回り込み距離を詰める。さらに回り込むことによって噴煙式ミサイルの煙で視界がふさがれることもない。敵機の姿は見えないがこちらの視界は確保されている。

とはいえ、むやみやたらに撃たれでもしたらたまったもんじゃない。姿がまた確認できるまで発砲禁止している。


 慎重にだけれど最速で包囲網をすぼめていく、そうして最後に確認できた地点まであと半分といったところで煙の向こうに光る何かが見えた。


「奴さん、目だけはいいみたいだな」

「隊長そんなこと言ってる場合じゃないよ」

「わかっている」


 光で照らされている部分から想像するに銃口はこちら向かずに信濃に向けている。こっちは眼中にないってことだ。目はいいのに節穴だな。


「事前の打ち合わせ通り、総員発砲許可する。奴の注意を引け」


 後ろから発砲音が聞こえる。この蛇は今のところ口からのビームしか撃ってこない。攻撃が着弾した後もビームしか撃って来ないところを見るに奴さんの武器はビームしかないようだ。

そしてビーム兵器は内部への攻撃が内部への誘爆を誘える。信濃程砲身が長いと狙えないが、この蛇は砲身がほぼない。なら不可能ではない、当たらなかったとしても向こうの注意をこちらに向ける。

銃口から撃ちだされた弾丸が行儀よく一列に並んで蛇の口に飛んでいく。飛んで行った弾丸の内いくつかは蛇の口に入ったが弾が小さいのが原因か大したダメージは入ってないようだ。


 しかし、向こうの注意はこっちに向いたようだ。

口の光がこちらに向いたのを確認して、突っ込む蛇の動きは横によく動くが縦の動きは特に下には大きく動けない。だから横に移動するよりは突っ込んだ方が当たりにくいはず、だからこそ突っ込んでみたのだが思ったより首が下がるなぁ!

部下たちが撃ってはいるがほとんど無視に近い。

だが、それでいい。


「こちらヤンキー、発信器を取り付けた」


 こうやって注意を引くことで発信器を付けやすくしているのだ。だが、つけたのは表面だけ、一個だけでは外れる可能性があるだから全員とまでは行かないが半数が発信器を取り付けるまで注意を引く必要がある。

もう少し頑張るかぁ!!!


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