泣きっ面に……
ブックマーク、評価ありがとうございます。
「まーだ、追ってくるんですけど!春雷さん!!」
後ろを見れば土煙を上げながら追ってくる何か、ビームは射程圏外なのか撃って来ないが諦めずに追いかけてくる。
ここからは土煙が邪魔で見れないがラクダや馬ならとっくにへばってもおかしくない。まぁブロロロとか聞こえてるし、走ってるの生き物じゃないでしょ……多分
明らかにラクダとかじゃ無理そうな挙動でこっちの銃撃躱してたし、バイクかな?とはいえ、このまま目的地についても調査どころじゃない。できるなら引きはがしたいけどこっちも出来る限りの最高速度で走っている。こちらは水上しか走れないから動ける範囲も限られている。
そして、こっちの攻撃はかわされると……詰みでは?
一応今までの攻撃から向こうは船のエンジン部分当てようとしているのがわかったが、だからどうしたが今の気持ちだ。何でこっちのエンジンを狙っているのか、エンジンの存在を知っているのか?知りたいが今は何とかしないと。とはいえいくら考えても現状を何とかする打開策が思いつくわけでもなく時間がただ過ぎていく。
「……本当にどうしよう」
そうこうしている間にも攻撃による水柱があちこちから上がっている。このままだと当たる。そう思ったときにスーシアが何かを見つけた。
「艦長3時の方角より砂嵐です!」
「まじで?」
スーシアの見てる方向を見ると確かに茶色い壁がこっちに迫ってきている。あれって砂もそうだけど嵐の中もとんでもない高温になってるんだっけ?
クロトリの子たちはヘルメットとライダースーツを着ているので大丈夫なはず。一応ゲームだとジャンルは鎧になってたから、耐久性と耐熱性は折り紙付きちょっと怖いけど、今からはどうすることもできないので信じるしかない。
どちらにしても数メートルも見えなくなるから一回止まらないと、流石に全力で対岸に乗り上げたら目も当てられない。
……いや、待てよ
「……梵天丸さん、砂嵐に入った直後に反転180度して川を下ってアレに接近します」
「は?正気ですか?今突っ込んだら砂嵐の中、接近しますよ?」
「知ってます。砂嵐なら向こうも動けないはず、そこを撃ち抜きます」
「視界最悪ですよ。砂嵐で防塵対策出来てない春雷さんの銃でも撃てて一回、のこりはシリンダー内の砂が高熱でガラスが邪魔で撃てませんよ」
それよりも砂嵐の中で敵をやり過ごす方が現実的だ。
けれど、やり過ごしたとしても後々にまた祖遇する可能性がある。こちらが水上を移動手段にしている都合上どうしても移動範囲は限られてしまう。こちらの地上での移動手段は徒歩しかないから必然的に地上で遭遇したら逃げられない。
俺たちが進むなら倒しておいた方が都合がいい。
「たとえ一発でも敵を減らせるならマシでしょう。どうせ自分に射撃の才能はないですから、この後使えなくなっても問題ありません。」
「だとしてもこの砂嵐まともに目も開くことも、呼吸することも難しい。ゴーグルをつけたとしても難しいでしょうね」
「知っています」
けれど出来る方法を一つだけ知っている。
「自分目玉ないんですよ」
「あ」
そうこの世界に来て大体1か月、なんだかんだ慣れてきたが今の自分は外見骸骨なのだ。たまに自分も忘れて鏡見てビビったりする。
「この前お風呂に入った時に実験したんですけど自分肺もないのでずっと潜れましたしなんならシャンプーが目のところに入っても痛くなかったので多分、砂嵐でも問題なく見れます」
「じゃあ何で喋れてるんですか?」
「それは自分にもわかりません」
それは本当に謎、何で目がないのに見えるのかとか脳とか内臓ないのに生きているのか俺もわからない。
「ともかく、視界とかは気にしなくていいんですね?」
「見えるかはともかく大丈夫です」
「とはいえ、当たらなければ意味がない。砂嵐で当てる自信が?」
「それは……」
「私がスポッターを行います」
いつの間にか顔を布で隠してゴーグルをつけたスーシアがトランクケース両手に隣に立っている。
「スポッター、射撃目標の観測をして狙撃手の手助けをする役割ですね。ハンドガンの射撃にいるとは聞いてませんが」
「必要な道具はここに」
そういって片方のトランクケースを開けると色々な道具が見える。スコープにケーブルが繋がった双眼鏡に、ヘッドセットマイク?
「砂嵐では音も聞こえにくいですから、双眼鏡はスコープの向きから軌道を示してくれます。どっちも防塵処理済みです」
俺の銃にもつけられるタイプだ。スーシアが有能すぎてつらい。
「もう一つは?」
「予備のレーザー銃10丁一発だけで使えなくなら撃つたびに銃を変えればいいんです」
そういって開けたトランクケースには俺と同じ型の北部21式がずらりと並んでいる。天板にはホルスターがあった。
それって確かイベントのネタドロップで武器の装備数が増えるけどその代わりに装備重量が2か3倍になるネタ装備だったはず。
俺もイベントに参加したから持ってるけどまさか実際に使う機会が来るとは。
「何も問題なし……ですね。唯一成功するかどうかですが、野暮ですね」
「つまり?」
「今はダメです。お互い見えなくなってから、砂嵐に突入した後に反転します」
「よし、ありがとうございます」
「まだ、感謝は全部終わってから」
「はい、スーシア、クロトリの子にはこっちに気づかれないように、気を引いてもらってください」
「了解しました」
話し合いで時間を使ったから砂嵐が来るまでそう時間はない。懐から出した旗を持って外に出るスーシアをしり目に俺は色々入っているアタッシュケースを漁る。
「何を?」
「説明書を探してます。自分使い方全く分からないので」
ゲームだと装備を選択すればよかったが、ここだと全部やれなくちゃいけない。スーシアは当然できるだろうが俺は全然わからないので今から超速で覚えなくちゃいけない。
「ええ……」
梵天丸はノリと勢いだけで判断してはいけないとその時改めて思い一抹の不安を感じた。




