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ウリアにて

え、また評価が増えてる……。いいねもついてる

感謝圧倒的……!!感謝

「こっちだ」

 ヒーローGに案内され私達は村の中を歩いていく。その間村の住民は警戒するように私達を見ているが、突っかかってきたり通せんぼするようなことは無い。それほどヒーローGが信用されているようだ。先ほど警戒と言ったが厳密には物珍しい物を見るようなそんな視線です。


 先ほども見事なボディランゲージで会話を成立させていました。

 

 それでも警戒されているのは私達の人数の多さが原因でしょう。今回連れてきたメンバーは私とシャーロックさんと漆捌さんの三人とその他六名、先日のリギースでついてきた人が似たような事が起きた際に守り切れないことを危惧したスーシアさんが人数を増やした結果、私達艦橋メンバー一人につき、二人ほど護衛として追加されることになりました。それのせいで総勢九人少ないように見えますが、それほど大きくない村に九人は目立つ。


 ちなみに春雷さんは前回のリギースでのやらかしがあったのでお留守番です。


「何かあまり異世界って感じがしないよな」

「リギースとはまた違った雰囲気ですね」


 シャーロックさんと漆捌さんの言う通りここはリギースとは違うように見えます。まず第一に町というよりも村と言った方が正しい。リギースのように石造りの家が並び石畳で舗装された街とは違い、藁吹き屋根の竪穴住居に近い家に土が踏み固められただけの地面、服装も布面積の少ない部族衣装に槍や弓を持っている。女性は胸部と腰に最低限の布や藁を纏い、男性は腰にのみ藁を巻いている。例えるならば昔のアフリカの先住民の暮らしに近い。肌もリギースは白だったがここは黒に近い色をしています。

あろ地面、リギースの土は茶色だったがここは赤い。


 元の世界なら赤土と呼ばれるものかもしれないが、異世界に私達の世界の知識が何処まで適用されるか分からない。後で信濃で調べてみよう。


 それとここの人達の最大の特徴は背中に石がない。リギースの人達には大なり小なり背中にクリスタルのように透き通った石が生えていました。しかし、ここの人達は全員背中にそのような物が生えている人はいない。


 あれはリギース独自の文化なのか、それともこの村だけ無い話なのか。もう一つの特徴は大人の髪が薄い事だ。今見える範囲でも男女の区別なく年老いている人ほど禿げている。一人や二人ならまだ普通ですがほぼ全員の髪が薄い。

気にはなるが答えはこの後聞くことが出来きます。

そして全員がやせている。


「着いたぞ」


 村の中はたいして広くはなく、歩いて5分ほどで目的の建物に到着する。とはいえ他の建物と比べても大差はなくせいぜい入口の両脇を屈強な男二人が固めているのと、入口に垂れ幕がかかって内部の様子が見えないことくらいですね。


「ではあらかじめ決めた通り、私とシャーロックさんが話してくるので漆捌さんは少し待っていてください」

「わかった」


 今回、漆捌さんがついてきたのはずっと信濃にいて流石に気が滅入ってきたらしく、気分転換についてきました。なのでヒーローGさんと一緒にあの中に入るのは私とシャーロックさんだけです。


「じゃ、行くぞ。一応変な事はしないでくれよな。あと爺さん体が悪いから気を付けてくれよな」

「もちろんです」


 ヒーローGさんは私が頷くのを確認すると一足先に垂れ幕の奥に消えて行った。


「何かあったら呼ぶから安心して話に行ってこい」


 後ろから聞こえる漆捌さんの声にサムズアップで答えてシャーロックさんと一緒に奥に入る。

中は思った通りと言うべきか、藁とレンガの壁に床は藁が敷いてあるだけの質素なものでした。壁には槍などが立てかけられ、床には頭に動物の皮か何かで作られた冠の様な飾りを被ったてっぺんが光っている老人が力なく地面に座り、その傍でこちらを威圧するように護衛の男が私達に視線を送る。


 その中で一番気になるのは壁際、族長らしき人の奥に明らかに金属製の本棚のような物体が壁に置かれていることだ。半壊と言うか上部分は破損し見る影もないが、下の部分は錆びて朽ちかけているが見覚えがある。私自身、オフィスで何度か見かけたことがあるから憶えている。いつも下の資料置き場から資料を取り出すのに一苦労しました。下だと手が届かないと何度言っても改善されませんでした。

いや、それよりも何でそんな物がここにあるんでしょうか。私達以外に転移した人、例えばヒーローGさんが渡したとか?いえ、だとしても私達が転移してから今日まで大体1ヶ月から2ヶ月程度、もし私の知っている通りの物ならその程度であそこまで損壊するような代物のはずがありません。


『ようこそおいでくださいました。カナリアの皆さま、わしがこの村の長をやっておりますクワベナ・アッタ・ニアニバアと言います。そして』


 ゴホゴホと咳を交えながらクワベナさんが頭を下げて自己紹介をしたのを見て、慌てて私達も頭を下げたあとにクワナべさんを観察する。頭頂部は残念なことに荒野であり、両腕両足には添え木のような物が巻かれている。見るからに不健康そうで目は白く濁り、呼吸も少し苦しそうに見える。


『初めまして私は梵天丸と言います。こちらこそ、快く会談の場を整えてくれたことに感謝します』

『わたくしはシャーロックと言います』


 お互い挨拶もそこそこに早速本題に入っていく。その前に


『先ほど私達の事をカナリアと呼んでいましたがあれはどういう意味で?』


 彼が話していた中にカナリアと言っていたのを聞き逃さなかった。


『私共の間ではあなた方のような来訪者をカナリアと呼んでいます。何故そう呼んでいるかは分かりませんが』

『他に私達みたいな人がここに来たことがあるんですか?!』


 来訪者、私達やヒーローGさんみたいな転移した人達のことでしょうか?リギースでは聞かなかった話です。もしかしたら味方が増えるかもと期待します。是非とも詳しく聞きたいところ。


『ええ』

『それはどのくらい前の話ですか?!』


 思わず身を乗り出して聞いてしまう。


『私の爺様が赤ん坊の頃の話だったと、それも2,3日だけこの村に留まってどこかへ去ってしまったそうです』

『そうですか』


 ヒーローGさんのように私達以外にこの世界に転移した人がいるのかと思いましたが、この人のおじいさんの頃の話と普通の人間ならもう生きてないですね。


 ……いえ、ここは異世界、春雷さんが飲食を必要としていない骸骨の体になっているようにスキンがエルフとかであるなら物凄く長寿になっている可能性があります。これからの目的地次第ですが探してみてもいいかもですね。


 そこまで考えていると少しホッとしたような顔をしているクワナべさんが見えた。


『彼の表現の通り会話は出来るようで安心しました。流石に身振り手振りで全てを伝えるのは厳しいですからな』


 ヒーローGの方をチラリと見た後に、一旦咳をしたクワナべさんに苦笑する。流石にボディランゲージのみで会話をするのは疲れるみたいだ。その点私達とは普通に話すことが出来るので安心したのでしょう。


『それで話がしたいそうですが一体何の御用がですかな?申し訳ありませんが物資の協力でしたらわしらの村には蓄えが無いので出来るなら辞めて欲しいのじゃが』


 物資に関しては信濃内部に小型牧場と農園を持っている。それに聖杯から出る魔水を使って早く成長するようにしているので問題はない。強いていうなら実弾と修理用資材が欲しいところですがここにそんな物あるわけないので聞きません。


『いえ、物資に関しての心配ありません。それよりも具合が悪いのですか?もしよろしければ体調のいい日に日を改めると言うことも出来ますが』

『ご心配ありがとうございます。ですがこれでも体調がいい方なんじゃ。いつもは寝たきりじゃからな』

話を区切るたびにゴホゴホと咳をする姿はとても痛々しい。

『この村にいる者は皆年を取るごとに髪が抜け落ち骨がもろくなっていく。皆等しくな』

『原因は分からないのですか?』

『さてな。ただ、ここが呪われた土地だからな。何も不思議なことは無い。ただ最近は呪いも収まってきた。この村が出来たばかりの頃は皆白髪が生える前に死んでしまったようじゃからな。』

『呪われた土地?』


 呪われた土地何てファンタジーですね。ますます異世界らしい。


『そう、この地は長い間呪われているのじゃ。長く生きる者ほど呪いに当てられ弱っていく。ここはそう言う場所じゃ』

『離れたりしないのですか?』

『ここは他に比べてまだ呪いの影響が低い方なんじゃ。だからわしらはここで生きるしかないん』


 今までのここ子の様子を見るに、ここの人達は所謂ジャングルやサバンナでよくイメージする原住民のような生活をしている人たちの様だ。内陸は呪いで行くわけにもいかず、海に出て外洋を超えることの新天地を探すことの出来る船を造る造船技術があるわけでもない。ヒーローGさんの船も損傷が小さくなく長期間の航海は厳しそうだ。


『しかし、リギースの方はどうなんですか?』


 私達がリギースに訪れている間、これといった体調の不調は無かった。聞けばリギース以外にも人が住んでいる国があるという。探せば他に場所を探すことも出来るのでは?


『奴らは呪いに耐性があるようじゃ。それにわしらは奴らみたいな攻撃が出来ないのじゃ。もしリギースに行けたとしても結局奴隷として一生を過ごすことになるじゃろう。それじゃったらここにいた方が良いからの。そもそも、体の弱いわしらが向こうに着くまでに生きているとは分からないからの』


 確かにこの時代中世は航路を使った移動は危険が伴っていた。長期間の航海は栄養不足による壊血病や不衛生な環境による疫病などがあった。ただでさえ呪いで弱っているこの人たちを連れて行くのは危険すぎる。


『では信濃で――――ング?!』


 信濃に連れて行けばいい。そう言おうとしたシャーロックさんの口を塞ぐ。

確かに私も一瞬、信濃で新天地を探すのを手伝うのはどうだろうと思ったがすぐに却下した。明確な目的のない旅は危険です。ただでさえ私達の現状で精いっぱいなのにこれ以上仕事を増やすわけにはいかない。

最悪ここを拠点として利用させてもらおうとも考えましたがこれでは他の皆さんが危険なのでナシですね。


『心配なされるな。わしらはこの土地に根付いてもう何千年以上は経っている。最近は呪いも弱まってきている。わしが子供の頃はここまで年を取る爺さんもいなかったからの』


 呪い。ファンタジー的にはここに呪われた存在のような物が封印されていたりするのでしょうか?少し興味がありますが近づいて呪われて歩けなくなったりする嫌なのでやめましょう。


『それよりも他に聞きたいことはあるかの?』

『はい、この世界の歴史について知っている事を一から十まで全部教えて欲しいんです』

『全部…………ですかな?』


 意外そうな顔をしたクワナべさんが聞き返す。


『ええ全部ですね』

『長くなりますが』

『構いません』

『そうですか、では少し準備をしますので少々お待ちいただけますかな?』

『もちろんです』


 私がそう返事をすると少し持ってくるものがあると言って席を立ってどこかへ歩いて行きました。数分後一枚ボロボロの額縁のような物を持って戻ってきました。扱いからして貴重品なのでしょうか?布で覆われているのでよくわかりません。


『まずは私達の始まりを説明しましょうかな』


 額縁を床においてとある場所を指し示して話をしようと息を吸い込みましたが、その前にシャーロックさんと一緒に手を伸ばして割り込みます。


『ちょ、ちょっと待ってください』

『何か?』

『何ですかこれは』

『地図です』


 見ればわかる。どんな人だって見ればわかります。問題は地図があることではありません。問題は地図の内容です。シャーロックさんも目に見えて動揺している。


『何で私達の世界の地図を使っているんですか!!』


 私達がよく見る日本が中心の地図ではなくヨーロッパが中心になって日本が端に書かれている地図、実物という訳ではなく元の地図から粘土に書き写したからなのか尺度や地形など細かいところが違ってみえますが、おおよその地形が私達の知っている世界地図と一致します。何故、ここは異世界ではなかったのか?


『何でと言われましても、私達の中ではこれが世界の地図と言われているからじゃ』


 疑問に答えられても答えになっていない。何故この地図が存在しているのか、ここは私達の知っているあの世界なのか、逆に聞きたいことが山ほどできた。


 その質問に答えてもらおうとした矢先にドアの向こうから誰かが入ってきた。


「失礼します!!梵天丸様、緊急事態です」


 息を切らせながら入ってきたのは私の部下だ。確か梵天丸さんと一緒に外で待機して何か緊急自体以外ではここに来ないように言っておきました。ということは何か緊急事態が発生したということです。興奮した気持ちを一度深呼吸して落ち着かせる。上が慌てれば下の人達も不安がってしまう。緊急事態の際にこそ冷静に話を聞いて判断する。大丈夫、いざという時には信濃があればなんとかなる。


「落ち着いて報告をお願いします」

「はい」


 私と同じく深呼吸をして息を整えた後に報告をする。


「信濃が抜錨して沖へと移動しています」

「何で!?」


 シャーロックさんの悲鳴に近い叫びを聞きながら私の頭の中が真っ白になっていく


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