制圧後
艦内戦闘はマルマルカットです
「大丈夫かなぁ」
「なによ、今更心配事?」
一人何気なく呟いた言葉に黒雪さんが反応した。この作戦での船の役割は終わってあとはフソウさん達が無事に制圧をすることを祈るだけだ。
この作戦は回避できない状況に追い込んで左右から飛び出た錨をぶつけて信濃の推力と水中の抵抗力を使って身動きをとれなくし、動きが止まったところをコバンザメを使って乗り込み制圧するという方法をとった。
信濃の錨はシャーロックさんの要望で中央部に推進ブースターがくっついている。なんでもこれを敵の船にぶつけてそこから乗り込んでみたいと言っていた。実際には鎖なので中を通ってとはいかなかったが、取り合えず錨にブースターを取り付けていた、今回はこれのお陰で助かったと言える。
そして乗り込む部隊は当然と言えば当然だがNPCが多い。俺達の中で武道の心得があるのはフソウさんくらいしかいないので当然ではあるが今回のメンバーはその中でも戦闘技能を多くとっているNPCが多いので漆捌さんのところから多く連れて行っている。本人は他の仕事があるので不参加だが許可は取っている。そしてその中に一人俺の所からスーシアを行かせている。本人が希望したから行かせたが、気分としては妹の初めてのお使いを玄関で見送る以上の不安がある。場所は買い物以上に物騒だけど
あと何故か梵天丸さんとシャーロックさんが付いて行った。
「いえ、そう言うことでは」
「大丈夫よ。スーシアちゃん強いんでしょ?」
スーシアの戦闘能力はテイリュバリーでの戦闘で十分に分かった。分かってはいるがだからと言って完全に安全だと思えるほど楽観視できない。
現在信濃は浮上して錨を巻き取りながらバックして駆逐艦に接近している。モニターからも向こうの様子が確認できているが、見る限り優勢そうで少し安心している。でもケガしそうで怖い。
「かわいい子には旅をさせよというけど心配なのは事実なんです!」
「保護者かよ、それか娘に構いすぎて嫌われる父親だ」
辛辣な漆捌さんの突っ込みに耐え切れず机に突っ伏する。お父さん、せめてお兄ちゃんと呼んで欲しい。俺まだ22歳なのだが?
「でもわかります。あの子たち全員いい子ですよね。いい子は死んでほしくないわよね」
「皆さんこちらの話は良く聞きますしちゃんと動いてくれますからね。まぁ、装置の整備とかは、あの子たちの方が詳しいので何も言えないんですけどね」
「そうねぇ、私もエンジン回りの調整について聞かれても一から全部組み立てたわけじゃないから任せるねとしか言えないのよねぇ」
そう俺達はこの船の操縦方法は分かっているが使っている装置の詳しい中身を知らない。例えるならスマホは使えるが何でスマホが動くのか分からない状態だ。それでスーシア達が俺達にスマホの中身についてあれこれ聞いてくるからヤバイ。下手な事言って大惨事になりたくないので全員今の所、任せる、それでいいんじゃない?で乗り切っている。ただ、いくら何でもこのままじゃ駄目だと思い隙を見て勉強しているが一向に進まない。どこから学んだのか聞きたくなる専門知識と専門用語のオンパレードで漆捌さんは考えるのをやめた。
まだ何とか概要を掴めた梵天丸さんとフソウさんはまだいいとして俺達は単語だけ覚えた英単語テスト前の学生状態だ。
「そうですよね。結局今はあの子たちに任せるしかないですね」
でもいつか、全部理解した時に初めて俺はスーシア達の上司として振舞えるようになりたいと考えている。まぁ、漆捌さんは理解するのを止めて仲良くなる方を優先しているみたいだが。
そんな風に話していると無力化が終わったらしくスーシアが此方に帽子を振っているのが確認できた。船の艦尾と艦尾をゆっくりと近づきお互いの縄を渡して固定する。
「固定完了しました」
報告を聞いて俺は席を立って外に出る為にエレベーターに乗る。船のくっついている部分を使って向こうに行く。これでやっと相手を話し合いの席に座らせることが出来た。あとはあの船が本当に俺達と同じゲームから来た船であるかが心配だ。
「艦長、制圧完了しました」
今回の白兵戦部隊の隊長だったスーシアが敬礼をして待っていた。本当は漆捌さんの所の子を隊長にした方が良いんだけど、覚えている限りでスーシアが一番レベル高いし、漆捌さんの子達もスーシアさんが出るならスーシアさんを隊長にしてほしいです。と言われたのでスーシアが隊長という扱いになっている。というか、普通に俺よりも尊敬されているようにあの時見えた。少し傷ついた。
でも見る限り大きなけがもないようで安心する。後ろを見ると漆捌さんの所の子たちが気絶している人たちを縄で縛って拘束して一か所に集めている。全員海賊と海軍服を混ぜたようなデザインになっている。取り合えず安心して変な顔を見せないようにいつも通りの表情で答える。骸骨だから表情とか無いが。
「お疲れ様、この船の艦長は見つかった?」
「はい、ご案内します」
歩き出したスーシアの後を追いかけながら周りを見渡す。通路の所々に血ついているが何かしらの肉片が転がっているようなことは無く鼻血が飛び散った程度の物がほとんどでありR18Gになるような悲惨な物体は見えないし、そんなことが起きたような血痕も見当たらない。それにしてもこの船修理の後が目立つ、明らかに別の素材で繋がれている外壁、木で補強されている箇所がある床、ゲームだと修理してもこんな表示にならないから転移した後に出来た損傷であると推察できる。つまりこの船は何か転移後に損傷するような出来事に遭遇したという事、それと思う一つあの小船の正体も気になる所だ。
「スーシア、戦闘は大丈夫だった?」
「ええ、敵の船員は白兵戦の経験があまりなかった方達ばかりでしたので問題なく突破することが出来ました。ただあの国の兵士たちに比べると少しこちらの方が強かったと思います」
「そう、それなら良かった」
多分向こうはあのビーム主体の戦術を得意としているのだろう。俺達の信濃を損傷させるほどの攻撃、あの攻撃に比べると他の武器を使った攻撃なんてかすんで見える。テイリュバリーでは市外への被害を抑える為に剣や槍を使っていたが、普段は使わないからこそあの人数をスーシアがさばくことが出来たのだと思う。
活躍したのは物騒な事だし俺は余りその辺り詳しく話無いので強さとかは分からないが、スーシアが無事でよかった。そう思いながらスーシアをよく見るとあることに気が付く。
「スーシア、左腕にケガをしているけど治療はしたの?」
「え?ああ、いつの間にか出来てたみたいですね。すみません気が付いていませんでした」
戦闘時にケガをしたのかもしれない。戦ったり喧嘩をしている時にはアドレナリンがドバドバ出て痛みに鈍感になるってフソウさんが言っていた気がする。本人は気が付いていないが、大事になるといけないのでポッケからハンカチを取り出して声をかける。
「いや、小さな傷であっても放っておくのはまずい。取り合えず傷口を塞いでおくから、戻ったらドライさんの所で治してもらってね」
厳密にはドライさんではなく助手NPCのイユさんの方だけど。本人は擦り傷と風の看病的な応急手当の方法はしているが専門的な医学の知識はない。中途半端でもある程度は知識を持っている藪医者や闇医者の方がまだましなくらいだ。
「い、いえ大丈夫です。自分でできますので」
スーシアがそう言って断ろうとするのを無視して取り出したハンカチを傷口に押し当てて縛る。傷を放っておくと膿が出来て大変なことになる、実際妹も転んだ時に水と消毒液が染みるのが嫌で隠していたら大惨事になったことがある。
「これで良し、後でちゃんとドライさんの所に行ってね」
軽く叩いて処置を終える。多分大したケガではないかもしれないけど海水とかが万が一入ると危ないからこうしておく。スーシアはハンカチが巻かれた部分を見ながら少しの間触っていたが、やがて顔を上げた。
「……分かりました。それよりも先に急ぎましょう」
特に傷に関しては言及せずに案内を再開した。余計なお世話だったかな。でも、好かれるために放置するわけにはいかない。でも、後で機嫌を取るために何か渡そうかな。
そんなことを考えていると艦橋についていた。早いと思ったがこの船は駆逐艦っぽい船、信濃や青垣の大きさと比べるとどうしても小さいから仕方ない。
艦橋は写真で見たことのあるww2時代の駆逐艦の艦橋と似ていると感じる。ただ、やはりと言うべきか信濃同様明らかにww2時代の時に出ているとは思えないレバーやメーターが見える。そしてその艦橋の席の一つに縄で縛られながら座っている外見で18歳くらいの男がいる。
服装は帝国海軍服に海賊の意匠を組み込んだ何か見覚えのあるカッコいいデザインになっている。どこで見たっけと首をかしげているとスーシアが冷めた口調で紹介してくれた。
「こちら信濃改に戦闘を挑みやがった駆逐艦『新風』艦長のヒーローGだそうです」
何というばか……何という分かりやすい名前、俺とか漆捌さんなんて最初の頃のチャットで大体『何て読むんですか?』って聞かれたのに!
……いや、名前は俺が付けたもので今でも気に入っている。それに今は名前何てどうでも良い、話さなければ。
「こんにちはヒーローGさん、自分はギルド『理想郷』所属の戦艦信濃の艦長をしています春雷といいます」
取り合えず無難な挨拶をと思い自己紹介をする。理想郷は有名度で行ったらゲーム内で聞くと『あー、何か聞いたことある』『何かの話で出てきたな。何の話だったか覚えてないけど』とそれなりに認知されているギルドだ。知名度はそれなりにあるだけにある程度俺達が味方であると伝えたかった。しかし思っていた反応と違い、ヒーローGさんはこちらを殺すかのような目をしてこちらを見て叫んだ。
「てめぇ!やっぱり『理想郷』の所の船か!ぶっ殺すぞ!!」
ヒーローGさんは席を立とうとしているが縛られているために椅子をガタガタ揺らしている。スーシアが警戒して俺の前に立つがそれをどけて腰を落としてヒーローGさんと目線を合わせる。彼が何で怒鳴っているのか全く分からないが、彼は明らかに俺達を恨んでいる。
そりゃあ転移前のゲームの頃は信濃で沢山の船を沈めたけど、何も弱い者いじめをしていたわけでもない、ちゃんとなるべく損傷が少なかった船や初心者狩りをしている奴らとかを狙っていた。元々PvPをメインに置いているゲームだから襲われることを今更非難されるとは思えない。ならば転移後に何か彼を怒らせるような事をしたのかと言われるとノーだ。俺達は今日初めて知り合ったと思う。可能性としては俺達が寝ている夜の間に夜番の子が攻撃したかもしれないが、その可能性は限りなく低い。スーシア達が俺達に何も報告や相談をせずに攻撃をする等有り得ない。まだ話すようになって2か月ちょっとだがそんなことをするような子じゃないのは俺でもわかる。
「あの、すみませんが自分はあなたとは初対面のはずなのですがどうしてそんなに怒っているんですか?そもそも先に攻撃を仕掛けたのはそちらのはずです。自分たちがぶっ殺される所以は無いと思います」
だからなるべく穏便に理由を聞きだす。
「理由が無い?!ふざけんなてめぇの所のギルド旗艦が急に俺達を襲いやがったんだ!!知らねぇとは言わせねぇぞ!!」
「え、青垣が?!」
ギルド旗艦、ギルドのトップであるギルドマスターが所有している船でありギルドの象徴のような扱いをされる。具体的にはランキングの際にこんな船を使っていますと表示される船と言うことだ。例えるなら帝国の大和や長門のような扱いであると思ってもらえればいい。ギルドの象徴であり目印でもある。理想郷の場合は戦艦青垣がその役割を担っている。つまり、ギルマスの乗った船がこの世界に転移してきていると言うことが分かった。だがそれよりもギルマスが何もしていない船を急に襲ったという話の方が衝撃的だった。ギルドの基本方針として強きに挑み弱気を助けるという個人的には気持ちい方針だった。戦う際にもあらかじめ通信で宣誓してから攻撃を開始するなど不意打ちやだまし討ちと言った行為をしない人だった。だからこそこの人の言っている事が信じられない。
「な、何かの間違いなんじゃないですか?うちのギルマスの船がそんな卑怯な事をするとは思えないのですが……」
「間違っちゃいねぇ!!あの砂嵐の盾にレールガン何処を見てもてめぇらのギルド理想郷の青垣だった!!急に俺達は襲われたんだ!!」
嘘である可能性もあるがこんなに激昂していることから嘘や俺達を騙そうとしているようには見えない。よく見れば目じりに涙が溜まっている。それに彼の言っている特徴も青垣の装備の事を言っているとわかる。あの船は二度と手に入らない装備を摘んでいる浮沈艦だ。ゲームでも全く同じ船は無かったしこの世界にあの船を再現できる技術があるとは思えない。
「そんな……ギルマス、スサノさんがそんなことするなんて」
信じられないながらも聞けば聞くほどに嘘であるとは思えなくなっている。あのスサノさんがそんな指示を故意に出すなんてありえない。きっと何か事情があるはずだ。
「なんだよ!まさか、知らなかったのか?」
「はい、自分の船は那覇基地で荷物の積み込みに手間取りまして青垣は先に出発していたんです。それでイベント海域で集合になっていましてついてみたら白い光に覆われて気が付いたらここに」
「……そうか…そうか…」
ヒーローGさんはぎゅっと目を瞑って何かをこらえるような顔をした後に申し訳なさそうに目を開きました。
「すまねえな。急に怒鳴ったりして」
「いえ、青垣は自分たちがいるギルドの旗艦なので疑われても仕方ありません。それよりもそちらで何があったのか聞かせてくれませんか?」
「ああ、分かった」
一度深呼吸をした後にヒーローさんは口を開いた
「さて、一応聞いておくが俺達って多分転移してんだよな?」
「ええ、九分九厘転移していると思います」
「だよなぁ、俺達も最初おかしいなとは思ってはいたんだが、あいつらに助けられるまでゲームのバグだと思ってたんだよ」
「あいつら?もしかしてあの子船の?」
「なんだみてたのか、あいつらは見ず知らずで言葉も通じねぇ俺達を助けてくれた奴らだ。俺達はあいつらに助けられたお返しとしてここで門番している訳よ!いい奴らだぜ、食料とかも頻繁に積み込んでくれたり言葉を通じないのに俺達に親し気に話してくれるからよ」
なるほど、あの小船はその食料を運んでくれる船だったのか聞くにヒーローGさん達は彼らと良好な関係を築けているようで羨ましい。リギースは主に俺のせいで失敗したから。
「なるほど、それよりも青垣について詳しく聞きたいのですが」
「……そうだったな。さて何から話そうか」
新風は転移当初、俺達みたいにログアウトが出来ないことやメニュー画面が開かないことをバグだと思って行動していたそうだ。ついでに転移前は艦隊を組んでイベントに参加していたはずなのに、白い光に包まれた後は周りに仲間の船が存在せずに新風一隻だけだったとのこと。
そんな状況下で部下のNPC達が自律的に動き始めたり、寝てもログアウト出来なかったり転移したことに対して少しずつ気が付き始めた時に青垣に遭遇したそうだ。最初同じような状況に陥っていないか照明灯を照らして接触を試みたが、帰ってきたのは主砲の三連装レールガンによる砲撃だった。あまりに突然の事で戦闘態勢も整わぬ中主砲の一発が船体に直撃、戦艦の砲撃に駆逐艦が無傷なわけなく損傷、ヒーローGさんと同じ船に乗り込んでいたプレイヤーやNPCが攻撃に巻き込まれ死亡、その中にヒーローGさんが作った側近NPCが含まれていた事、本当ならヒーローGさんが巻き込まれるはずだったのに彼が庇ってくれたおかげでこうして生きている事を話してくれた。
混乱の中交戦よりも逃走を選択し満身創痍の中フルバーストを使い逃げた。当の青垣は追撃をせずにそのままどこかへ移動、新風は船体に大きな穴が開き乗組員も3割が死亡という大損害に遭いながら応急修理を進め何とか持ち直した。そうして航海をしていると陸地を発見何とか食料か何かを手に入れたいと上陸すると今お世話になっている部族の人達と遭遇したという経緯だそうだ。
「なるほど、そんなことがあったんですね」
「ああ……もう一度聞くがあんた達は青垣とは関係ないんだよな?」
「はい、この世界に来てからだとヒーローGさん達が初めて会ったプレイヤーです」
「そうか、早とちりで攻撃してしちまって悪かったな。」
「いえ、ヒーローGさんの気持ちも分かりますので……」
自分が一から育てたNPCの喪失、ゲームの時でさえもその喪失感は大きかった。それを自我を持ち、自分の事を慕ってくれる。当然、今まで以上に情は移るし可愛がりもする。実際に梵天丸さん達もよく自分の子と話している様子を見かける。それも大体が向こうから話しかけてくる場合が多い。俺も廊下を歩いていると大体スーシアに会う。
そんなに子が目の前で失われる。これほど悲しい事はない。
「まぁ、別れは済ませたからな」
「そう、ですか、ところでその現地の方とはどういうふうに知り合ったんですか?」
「あれか?青垣の奴から逃げ出した際に満身創痍の俺達がここについてな。そこの原住民が偉そうな奴らに強制労働されていたからな。奪い返した」
「え、奪い返したんですか?」
「ああ、流石に十数隻もいれば逃げていたが、5隻だけだったし、俺達も品定めをする余裕がなかった。本当はあまり関わるようにはしなかったんだが、向こうが俺達を襲う気満々だったから仕方なく反撃したら向こうの人達もノッテきて気が付いたら殲滅していた」
「ええぇ……」
何その戦闘民族、仲間だと思ったら狂戦士だった。気が付いたら殲滅ってそんなことあるんだろうか?
「それで何だかんだでここに世話してもらっててな。お礼と言っては何だが、似たような船が来たら追い払うようにしてんだ。言葉は全く分からんが、ジェスチャーと気持ちで何とかなるもんだぜ」
「それはそれですごいですよ」
ジェスチャー、俺達は梵天丸さんのおかげで言葉の壁を越えることが出来たが、それは稀有な例。普通の人の場合は英語で話が出来るかと言えば難しい人がまだ多い。そう考えると俺達はついている方なのか。そして、そんな言語の壁を頑張って超えているヒーローGさんもすごい。
「そうか……何、人間ほんとに崖っぷちになると信じられない位アクティブになるんだぜ」
「自分には出来そうにないですね」
「まぁ、実際に崖っぷちになれば動けるさ。……ところでこの後向こうに行くのか?」
「その予定です」
「それなら、いきなり喧嘩売っちまった罪滅ぼしとして俺達が付いていくぜ。そうすれば流石にもめごとはないだろうさ」
「本当ですか!是非お願います」
「決まりだな。じゃあちょっと縄ほどいてくれねぇか?」
「ええ、スーシア」
「ですが艦長」
「大丈夫だから」
「……了解しました」
少し不満ながらもスーシアがヒーローGさんの縄をほどく。縄から解放されたヒーローGさんは体を思い切り伸ばしてストレッチした後にこちらを向く。
「改めて峯風型駆逐艦、拾漆番『新風』艦長のヒーローGだ」
「超々大和型参番艦『信濃改』艦長の春雷です。改めてよろしくお願いします」
お互いに手を握る。




