リギース会議
お久しぶりです
信濃がテイリュバリーから脱出して一夜が明けた。リギースの考えとしては信濃は海軍の攻撃で沈没、海底に沈んだと結論づけられた。リギースの人間に知識に潜水艦は無いので逃げられたという思考にいたらない。 現在は信濃の沈没場所が港から近い事もあり、信濃の船体調査とサルベージ計画が進んでいる。
『シナノは沈没生存者も絶望的としている。ジェームズ卿どう責任を取るつもりで?』
リギースにある館、その中の会議室にて緊急の会議が始まった。議題は言うまでもなく信濃について、今回の騒ぎの鎮静を任されたのは軍務大臣であったジェームズ卿、そして彼の動かした兵の数は現状リギースで動かせる最大の数だった。しかも今回は女王自らアーク・ロアーに乗り込み。その威を示した。だというのに信濃は沈み、味方の船も半数が撃沈される。
リギースからしてみれば仮にも友好を築こうとした国の船を沈めたに等しい。事の真相も完全に闇の中
敗北、失態、その責任を取らされるのは自明の理だった。
しかも、信濃側にも多少の落ち度はあるが元をただせばジェームズ卿に今回の原因がある。本人が知る由もないがジェームズがあの夜に無断で部屋を訪れるような事態が無ければあの騒動は起きず、信濃のリギース訪問は平和に終わっていた。リギースが騙されていたことに目をつむればだが
『止めよ。今はジェームズ卿の非を追及する場ではない。今はそれよりもニホンへの対応だ。現状向こうはこちらの事情を知らないが、シナノが帰還しないとなれば第二陣を編成する可能性がある』
ジェームズへの追及など後でいくらでもできる。今はそれよりもあの船を持っている国と敵対してしまっていることが女王本人にとって一番の問題だった。
彼女の頭の中では春雷が悪魔だということを信じてはいない。言ってしまえばジェームズ卿の艦長春雷は骸骨の化け物であったという言葉も半信半疑であった。骸骨が動くなど眉唾物であり、その姿を見たのがジェームズ卿と以下数名だ。その数名もジェームズ卿の息のかかった部下だ。ジェームズ卿と口裏を合わせるなど造作もない事だ。
とはいえ、彼らがここから逃げ出したことに違いは無い。そこに何か原因があったのか当事者ではない彼女が真実を知らない。だから女王は生きて捉えるように指示を出した。彼らが本当に悪魔なのか、他に目的があってきたのか聞きたかった。しかし、その思いは海の藻屑と消えたと思っている。
無論、信濃の背後に国などないのだが、彼女は一か月の間彼らの言う国の事を聞いた。
全く根拠のない話であったなら騙せなかっただろう。だが、春雷たちが話したのは仮にも自分が住んでいた国の話だ。自分の国を話すことに変な矛盾点など起きるはずがない。
さらに実際に信濃という実際にありえない船をこの目で見た。結果として女王は日本という信濃を量産できる国があると信じてしまっていた。
そのような国が自分の国と敵対することになった。しかも戦闘力は昨夜見たばかり。あの化け物のような船を量産できるような国と戦って勝てるビジョンが浮かばなかった。
彼女としては誤解を解き、改めて友好関係を築きたいと思っている。その為に何としても日本に行かなくてはいけないのだ。
日本の探索と同時にこちらの事情を話し改めて謝罪する。それがいい。ドリツも現在は動きなしだ。それなら幾分か捜索に人員を割ける。あとは人選だが
『…………ニホンの捜索隊にはジェームズ軍務大臣に任せる。その他捜索隊員の人選はジェームズ大臣に一任する。此度の失敗を返上せよ』
非常にやらせたくはないが、軍部から人員を出した方が頼もしいのも事実、此度の失態の汚名を返上させる。腹立たしいがまだジェームズは使える。それにジェームズが無ければ余も自由に動くことが出来る
『忌々しい』
大方私を出した後に、改革を一気に進める気なのだろう。シナノは海の底、サルベージには最低でも10年はかかると言われている。
『こんにちは、ジェームズ大臣殿』
『オルト博士、サルベージ調査に参加していたと記憶していましたが、いかがなさいました?』
『シナノの残骸一つ見つかりませんでした』
『何?』
『海流に乗って流されたとしても普通は何かしら痕跡があるはずなのですが、全くと言っていいほど見つからないのですよ。この意味がお分かりで?』
いかなる船であろうと一切の痕跡を残さずに沈むことなどありえない。それにあれほど巨大な船だ。海底を調査すれば必ず発見できるはずだ。となると
『奴らはあの時沈んだのではなく、逃げのびた。そう言う事だな』
『はい、かの船は船体全体が金属でできておりました。不可能ではないかと』
女王陛下の一撃にも耐えうる装甲を持った船が生き延びてどこかで漂流している。もしドリツにでも行けばあの船が敵に回る可能性もある。そのことを女王陛下に知られるわけにはいかない。
『このことを女王陛下には』
『まだ』
『上出来だ。俺はニホン捜索隊に組み込まれた。シナノが沈んでいないというのならこれ以上の好機は無い』
『では、わたくしも是非ご同行を』
オルトは船の知識に関しては右に出る者はいない。あの船の知識を知るのならオルトの方が良いだろう。
私ももっとあの船の事を知りたい。
『うむ、貴様の知識頼りにしているぞ』
『はい、それで一体どこに向かうつもりで?』
奴らは地図や海図などを要求していた。つまり、それほどリギース周辺の海域は詳しくないということ
リギースより西は未帰還の海、手負いの船で突破できるものではない。東はドリツの領海に入る。うまくいけば保護を求めるかもしれないが、現状行く意味がない。
となれば北か南、北は何もない本当に何もない。昔は氷のみで作られた大陸があったと聞いたが今は跡形も残っていない。したがって奴らが向かうのは南、ウリア方面と言う事だ。
幸い、バルカン諸島が道中にある。あそこで補給をしてから追いかけることにしよう。




