夜番
夜番、それは一番暇で一番重要で大変な仕事です。何もない夜に何か起きるかもしれないとレーダーを見たり双眼鏡で周りを見る。航路からずれないようにマップを見て修正する。マップが無ければ星空から座標を割り出す。艦内の様子を写しているモニターを見て何か異変が無いかとチェックする必要があれば巡回する。だが、特にほとんどこれと言った変化は起きない。艦内で謎の不審死が起こることもなく。自分の乗っていた過去の船が敵船となって現れるわけでもない。
何もない日々、こちらの事情をできるだけ悟らせないために現在艦内の乗組員の艦の外へ出るのは禁止している。日光浴したいなら艦橋後部に存在するサンルームで出来るし、艦内の体面積は聖杯からの魔法で通常の4倍の面積を確保しているので思い切り走ることが出きストレスも少ない。
その他ビリヤード等のレクリエーションルームも完備、食べ物は金曜日を除き毎日日替わり、艦内の指揮は変わらず強いて言えば信濃が動かないので暇である。とはいえストレスが全くないと言えばウソになる。特に戦闘課は最低限の人員をシフトに組み、お風呂に浸かっているか内部に収納されている水上バイクや小型船のメンテくらいしかやることが無い。仕事がな事へのストレスというのが溜まっている様だ。
唯一動いている機関課も聖杯の調整くらいでやることが無い。艦長とフガクさん達が戻ってくるまでとは言え戻ってくるまで待機は案外暇なのだ。
だが、この日の夜は少し様子が違った。信濃の周りの兵士たちはせわしなく動き、中には信濃を睨みつけている人もいる。
「一体何が」
確かめたい。しかし、私自身の勘が出てはいけないとささやき、扉に向かおうとした足を止める。
とはいえ、この状態で信濃が取れる行動は無い。春雷さん達が戻って来ていないのに勝手な行動は出来ない。ここに黒雪さんがいないくて良かった。まだ自分の体に慣れていなくて精神的にも不安定な彼女がこの状況を見ればパニックを起こしたかもしれない。
私は私の理想にまだ近づけない。こういう時にどうすればいいのか自分で決めることも出来ない。
そうこうしている内に何重ともいえる帆船が信濃の周りを包囲し始めた。警報を鳴らした方がいいかもしれない。そう考えているとレーダーに新しい反応が出る。この信号は……コバンザメ?よくわからないがとにかくコバンザメがドッキングしようとしている。頭の中は混乱しながらもパネルを操作しコバンザメとのドッキングシークセンスを実行する。




