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緊急会議

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『彼、春雷は人間ではありませんでした。彼らは悪魔のような素顔を隠しこのリギースにやってきたのです。現に今彼らは素の顔を私に見してから姿を隠しています』


 机をたたきジェームス大臣が拳を振るって弁を取る。夜明日に備えて寝ていたところを突然集められて一体何を言っているんだと思うが、実際に三人は行方をくらましている。


 兵士たちの話では館内を巡回していた兵士たちが梵天丸殿とスーシア殿の部屋の前を通った際に二人の部屋の護衛していたはずの兵士の姿が見えず、不審に思い部屋を開けると二人の姿は無く代わりに気を失っている大臣と兵士が棚の中とベットの下に隠されていた。急いで春雷殿の部屋を見たが既に無抜けの空だったようだ。


 そうしているうちに意識を取り戻したジェームズ大臣に指示され余達を起こして緊急の会議が始まったと言うことだ。


『まぁ落ち着いてください。その悪魔のような素顔とはいったい何のことですかな?』


『骨だ』


『……なんと?』


『奴の春雷の素顔は骨、つまり頭蓋骨そのものだった』


 皆一様に口を閉ざす。ジェームズ大臣はそのような素っ頓狂な嘘をつくような人物ではない。とはいえにわかには信じがたいことではあるが春雷殿が逃走したのがまぎれもない証拠であると言える。しかもこの事態が判明してから春雷殿だけではなくスーシア殿や梵天丸殿も姿を消した。つまり彼らは春雷殿の正体を知っていたという事だ。


 アンデット、この世ならざる者と言われている存在と一緒にいるなど正気の沙汰ではない。他の兵士、大臣の息のかかっていなかった見張りの兵士にも確認してみたが答えは同じで春雷殿の顔は骨であったとのことだ。


 今この状況で彼の言葉が虚偽であると証明できることがない。


『陛下!これは一大事です。今すぐ彼らの身柄を確保し、彼らの乗ってきた船を調べる必要があります!!』


 大臣の言うことも一理ある。とはいえ、嘘ではないかもしれないが証拠は大臣の証言のみであり彼らが明確な悪事をなしたという証拠もない。この滞在中も何か不審な事をしていたという報告もない。もしかしたら何か事情があるかもしれん。とはいえ、姿を隠しているのも事実は事実。


 どうにかして彼らを見つける必要がある。ただ見つけてから殺すのではなく捕らえる。


『兵を出して探させそして捉えよ。ただし殺すことはせずに生きて捉えよ。ジェームズ大臣、貴殿が指揮を取れ、余は万が一に備えアーク・ロアーにて待機する』


『は!!』


 陛下の指示を受け、頭を下げる中、ジェームズは密かにほくそえんでいた。

これにより、合法的にあの船の出航を先延ばしすることが出来る。そしてあの船の構造、仕組みを調べ我が国の物に出来れば今までの船よりも頑丈な船を手に入れることが出来る。

このことを知ればオルト博士も喜んで協力するだろう。あとは奴らが万が一船に戻るような事が起きた時を考えて船を出して包囲しておくか。


 ああ、これで我が国はドリツとも戦える船を手に入れることが出来る。

そして私はさらなる力を手にし、リギースは世界で敵なしと言える国家に成長する。

ジェームズは完璧な作戦に酔っていた。彼は自分の部下の練度、艦隊の力、そして一隻程度の船に自分の艦隊が敗れる姿が想像できなかった。


 いくら、武器が脅威であっても数の暴力には皆等しく無力なのだ。


 その考えは正しい。ただし、それは一撃で沈むような脆い船に限った話であり、そのことを彼自身考えていなかった。信濃が乗っている本人たちでさえよくわかっていない程のトンデモであると。そしてあの船にどれだけ課金しているか、どれだけの努力の末に完成した船であるか知る由もなかった。

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