スーシア経過報告
艦長達と一緒にリギースという国に滞在して大体一か月ほどでしょうか?少し信濃が恋しくなりますが、もう少しの辛抱です。なぜなら現在、リギースが友好の証として品物を信濃に積み込んでいる最中で、積み込みが完了次第テイリュバリーを出航する予定です。艦長からも、もうすぐこの国を離れるとおっしゃいました。
ここの所、えーと、あの、なんでしたか名前、ジェームズ、そうジェームズ様の応対が面倒でした。事あるごとに私を呼び出してお茶会やら散歩やらに連れ出されて艦長と話す時間が減っていました。断りたいところではありましたが、艦長に迷惑をかけるわけにも行きませんし、何より私達の目的はこの国および周辺国家の情報収集。好機ではありました。ですので私はなるべく積極的にお誘いをお受けしたのですが正直なところ疲れるだけです。
確かに情報は手に入りました。その他の接待はその情報に対しての報酬であると考えて付き合っていましたが割に合っていません。
よく分からない自慢が続き景色が良くても事あるごとに自分の自慢を続ける散歩に楽しむ余裕のないお茶会、挙句には私へのプレゼントとして動きづらいドレスがプレゼントされその服を着てお茶会に出て欲しいと頼まれました。『美しい貴女にはもっときれいな物を着るべきだ』っと……
その時私は思わず彼をぶん殴りそうになりました。だって私の服装を否定されたんですよ。
私は艦長に渡されたこの格好がとても気に入っているのです。その他、非番の日や部屋にいる時の服も艦長達が作ったりして渡してくれた大切な物です。その中でも一番最初に艦長に渡されたこの軍服は私の中でも一番大切な物なんです。それをもっときれいな物を着るべきだと、ふざけないで欲しいです。無論、私の服装が汚らしくて穴だらけだったりするなら仕方ありません。しかし、私の服装はあくまで正装、汚れも穴も一切ない綺麗な物です。アイロンも私自身がキチンとかけています。
あの言葉を言わされた時に私は手が出そうになりました。
ただ、我慢した分だけ情報が手に入るので、いつか絶対にこの人をぶん殴ると決め心を殺し送られたドレスを着てお茶会に出席することにしました。唯一の救いは艦長が私のドレス姿を見た時に「すっごい綺麗だね」と言われたことです。
今はそれで我慢します。
ただ事あるごとに口説いてくるのはうっとおしいことこの上ないです。
そんな苦行を乗り越えていくつか重要そうな情報を入手しました。
まず、この国の女王は毎日聖水と呼ばれる物を飲んでいるそうです。毎日サルズウェイという場所にある聖域から聖水を汲み取り女王が飲むことが義務となっているそうです。聖域はサルズウェイの他にニューチェリー、ブライドウェルズ等様々な所にあるのですが、サルズウェルが聖域の中で一番大きく、女王が普段いるロドニアに近いからサルズウェルから運ばれるそうです。聖水を毎日飲むことが女王が女王である証であり、例え体調を崩してもこれだけは続くそうです。
艦長と梵天丸さんはファンタジーだ!と喜んでいましたがどういう意味なのか私には理解できません。
味の方は女王本人に聞けていないのですが、ジェームズさんの話では無味無臭と言っていました。とはいえただの水を出されると分かるそうです。
またこの国の文明は私達よりも低く、料理も配膳課の物より明らかに劣っています。食べれはしますが誰だって美味しいものを知っていればそちらを食べたくなります。帰ったら無理を承知のうえでカレーを出してもらうようにお願いしましょう。建物装備兵器に関しても船を見る限り主兵装は大砲、兵士は同じ型の長剣を装備、建物はレンガ作りとナハ基地に比べると劣っているように感じます。隊長はビーム兵器の存在を恐れていましたが、特にこれといった情報は見つかりませんでした。
また、川の調査をしていたコバンザメからの報告ですが、川の上流にほぼ円状に広がっている湖に繋がり、ほとりにはこの町よりも発展している町と中央にお城が建っていたみたいです。
多分そこがこの国の首都であるロドニアであると予想されます。
それ以上、上ることも出来ましたが、これ以上川を上れば約束の期日に間に合わないので一旦調査を取りやめて、信濃で補給を受けたのちにテイリュバリーの川の底で別命あるまで待機し信濃が出航後に合流予定です。
他の情報ですとリギースの周辺国家と歴史があります。
リギースは島国であり、海を挟んだ東にドリツ帝国、フェンス共和国等多種多様な国家があり、はるか南には先代の国王が占領下に置いたウリアという国があるそうです。ほとんどの国は不干渉か友好条約を結んでいますが今の問題点はドリツ帝国、この国は軍務拡大を日々図り、しょっちゅう色々な国に喧嘩を撃っている問題国家だそうで、そんなことをしても仕返しされない程の軍事技術を保有している国家みたいです。私達の信濃を攻撃した忌々しい海賊船もドリツ帝国が私掠船免状を発行しているのが原因のようです。技術力ではリギースが勝っていますが、量に関してはドリツ帝国が上みたいです。
それも軍事産業に舵を切ったことによる兵器開発による慢性的な金属不足が原因でそれを補う為に他から奪って回すという自転車操業をしているみたいです。
ですが、流石に信濃クラスの軍艦は作られていないようです。でも、全体が金属でできている信濃が狙われないかと言われればまず間違いなく狙われると思います。
艦長と梵天丸さんにも、もちろんお話ししました。結果としてはドリツ帝国に関わらない方向に決まりました。けれど、海賊が沈んだことはいずれ知られることになります。その過程で信濃の存在が露見するかもしれません。私としてはそのような弱小国家など信濃で粉砕すればいいと思うのですが、艦長達の目的は元の世界に戻ることであります。私達にとっては上の決定は絶対、何よりも優先すべきことです。なのでここは我慢します。でも殴ったら絶対に殴り返します。
そして西にアメリア大陸という大陸が広がっているようですが、そちら側に言った船はほとんど沈んでしまっているそうであまり情報は持ってなさそうです。でも何で向こうに大陸があることを知っているのでしょうか?
歴史に関しては建国してから少なくとも800年程経過しているとのことですが、私は歴史についてはあまり詳しくないので艦長に聞いたところ「長い方じゃない?」とのことです。
国の始まりは神様が自分たちを生み出し、自分たちが生まれた時大地は荒れ果てていた。神はこの世界を浄化して欲しいと話しそれを快諾した人達が国を作ったのが始まりだと言われています。その神様は浄化が終わったその時にカナリアが訪れた後に再び姿を現すそうです。
これに関して梵天丸さんは「神が作った大地に人を住ませるみたいな話はよくあるけど、汚れた大地に後始末のために人を住ませるような描写をしている神話は初めて聞きました。流石異世界です。でも何でカナリアなんでしょう?そこは普通、鳩な気がします。」と言っていました。艦長はうーん異世界だとだけ言ってました。
私自身あまり神話に詳しくないので何とも言えませんが自分の後始末を自分で拭わないのは個人的にいいイメージが付きません。自分の失態やミスは自分の手で拭うべきものです。それを他の人に押し付けるなんて言語道断、私達ですらも出来ているのにそれすら出来ない神様何ていらないと思います。
とここまでが私の集めた情報でした。他は私への口説き文句か私の容姿を褒める等どうでも良い事ばかりなので割愛します。
そう言うのは好きでもない人に言われるのが一番鬱陶しいのがどうしてわからないのでしょうか?私的には自分の事を鼻にかける傲慢な方は好みではないです。
外見よりも中身ですよ。骨でもいいんです。中身がよければ。
早く信濃に帰りたいです。




