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航海の幕間

「ミアさんと仲良くなりたい?」


 昼間艦長室でのんびりしているとドライさんが訪ねてきた。別に俺が艦内を歩くと他の子達が怖がる姿に傷ついたわけでは無い。ただ、怯える姿に妹の面影が重なって罪悪感がすごいから用が無い時は基本的に自室にいる。見張らしいはいいが、見渡す限り海なので少し飽きてきていたから、ドライさんの訪問はありがたかった。


「そう、僕一応信濃での役割は医者だけど僕自身に医療知識ってないじゃん?」

「そうですね」


 俺達はそれぞれに役割があるがその役割のプロフェッショナルではない。ヒーラーが医療知識を持っているわけでは無いし剣士が実技で剣を扱うのかと言われればノーだ。ドライも同じように役職は医療関係だが実際に医療知識があるわけではない。


「まぁ医療技術に関してはイユが知っているみたいだから大丈夫なんだけど、それだと僕自身がいる意味ないでしょ?だから代わりと言ってはあれだけどミアさんと出来るだけコミュニケーションをとることにしようと思ってね」

「なるほど、で何で自分の所に来たんだ?」

「……どうやって女性と仲良くなればいいのか教えて欲しいんです」


 何故それを俺に聞く?何なの?俺の事リア充か何かと勘違いしてないか?リアルだと親と妹以外女子と話す機会のないDTだぞ?リア友ならわかっているよな?そんな俺に女性と話す心得とか聞かれても知るわけないだろ?!


「えっと……なんでその話を自分に持ってきたんだ?」

「だって春雷、梵天丸さんとかスーシアさんとか女性の方と話している所をよく見るので女性との話し方とかのコツとか知っているんじゃないかな……と。後、妹もいるし、その辺りうまそうだと思って」


 いや、梵天丸さんとは知り合いだし、スーシアとは何か妹っぽい感じがして話しやすいだけだし、黒雪さんは見た目のおかげだから!とはいえドライも勇気を出して俺に話を聞きに来たようだし、頼られているのなら答えてあげたい。とはいえ、女子と話をする時のコツってなんだろう?


「……趣味とかを話題に出すとか?」

「趣味」

「ああ、自分の趣味を話すのもいいし、相手の趣味を聞き出すのもいいと俺は思うが」

「なるほど」

「シュミレーションしてみよう。ドライの趣味は?」

「僕は………機械いじり?」

「ここ異世界だぞ、話が伝わるわけないでしょ」

「じゃあ……写真撮影?」

「うーん……そういうい魔法があればワンチャンか?ただ他の話も考えた方が良いかと例えば食べ物についてとか」


 食べ物なら流石に異世界でもあるはず。まさか食べ物が存在しない完全生命体だったりしなければの話ではあるが。


「そういえば、ミアさんカレーを食べて感激してました」


 良かった食べ物の話題いけなかったら後は信濃についての話題しか思い浮かばない。


「なら食べ物の話題はいけそうですね。他に何か女性で思いつく話題はあるか?」

「女の子………プリ〇ュア?」

「異世界だっつてんでしょ?」

「じゃあ天気?」

「それは全てが積みの状態で他に手が無い時の自爆手段です」

「自爆」

「その話題を出すのはネタ切れだと自分から言っているような物だ。意味がない」

「なら‥‥‥‥」







「とりあえずこのくらいか?」


 思いっきり伸びをしながら外を見る。お日様はとっくの昔に水平線の向こうに隠れてしまっている。結構な間話をしていた様だ。

「ああ、ありがとう。おかげで何とかミアさん話すことが出来そうだよ」

「それなら良かった。ただ、そこから先はお前の頑張り次第だから頑張れよ」

「……出来れば一緒にいて欲しいですけど?」

「そこは頑張れよ。俺はドライさんの親じゃないし、妹以外でそこまで面倒は見たくない」

「骨格標本のフリして見守ってくれるだけでも……」

「俺に露出趣味はねぇ!」


 蹴り出すようにドライさんを追い出して椅子にドカリと座る。シスコンめ!!と恨み言が聞こえたが無視する。いくら全身が骨だから何もないと言っても俺にも羞恥心くらいはあらぁ!!

……とはいえ、ドライさんがうまく言っているのか野次馬根性が湧いてきた。時間も時間だし多分食堂にいるんじゃないか?ちょっと行ってみるか。席を立ちドアから出て下へと向かう。


 食堂にたどり着くとやはり時間なのもあって中々ににぎわっていて探すのは大変そうだ。さてドライさんはどこにいるかと辺りをキョロキョロ探していると後ろから声をかけられた。


「艦長?食堂に来るなんて珍しいですね」

「スーシア」


 見ればチーズハンバーグの皿を乗せたお盆を持っているスーシアが立っていた。チーハンか、いいね。


「何か食堂に御用でも?もしお食事をするのなら僭越ながらご一緒したいのですが」

「ああ、ドライさんを探していてね。どこにいるかわかる?」

「……ドライさんですか?ええと、少しお待ちください」


 そう言って他の子に聞こうとするスーシアを止める。


「ああ、いや他の子に聞くのはやめて欲しい」

「?わかりました。ですがざっと見回しても見つからないので医務室に食事を持って行ったかと」

そうか、持っていったのか。というかミアさんは医務室にいるからミアさんの分も持って行ったのか。ならここに用はないな。話は後で本人から直接聞けばいいか。

「そうか、ありがとう」

「はい、自室に戻られるのですか?」

「ああ、骸骨がここにいたら皆も食べる気起きないでしょ」

「そうですか…………」


明らかにがっかりするスーシアの姿に心が痛む。


「……やっぱり少しいようかな?スーシア席を探してくれる?」

「ッ!!はい!!すぐに!!!」

スーシアに案内された席について話をする。途中、梵天丸さんや漆捌さんが話に入って中々の盛り上がりを見せた。俺自身食事時にこうして話をするのは結構楽しかった。

あと、少しNPCの子とも話をすることが出来きたので多少なりとも成果は合ってよかった。


後日、ドライがチキって話をしなかったと聞いて心底がっかりした。

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