エルフの隠れ里へ3
ラウルはシルフィの紹介が終わると、見えないところで待機してもらっていたエリックと、骸骨の皆様にも来てもらった。もちろん葵もである。
「えーと、母様。怖がらなくて大丈夫です、襲ってきたりはしませんから。こちら、近衛兵団の皆様とロイ国王様です。」
「え!? 国王様・・・?」
しばらくは恐怖の顔に染まっていた母様も、国王だと聞いてじっくりとひとりひとりの骸骨を確認していった。そして、背丈と着ている服装で国王だと認識したようだ。国王様は、両手を広げて母様が胸に飛び込んでくるのをじっと待っている。
「あ、エリックもいる。。頭がとれてしまっても大丈夫なの?」
「あ、はい。大丈夫です。」
近くにいたエリックにも気がついたようだ。頭がもげてしまっていても、顔は昔のままだ。確認はできる。国王様は、両手を広げて母様が胸に飛び込んでくるのをずっと待っている。
「近衛兵の皆様にはつらい事になってしまいましたね・・・。申し訳ございません。」
母様はゆっくりと皆の前で頭をさげる。
骸骨の兵士達は、慌てて頭を上げてくださいと言っているかのように、顎をカタカタと鳴らしていた。国王様は、両手を広げてただひたすら待っている。ラウルは国王様が少し可哀想になってきていた。
「お義父様、こんな形での再会となりましたが、ただいま戻りました。。」
母様は最後に国王陛下へと跪いて深く頭を下げた。
国王様は母様の肩に手を置いて、ポンポンと叩いている。「そんな堅苦しい挨拶はいらないのだよ」とでも言っているようである。
「あと、こちらはゴーレムの葵さんです。迷宮とのインターフェイスとのことです。」
「よろしくお願いします。」
「ラウル、インターフェイスって何?」
「簡単に言うと、迷宮との情報のやり取りしてくれる存在ですかね? 迷宮との橋渡しをしてくれる存在、というと分かりやすいでしょうか?」
「そう・・・。」
葵は頭を下げる。母様は首をかしげながらも、納得したようであった。
「お父様、お母様、外見上骸骨になってしまった近衛兵団の皆さんと、国王様は、申し訳ないのですがしばらくこの異次元空間の中で生活してもらおうと思うのです。外に出ると、冒険者達から追われてしまう身分ですので・・・。」
「ええ、ここなら安全だと思うし。私からエルフ達にも説明はするので、隠れ里の中なら動き回っても大丈夫だと思うわよ。」
「ありがとうございます。それでは、住む場所を作らないといけませんね。」
そういうと、ラウルは異次元空間を今の数倍の広さに拡張していく。立方体の一辺がおよそ5キロほどもある大きな空間へと変化した。そして、ラウルやセバスの家の延長線上に大きな城を建てた。ラウルが前世でもっとも好きだった洋風の城、ノイシュバンシュタイン城をモチーフとした。
「さあ、できました。国王様と俺の両親が住むのにふさわしい城でしょう?」
「「・・・。」」
全員が絶句していた。
これほど大きく空間を拡張しても、ラウルの魔力量はまったく減る様子がなかった。おそらく、龍脈を己の作った空間へと繋いだためだろう。
魔素が充満していて、この異次元空間は神聖な空気に満ちていた。魔素が濃いと魔物が発生する悪いイメージだが、ここの魔素は神木が清めているのか、神聖な領域になりつつある気がする。
国王様の住むエリアと、ラウルの両親が住むエリアを城の高い階に作った。下の階は近衛兵団の皆さん達の住居スペースになっている。
近衛兵団の皆様には、この異次元空間の警備を担当してもらうつもりである。
使用人は必要だと思うが、主がアンデットであるため、普通の人間に頼むのは難しいだろう。今後の課題である。ちなみに食事は必要がないらしいので、調理師や食費の心配はない。
ラウルは城の中を案内し終わると、早速今日から住んでもらうことになった。
◆
自宅へと戻ったラウルは、自室でゆったりとしている。久しぶりに見たステータスに正直驚いていた。あれだけ敵やボスを倒してきたのだ、レベルアップも当然しているだろう。そう思っていたのだが、予想を斜め上をいっていた。なんと、ユニークスキルがふたつも追加されている。
ひとつは、『魔素吸収限界突破』。
説明欄には、「取り込むことができる魔素量の上限がなくなる」と、記載されている。おそらくだが、龍脈からの膨大な魔素を取り込めなくなったのだろう。限界が来たとき、肉体を守護するために進化した可能性がある。結果として、ユニークスキルを習得した。もしくは、神様の介入があったのかもしれない。
もうひとつは、『魔力自動変換貯蔵』。
こちらの説明欄には、「取り込んだ魔素を自動で魔力へと変換、異空間へ魔力を貯蔵まで可能となる」と、記載されている。
つまり、どういうことかというと、MPの値がこうなっている。
MP 100,000/100,000 + 貯蔵魔力(1,220,000)
この貯蔵魔力の値は、今現在も増加中である。つまり、一度に使用可能な魔力量は10万なのだが、魔力が減ると貯蔵魔力から補充が可能になったようである。
ステータスポイントの所には78と、その横にはボーナスポイントとして100ポイントと表示されている。前回同様、通常レベルアップにもらったポイントはVITへと加算した。ボーナスポイントの100は、前回とは違い、STR、VIT、INTに30ポイント。MNDに10ポイント加算した。それによって、魔力量は最大で25万となった。すでに人族の魔力限界は軽く超えているが、ラウルはそのことを知る由もなかった。
(あー、母様も救えたし、父様達も魔物となってしまったが保護することはできた。明日にはニルバーシュへ戻れるかなぁ。)
ラウルはやっとのんびりとした生活に戻れるとほっとしていた。
77話時点での、ラウルのステータス
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名前 ラウル(フィデル=アブ=バルサニール)
前世の名前 「鈴木はじめ」
レベル 20
種族 人族
性別 男
年齢 10歳
HP 2,048/2,048
MP 250,000/250,000 + 貯蔵魔力(3,820,000(増加中))
力(STR) 58
すばやさ(AGI) 25
耐久力 (VIT) 216
知力(INT) 80
精神力(MND) 55
ユニークスキル
インベントリ lv3、鑑定 lv2、魔力鑑定 lv2、時空間魔法 lv2、
魔素吸収限界突破 lv1、魔力自動変換貯蔵 lv1
スキル
魔素感知 lv1、魔素操作 lv1、魔力感知 lv2、魔力操作 lv1、
炎魔法 lv1、風魔法 lv1、土魔法 lv1、水魔法 lv1
かばう lv1
加護
木の上級精霊の加護
称号
『異世界からの転生者』
『醤油の父』
『失われた文明知識の伝道師』
『ニルバーシュ領の使者』
『スケコマシ』
『迷宮の管理人』
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