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エルフの隠れ里へ

 エルフの隠れ里へと戻るため、ラウルは壁に異次元空間へと繋がる入り口を開く。葵はラウルの魔法のことは理解しているようで、特に驚く様子はなかった。しかし、他のアンデッド達はとても驚いているように見える。


「フィデル、それは一体何だ?」

「父様、これは空間魔法で作った俺達の住居ですよ。」


 皆はゾロゾロとラウルについて中に入るが、口をポカーンと開けたまま呆けている。


「葵、しばらく戻れないと思うが、自動運転にはしたのか?」

「はい、マスター。遠距離からでも迷宮は操作可能なので大丈夫ですよ。マスターと離れた場合、意思疎通ができないのを心配していたのです。」

「そうか。」


 全員が中に入ると、一旦接続を絶った。


「ラウル・・・ラウル!」

「ん、どうしたシルフィ?」

「久しぶりに再会したのだから、邪魔をしたらいけないと黙っていたのだけれど。そろそろ私のことをお父様に紹介してくれないかしら・・・。お母様にも声をかけられなかったし・・・。」

「ああ、ごめん。父様、こちらが俺の婚約者のシルフィです。伯爵令嬢なのですよ。」

「ほうぅ、あなたが息子の・・・。これはお美しい・・・。血を少し・・・」

「え? 血?」

「駄目です。」


 ラウルはすぐに父様を遠ざけた。


「フィデル~、少しでいいんだ、少しだけ血を・・・かなり飢えてきているのだ。。」

「甘えたような声で言われても、シルフィは駄目です。気持ち悪いので止めてください。血を吸いたいのなら、セバスに頼んでください。」

「え!? 私ですか?」

「えー・・・、男は嫌だ。。」

(同じ血液なのに、女がいいなどと・・・。父様でも許せんことを言う。)


 我が儘をいう父様を放置して、ラウルはエルフの隠れ里へと空間をつなぐ。

 ラウルが一番に外に出ると、以前来たときとは様子が違っていた。魔素が非常に濃くなっている。これが龍脈から転移されてきた魔素なのだろう。しかし、濃度が非常に濃い気がする。周囲には、多くの魔物達の気配がしており、里の奥ではどうやら慌ただしい気配もしていた。


「とりあえず、里へ行ってみる。アンデッドは攻撃される可能性があるので、説明するまでこの空間の中にいてください。母様に会わすので、父様だけは一緒に来て。」

「わかった。」


 ラウル達は急いで里の中へと入っていった。


 里の中では、エルフ達が勢揃いしていて、全員が戦闘準備をしているようであった。何事だろう? ラウルは遠くから声をかけた。


「すみません、先日も来ていたラウルですが、これはいったい何事でしょう?」

「おお、これはラウル様。戻られていたのですね。実は、数時間前くらいから突然魔素の濃度があがり、周囲に強い魔物が集まってきたようなのです。中には、いきなり魔物が生まれたという報告もありまして。こちらも戦闘準備をしていたところなのです。」


 エルフの里長であるアンリが説明してくれた。


 ラウルは魔素が濃くなった原因に心当たりがある。むしろ当事者である。。そのようなデメリットもあったなんて考えもしなかった。


「申し訳ありません、母様を救うために龍脈から魔素をこちらに送ったのです。その影響が出ているようですね。。俺達も魔物討伐に協力致します。」

「そうでしたか。大御神様の力が戻っているのも感じます。ありがとうございます。きっと我らをお守りくださるでしょう。」


 里長と話していると、前方に突然美しい女性が現れた。その姿は、真っ白なワンピースを身に着けている。神々しい威圧感があり、すぐに人ではないと感じた。髪はかなり長くストレートに下ろしていて、背中のあたりまである。綺麗な金髪だ。顔は非常に整っていて、つい見惚れてしまうほどだ。

 

「ジェイル!? ジェイルなのか?」

父様が後ろから驚いたように叫んだ。


「あなた・・・、あなた、生きていたの? 嬉しい・・・、こんなに嬉しいことが続けて起こるなんて。。フィデルにも会えて、あなたにも会えるなんて・・・。」

「ジェイル・・・ジェイル!」

「あなた!」


 その女性はなんと母様であった。どうやら力を取り戻し実体化したようである。ラウルは初めて母様の顔を見ることができた。

 両親は共に走り出し、ラウルの目の前で再会を喜んでいる。ギュッと抱きしめられた母様はとても幸せそうに胸の中に顔をうずめていた。


(カプッ)

「きゃっ」


 突然、母様が小さく叫んだと思うと、父様が母様の首筋を噛んでいた・・・。とうとう、我慢できなくなったらしい・・・。しかし、精霊からでも血を吸えるものなのか・・・。


「あぁ・・・、あなたぁ。ちょっと、やめて・・・。」

(おいおい、息子の目前で何やっているのだ・・・・。ちょっとエロい。)


 二人の様子を多くの者達が見ていた。セバス、メアリーは呆れている。シルフィは顔を真っ赤にして両手で顔を覆っているようだ。しかし、指の間からしっかり見ている。ニーナはガン見していた。


「母様、父様はヴァンパイアという魔物に生まれ変わってしまったようです。」

「そ・・・そんなぁ。。」


 やっと父様から解放された母様は、しゃがみ込んで肩で息をしている。何故か、表情はうっとりしていた。まんざらでもないようである。






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