表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/90

死者達の迷宮2

 ラウル達は順調に地下6階層まで降りてきた。先にボスを攻略したパーティも先に進んだようで誰もいない。ここの階段のエリアは敵が襲ってこないようである。今日はもう攻略を止めて、また明日ここから始めようと思う。ラウルは異次元空間の入り口を開くと、すぐに家へと移動した。


 翌日、疲れもすっかりと取れて、良いコンディションで攻略を再開できた。

 6階層からは、ゴーストと呼ばれる魔物も出現するようになった。この魔物は物理攻撃が無効で、ラウルとシルフィのみでしかダメージを与えることはできない。一度に襲ってくる数が少ないことが、唯一の弱点だろうか。こんなのが群れをなして襲ってこられると、かなり厄介である。


 この階層からは魔物の数も多くなっていた。冒険者もここまで降りてくるのはかなり大変のようだ。ラウル達のように、毎日疲れを完全に落とすことなど普通は不可能なのだ。


 先を急いでいると、他の冒険者パーティが戦闘中の所に出くわした。このような場合は、基本的に相手を無視してやり過ごすのがベストである。まぁ、今にも全滅しそうというなら話は別であるが。

 しばらく進んでいると、先ほどのパーティが少し間隔を開けてついてきていた。パーティの中には、先にいるパーティに露払いをさせて、後ろを安全についてくる者もいる。あまり褒められる行為ではないが、戦闘後など疲労している場合にはよく使われる戦術でもある。

 気にせず進んでいると、前方にゴースト一体と、武装したグールが三体現れた。このくらいならば、問題はない。ラウル達はやっかいなゴーストを先に倒すことにした。ゴーストをもう少しで倒せるというタイミングでセバスはグールに攻撃を仕掛ける。セバスが二体を相手し、ニーナとメアリーが一体を危なげなく倒していく。その時、後方にいたパーティが側を駆け抜けていった。不思議に思っていると、パーティの1人がこちらをニヤリと嫌な笑顔を見せて走り去って行った。

(ん? 何か妙な雰囲気の奴らだな・・・。)

嫌な予感がしたラウルは、ゴーストを危なげなく倒すと、『サーチ』で周囲の状況を調べる。すると、後方からもグールの群れがこちらに向かって近づいていた。


「やられた、さっきの冒険者パーティに魔物をなすりつけられたようだ。」

「なに!?」

「え?」


 セバスとシルフィが驚いたようにこちらを見る。


「後方は俺に任せて、まず前方に集中してください。」

「はいっ!」

「わかった!」


 ラウルは後方の通路をぴったりと塞ぐように防御結界を張る。そこにグールの群れが五体押し寄せてきた。結界にグールがぶつかり、それぞれの武器で結界を必死で攻撃してくる。敵が止まっているうちに、敵の首のあたりの高さで水平に『カット』を行使した。すると、そのまま五つの頭部がごろりと床に落ちる。水平に薄く広げることで、直前に表示される青く光る前触れを発見されにくくするのが狙いだ。

 ボスの時は避けられたが、今回は無事に倒すことができたようだ。


 先ほどのパーティを追っていくと、またボス部屋へと到着した。5階層からは階層ごとにボスが存在するようである。閉まっているところを見ると、すでに戦闘中のようだ。おそらく、なすりつけていったパーティがボス戦に挑戦しているのだろう。


 数分後、ボスの部屋が開いていく。どうやらラウル達の順番になったようだ。中に入ると、いつもとは違う様子に、ラウルは言葉を失った。地面には冒険者の物と思われる装備品が沢山落ちていた。


「これは・・・。」

「どうやら、ボス戦に失敗したようですね・・・。」


 ラウルは文句を言うつもりで追いかけてきたが、その願いはもう叶わないと知った。嫌な空気がラウル達を包み込んでいるように感じた。


「みんな・・・、十分に気をつけて次のボス戦に挑みましょう。」

「うん。」

「はい、ご主人様。」


 少し休憩した後、ラウル達はボス部屋へと入っていった。


 ボス部屋に入ると、大きな観音扉が閉まる。ここまでは同じパターンだ。前方を見ると、スケルトンナイトが4体、馬に乗った槍を持った騎士がひとり。騎士の方は首がない。よく見ると、左手の上に頭部が乗っかっていた。あれは確か、デュラハンと呼ばれるアンデットである。


「う・・・、あの鎧は・・・。」

 セバスが珍しく動揺している。

「どうした?」

「あの鎧は、近衛兵団の鎧です・・・。」

「なんだと!?」


 セバスは、前方にいるスケルトンナイトの4体は近衛騎士団の鎧を身につけていた。すると、あのデュラハンはもしかして・・・。


「馬に騎乗しているのは、私の部下だった者です。」


 (そうか・・・、父様ではないか。)

 ラウルは不謹慎だと解っているが、ほっとしてしまった。


「セバス・・・、戦えないなら下がっていてかまわないぞ?」

「い、いえ! 大丈夫です。」

「では、俺が先制攻撃をする。あの馬に乗ってる奴は頼む!」

「はっ!」


 ラウルは、水平に大きく広げた長方形で、スケルトンナイトの首のあたりの高さにイメージすると、魔法を行使する。


【カット】


 青い線に気がついたスケルトンナイトは、慌ててしゃがむが、一体だけは首が地面に落下した。あと、デュラハンが乗っていた馬も無惨な姿になってしまっている。デュラハンは一瞬で馬の上からジャンプして躱していた。


(ブンッ)


 大きな音をたてて、デュラハンの槍が真横に薙ぎ払われる。それを受けたセバスが大きく吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がっていく。


「セバス!」


 援護のためにシルフィが風の刃を生み出す魔法で攻撃する。すべてヒットしたがそれほどダメージは受けていないようだ。ラウルはすぐにスキルを使用した。


【かばう】


 すると、セバスの前に音もなく移動した。瞬間移動ではないが、超加速より早いのではないかと思う。ラウルは盾を構える。そこに巨大な槍がすごい勢いで吸い込まれていった。

(ガキン)

相手の槍は大きく反対方向へと跳ね返っていった。スヴァリンの楯の【反射】の効果である。大きくバランスを崩したデュラハンに、起き上がったセバスがタックルをかます。大きく吹っ飛ぶデュラハンの落下地点あたりにラウルが瞬間移動した。【ワープ】。そして続けて【収納】を使用する。すると、ラウルの狙い通り、デュラハンの頭部が消えた。

(おお、アンデットであるデュラハンの頭部なら収納できるかもと試してみたら、本当に収納できてしまった・・・。)


 頭部を失ったデュラハンは意味もなく槍を振り回し始めた。ラウルは【ワープ】でセバスの元に戻る。


「ニーナ、下がって!」

「わぁ。」


ニーナと戦っていたスケルトンナイト2体が、デュラハンの槍で粉々に砕け散っていく。トドメとばかりにセバスがデュラハンの胸に剣を突き刺した。そのまま、デュラハンは動きを止めて崩れ落ちた。


「デュラハンは心臓を攻撃すれば倒せるのか。もともと首と胴体が繋がっていないので、弱点はどこかわからなかったよ。。」

「主様、私もですよ。。デュラハンと戦ったのは初めてです。」

「しかし、なんとかなってよかった。」


 元近衛兵団だけあって、難易度が結講あがっていたようだ。収納したデュラハンの頭部は魔石へと変わっていた。

 

ラウル達は、次の階へと階段を下りていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ