ラウル、家を買う3
ラウル達は、全ての階を調べ尽くした。しかし、高そうな芸術品などは見当たらなかったようだ。それならば、設備などが高価なのかと思い、店舗の奥にある調理場などを調べたが、特に鑑定によって高価な物は見つからなかった。
諦めきれないラウルは、歩きながら隅々まで鑑定していった。すると、四階の角部屋に来たところで、鑑定結果が不思議な表示をしていた。
『二重の壁。外壁との間にもう一つ壁があり、空洞の部分がある壁』
「みつけたー!」
思わずラウルは叫んでしまった。
おそらく、前の持ち主が身柄を拘束されることを予期し、財産を隠したのではないかと思われた。この店舗を購入したのだから、ここにあるものは全てラウルの財産となる。当然のことだ。
ラウルは、ワクワクしながら壁を調べていった。しかし、スイッチのような物はない。二重の壁を隅々まで鑑定しても手がかりはない。仕方がなく、空間魔法『カット』で壁の部分だけを慎重に取り除いた。中を覗くと、太陽光が入っていて一応明るくなっていた。お目当ての金貨や、沢山の書類を発見した。そして一番奥には、身元不明の白骨死体がひっそりと座っていた。
「うわぁぁぁ」
さすがにラウルも大声で叫び声をあげてしまった。何事かと、セバスとニーナがすぐに駆けつけてくる。すぐさまラウルは指示を出す。
「部屋に入らないように。ここで死体を発見した!」
「なんと・・・!?」
こうなってくると、もうラウル達だけでは手に負えない。メアリーと、ニーナに商業ギルドと衛兵の詰め所に向かってもらった。商業ギルドにはもちろん、殺人事件があった家を売りつけられたと抗議をするためである。
衛兵が先に到着したので、現場へと案内する。捜査協力として、被害者の氏名と年齢くらいは教えてあげた。白骨を鑑定したら情報は得られたためである。そこから先はラウル達に出番はない。衛兵の上官らしい者から何故わかるのかと、まるで犯人のような扱いを受け。仕方がないので、鑑定スキルのことを明かすと態度が一変した。
「捜査のご協力に感謝します。」
現金なものである。
今度は商業ギルドのビシネルが慌てた様子で戻ってきた。
「ラウル様、死体が発見されたとか・・・。」
「はい、白骨死体が二重の壁の中から出てきたのです。」
ギルドマスターのビシネルは、流石に焦った様子でしきりに額の汗をハンカチで拭っていた。
「このような物件をお薦めしてしまい、誠に申し訳ありません。」
「はい。流石に驚いてしまいました。しかし、このような二重の壁、発見するのは難しいと思いますので、商業ギルドに責任はないと思います。ただ、契約は取り消していただきたい。中から出てきた金銭などもそちらで処理してください。あくどい商売で稼いだ金など受け取りたくありません。」
「はい、申し訳ありませんでした。もちろん、契約は無効とさせていただきます。」
「よかった。それでは、学園のところの土地を購入したいと思います。早急に手続きお願いできますか?」
「え? よろしいのですか?」
「もちろんです、我々としても住む家は必要ですので・・・。」
「ありがとうございます。すぐに手配致します。」
ラウル達も、こんな所には一秒もいたくないのだが、衛兵はすぐには解放してくれなかった。事情聴取などが済み、やっと解放されたのはもう夕方過ぎていた。すぐに裏通りに行き、異次元空間の家に帰って疲れを癒やすことにした。
ベットに横になったラウルは、ぼーっと学園の近くの土地について考えていた。価格はたしか土地が2500万という相場だったはずだ。それに店舗付きの住宅を建設しようと考えていた。醤油はその店舗で売るとして、他には何か売れる物はないかとラウルは悩んでいた。
(んー、予算的には店舗兼住宅で2000万を上限として・・・、4500万を考えとくか。。あ、倉庫の解体費用も必要か・・・。)
ラウルは明日も商業ギルドへ向かうことにした。
ラウルは次に自分のステータスを開く。ステータスポイントには20のポイントがあった。レベルも二つ上がっている。現在はレベル12である。ステータス力(STR)に今回は20ポイント追加した。これは、訓練していた時の教訓からである。攻撃を受けてもダメージは受けないが、力が弱いと踏ん張れなくて吹っ飛ぶからである。
そして、今回増えた項目が加護である。木の上級精霊の加護というものが追加されている。そこをタップし、詳細を表示すると以下のように書かれてあった。
『木の上級精霊の加護とは、常に外部の魔素を自動的に吸収することが可能。そして、魔力を圧縮することが可能となった。圧縮率はレベルに比例して上昇する。』
通常、魔法を行使するときは、体内にある魔素を魔力に変換して発現させる。体内に魔素が不足すれば、自分で体外から取り込む必要がある。それが加護によって不要になったようだ。今まででも外部から自然と魔素が取り込まれることもあったが、加護によって確実に体内に取り込まれるようになった。
また、魔力を圧縮することが可能となった。現在の圧縮率は4分の一。つまり、魔力総量が4倍になった。現在のラウルのMP量は10万である。
さらに、常に魔素を取り込むことで、魔力自然回復量も上昇している。つまり、今までよりも格段に広い異次元空間を維持することが可能となった。
(うーん、MPの総量が10万を超えている人間っているのかな。名前の横には何故か貴族名も表示されるようになったけど、これは王族で間違いないってことなのだろうか?)
60話でのステータス
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名前 ラウル(フィデル=アブ=バルサニール)
前世の名前 「鈴木はじめ」
レベル 12
種族 人族
性別 男
年齢 10歳
HP 1,020/1,020
MP 100,000/100,000
力(STR) 28
すばやさ(AGI) 25
耐久力 (VIT) 108
知力(INT) 50
精神力(MND) 45
ユニークスキル
インベントリ lv3、鑑定 lv2、魔力鑑定 lv2、時空間魔法 lv2
スキル
魔素感知 lv1、魔素操作 lv1、魔力感知 lv2、魔力操作 lv1、
炎魔法 lv1、風魔法 lv1、土魔法 lv1、水魔法 lv1
かばう lv1
加護
木の上級精霊の加護
称号
『異世界からの転生者』
『醤油の父』
『失われた文明知識の伝道師』
『ニルバーシュ領の使者』
『スケコマシ』
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