ラウル、家を買う2
馬車にゆられて、貴族街の中をのんびり走っている。目的地は旦那様の屋敷からもそれほど離れていないらしい。ギルドマスターのビシネルが勧めてくる屋敷は、貴族街の東の端にあった。
広さは100坪くらいだろうか、そこそこ広いという感じである。旦那様の屋敷と比べたら、全ての家が狭いことになってしまう。小さいながらも庭もある。建物はかなり古そうだ。築何年なのだろう。木造の二階建ての屋敷である。
これで1000万は安いと思ったが、念のために鑑定をしてみる。すると、透明のウインドウが開き、結果が表示される。
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元子爵家の家
築150年以上。シロアリが巣を作っており、建物に価値はない。土地は約1500万円の価値はあるだろう。
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それを見て、決して安い買い物ではないと気がついた。この建物にはもう住めないだろう。一度取り壊して立て直すとすると、解体費用と、新築の建築費用がかかる。1000万で購入しても、この土地にふさわしい屋敷を建てるとなると、おそらく追加で2000万以上は費用がかかるだろう。
ラウルは次の物件を案内するようにお願いした。ビシネルはニコッと笑って承諾してくれた。
(もしかして、試されている?)
次の物件は、土地が異常に広かった。場所は商業区にあり、学園に隣接していた。
「えーと、こんなところ本当に購入できるのですか?」
「はい。領主様の計らいで、学園の土地の一部を売りに出してもいいそうです。」
その土地には倉庫のような平屋の建物が建っていた。鑑定してみると・・・。
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学園に付属する建物。(倉庫)
学園で使用する備品を入れておくための倉庫。建物には住めない。
土地の価格は、約2500万円
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「この土地はおそらく建物を取り壊し、新築で屋敷を建築することになるかと思います。」
「はい。お値段はいくらでしょう?」
「そうですね・・・、3000万でどうでしょう。」
「うーん、次お願いします。」
「ふふ、わかりました。」
「できれば、そのまま住める家がいいですね。それほど大きな屋敷でなくても大丈夫ですので。」
「ふむ。ではご案内致します。」
こうして、また馬車で移動する。
馬車はゆっくり走って、平民街にやってきた。都市の大きい道路に面した建物の前で止まった。
(へぇ、主要道路に面しているところか。良さそうだ。)
「えーと、こちらはもともと大店が入っていた店舗になります。不正があり、我がギルドから商売する資格が剥奪された店が入っていました。こちらの店舗ならすぐにでも住むことも可能でございます。店主は逃亡を計りましたが、逃げる前に捕まり、現在は奴隷となっているという噂です。」
こちらも早速鑑定をしてみる。
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元商会の店
築40年の店舗付き物件。三階以上は住居となっている。建物の価値は500万。
建物の付加価値、約3000万。
土地の価格は、約1800万円。
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ラウルは鑑定して驚いた。結果に付加価値と表示されている項目があった。
(付加価値ってなんだ?)
「この物件はいくらですか?」
「そうですね、まだ建物は新しい方ですし、土地の立地条件も良いので・・・。この広さにしては、少し高くなりますが・・・。2500万円ではどうでしょう?」
「うん、なかなかいいですね。中をみせてもらってもいいですか?」
「もちろんです。」
ラウルは鑑定結果を信じて、この物件の価値を5000万以上と見込んでいた。2500万ならかなりの利益が出るだろう。
ビシネルを先頭にゾロゾロと歩く。中を案内してもらっているのだ。店舗にはまだ、棚が沢山残されていた。店舗の奥には、大きな調理場もあった。喫茶店や、食べ物を売るお店もできそうである。二階は事務所になっていた。三階から五階までは住居になっている。各階にトイレが付いていて、5階には大きな浴場まであった。なかなかいい物件だと思った。
「うん、いいですね。ここ、気に入りました。」
「ここでよろしいですか?」
「はい、ここに決めます。よろしくお願い致します。」
「はい、ありがとうございます。」
すぐに入居可能ということで、契約書にサインをし、鍵を預かった。お金は商業ギルドカードをビシネルのカードとくっつけることで、お金が送金された。どのような仕組みなのかはよくわからない。暇があれば、詳しく調べてみたいと思う。
ラウルが初めて自分のお店を持った瞬間であった。
ビシネルが帰ると早速付加価値というものを探す。美術品だろうか? 骨董品だろうか? ラウルは皆で手分けして高そうな物を探す。しかし、すべての階を調べたが手がかりはなかった。
(あれー、おっかしいなぁ。)




