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はじめての依頼任務2

 目の前には三匹のゴブリン・ソルジャーがいる。

 ラウルの魔法射程距離は約20メートルである。


「一匹を俺が仕留めるので、残り二匹を頼めるか?」

「はい、ゴブリンくらいならば楽勝だと思います。」


 ラウルは一匹のゴブリンの首から下を立方体で包み込むようにイメージをした。


【カット】


 魔法が詠唱されると、青い立方体が一匹のゴブリンを包む。そして、首から上だけが残った。その頭部は何も理解できずにそのまま引力にしたがって地面まで落下した。

 残り二匹が気がついて襲いかかってきた。ニーナはその目前に立ち短刀を構える。ゴブリン・ソルジャーは、さびたロングソードを振り回しながらニーナに襲いかかった。すれ違いざまにゴブリンの首から血が噴き出す。


(相変わらず素早いな。)


 ラウルは目で追っかけるのが精一杯であった。残りの一匹がニーナに斬りかかるが、蝶のようにひらりひらりと躱していく。完全に攻撃を見切っているようだ。気づけば、ニーナの短刀がゴブリンの首に突き刺さっていた。まったく危なげもなく三匹を倒してしまった。

 三匹くらいなら、ラウル独りでも倒せただろう。何故ニーナに二匹を任せたのか、それはニーナの戦闘を見ておきたかったからである。ラウルの現在の実力だと、前方20メートル以内であれば、何匹いようと一瞬で消し去ることが可能なのだ。しかし、範囲内に味方がいる場合など、まったく使えない魔法となってしまう。なので回避盾として戦うニーナとの連携も必要なのだ。


 戦闘が終了すると、ラウルの頭の中にファンファーレが響き渡った。そして、前方にウインドウが表示された。そこにはレベルアップの文字が。


(ゲームかよ!)


 つい、心の中でツッコミを入れてしまった。


 ラウルは生まれて初めてレベルアップをした。レベル2である。ステータスポイントを10獲得したと表示されている。どうやらこのポイントを振り分けることで自分を好きなように成長させることが可能らしい。詳細な説明を表示するという項目があったので、タップしてみた。

 すると以下のように説明が表示された。


==========================================

 ステータスポイントを振り分けることで、自分の能力を上げることが可能。尚、このシステムは神より特別に許された者のみが使用可能である。通常、その他の多くの者は、ポイントがランダムで振り分けられる。本人の意思では操作が不可能である。


 ポイント振り分け先のステータスと効果など。

 力(STR)・・・、、力が強くなる。近接攻撃のダメージ値が増加する。スタミナ値が増加する。

 すばやさ(AGI)・・・、移動が早くなる。敵の攻撃を躱すのが楽になる。弓などの遠距離武器などの命中率が上がる。

 耐久力 (VIT) ・・・、敵の攻撃ダメージ量を減らすことができる。HPが増える。

 知力(INT)・・・、魔法攻撃のダメージ値が増加する。MPが増える。

 精神力(MND)・・・、回復魔法の回復値が増加する。睡眠や混乱、催眠などの魔法に耐性を持つようになる。

==========================================


 どうやら、これはラウルだけに許されたシステムだったらしい。通常は自分で振り分けることはできないのだろう。

 どのステータスに振り分けるのか悩みどころである。誰もが思いつくのは知力に振り、魔法攻撃力を上げるべきだと考えるだろう。しかし、ラウルの場合は空間魔法が威力に関係なく即死攻撃となる為、知力に振り分けてもあまり意味がないのではとも思えるのだ。

 ラウルはしばらく悩んだ結果、範囲攻撃などは素早さをあげていても躱すのは難しいので、耐久力を上げることにした。今回もらったポイントを全て耐久力へ振っていく。結果、耐久力は18となった。


(結局は、死んだら終わりだからな。できるだけダメージを減らす方が、生き残れる可能性はあがるだろう。この世界で死んでしまったら、ゲームのように教会で生き返るなんてことは多分ないのだから。)


 それからも、ラウルはゴブリンを狩り続けた。ゴブリン程度であれば、まったく安心して狩ることができたので、レベルもどんどん上がっていく。もともとレベル一桁の場合、次のレベルまでの経験値は少ないので、レベルアップもすぐであった。

 入手可能なステータスポイントはランダムだったらしく、5ポイントの時もあれば、17ポイントも貰えたときもあった。


 気がつくと、ラウルのレベルは8まで上がっていた。

 いままでのポイントはすべて耐久値につぎ込んでいる。現在の耐久値は78になっていた。ラウルはまだニーナよりレベルは低いが、耐久値とHPだけは勝っていた。

 ラウルは盾ジョブとしても通用するだろう。そして、ニーナも躱すのが得意なので、回避盾としての役割もこなすことが可能である。ラウル達は、盾役も攻撃役もこなす、オールマイティな特殊なパーティー構成となった。


 かなり森の奥まで入ってきた。一定間隔で『サーチ』を唱えていたが、現在地より数キロ先にゴブリンの集落があることに気づいた。そして集落の奥にはゴブリン・ロードの反応も確認できた。

 ゴブリン・ロードは一部族を統率することが可能な、かなり知能の高いゴブリンの上位種である。こいつがいるだけで、ゴブリン達の動きはまったく異なり、かなり手強い相手となる。今のラウル達だけでは討伐は難しいだろう。


(集落にいるゴブリンの数は、約100匹。見つかるとかなり不味いことになるな・・・。)


「ニーナ、奥にゴブリンの集落がある。ここは危険だ、急いで村まで戻るぞ。」

「はい、ご主人様。」


 ラウル達は急ぎ村まで戻った。すぐにでもギルドへ報告しなければいけなくなったのだ。

 近いうちに、村に甚大な被害が発生する恐れがある。ギルドにすぐにでも討伐隊を出してもらう必要があるだろう。




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