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ラウル平民になる

 旦那様と交渉も終わり、ラウルは早速調味料のレシピと作り方を旦那様に伝える。実際にメモを取っているのはメイド長だが。


 原材料は、大豆、小麦、塩水。比率は1:1:1だ。小麦は炒ってから砕くと良い。大豆は水に浸しておき、蒸す。次に、大豆と小麦と種麹を混ぜ、三日間発酵させる。それに塩水を最後に混ぜて熟成させる。後は毎日空気を含むようにかき混ぜれば、二年ほどで出来上がりである。


「以上です。レシピと作り方はこれでよろしいでしょうか?」

「ああ、問題ない。あとは実際に作りながら確認していく。」

「はい。」

「では、妻を呼んできてもらえるか?」

「畏まりました。」


 数分後、メイド長に呼ばれて妻のイブ様がやってきた。


「それでは、奴隷から解放する儀式を早速始めようと思う。」

「はい。」


 イブ様は、ラウルの前に来て何やら呪文を唱え始めます。しばらくすると、足下に魔法陣が浮かび上がってきてまばゆい光に包まれました。


「ラウル、儀式は終わりました。これであなたは奴隷から解放されました。おめでとう。」

「ありがとうございます。」


 もう儀式は終わったらしい。随分と簡単に解放される物なのだなと思った。ラウルは奥様に深く礼をした。

 メイド長が鏡を持ってきてくれた。鏡をのぞき込むと、首の所にあった入れ墨が綺麗に消えていた。その時、本当に奴隷から解放されたのだと実感した。そして、目頭が熱くなる。


「奥様、旦那様、奴隷から解放して頂きありがとうございます。このご恩は一生忘れません。」

「いやいや、これは正当な対価だから恩を感じる必要はないぞ?」

「は・・・、はい。しかし、嬉しくて。」

「ははは、いつもは子供らしくない物言いのくせに、この位で泣くな。」

「ふふふ。よかったですわね。」


 その後、屋敷の全員を集めてラウルのことを改めて説明してくれた。ラウルが、新しい調味料を発明したこと。そのレシピと作り方を旦那様に伝えてくれたこと。その報酬として奴隷から解放し、ラウルを平民の客人として迎えることを伝えた。


「わぁ、おめでとう!ラウル!」

「ありがとうございます、お嬢様。」

「あら、もう使用人でも奴隷でもないのだから、私のことはシルフィって呼んでくれて良いわよ?」

「え? 駄目ですよ。平民が貴族の方をそのように呼ぶのは失礼になります。親しき仲にも礼儀ありです。シルフィー様か、お嬢様でしょう。」

「えー、つまんない。」


 その場で軽く笑いが起こった。とても幸せな時間に感じます。


 その後、ラウルは屋敷の客間のひとつを与えられ、そこに住むことになった。醤油を仕込んでいる土器の壺を引っ越しさせるのが大変だったのは言うまでもない。

 一度、壺を収納できないか、試してみたのだけれど、微生物が生きていると判定されるのか、何故かインベントリ内に収納はできないのだ。ちなみに、最後の火入れで微生物を殺菌することで、収納することはできた。将来、醤油を納品する場合などにインベントリスキルを使えることは確認済みだ。


 コンコンと、ノックがした。扉を開けると、ひとりのメイドさんが立っていた。


「こんばんは! 今日からラウル様の身の回りの世話をすることになりました、メイドのマインと申します。今後ともよろしくお願い致します!」

「えええええええええ、それって侍女ってことですか?」

「え? 侍女は女主人の身の回りの世話をする者ですよぉ。私はただのメイドです!」

「えーと、俺は平民なので、世話するひとはいりませんよ?」


 そう言うと、マインはこの世の終わりのような顔をした。


「えぇーー!? いきなりクビですかぁ? お願いします、初めてメイドとして仕事任されたのです、世話させてください!」

「えー、そんなこと言われても、自分のことは自分でできますし・・・。」

「ガーーン。」

「ガーンって口で言う人初めて会いました。」


 しぶしぶとマインは部屋から出て行った。

 数分後、メイド長と一緒にやってきた。


「ラウル様、客人待遇なのですからお客様の面倒を見るのはメイドの仕事です。諦めて、世話をされてください。」

「様はやめてくださいよー、メイド長。」

「いいえ、もう立場が変わったのですよ。ラウル様こそ自覚してください。」

「う、そうなのですか。」


 どうもやりにくい。。


 諦めて、世話をされることになった俺だが、特にして貰うこともない。。マインはずっと隅の壁際に立っている。ニコニコとこちらをじっと伺いながら。


「あの、マインさん?」

「はい、ラウル様!」

「ずっと、そこに立ってるつもりですか?」

「はい、何か用事の際にすぐ対応できるようにするためです!」

「はあ・・・。」


「そろそろ、お風呂に入りたいと思います。」

「では、服を脱がしましょう!」

「!?」

「お背中も流しますよ?」

「!?」


 それからまた一騒動あって、ベットに横になれたのはすっかり深夜になっていた。

 翌日、旦那様と再度交渉することになる。ラウルの待遇について、服の着替えや、風呂の世話は必要ないことにしてもらった。あと、必要なときに呼ぶので、常時部屋の中にいるのは勘弁してもらった。


 (あ、そういえば、学校はどうなるのでしょうか?)




先日、誤字報告初めて頂きました。

ありがとうございました。

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