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初登校と、初めて醤油を作る

「シルフィお嬢様の荷物持ち兼、護衛係のラウルと申します。よろしくお願い致します。」


 俺がそう言うと、クラスのあちこちで噂話に花が咲きます。


「馬鹿! そういうことは秘密にしておくことでしょう? 何をクラス全体に宣言しているのですか!」


 あ、お嬢様、やはりこのクラスにいらっしゃったのですね。顔を真っ赤にして怒っています。どうやら、恥ずかしい思いをさせてしまったようです。


「あー、静かに。静かにしてください。ラウル君の席は、シルフィさんの隣がよろしいですね。あそこの席へ座ってください。」


 先生はお嬢様のことを「さん」付けて呼ぶのですね。確か以前職員室では「様」を付けていた記憶がありますが。やはり、授業中などは教える立場として色々とあるのかもしれません。


 授業は、1教科50分で進んでいきました。休憩10分です。

 科目は必須科目が、国語、算数、歴史、魔法の四科目ありました。選択科目というのもあり、政治、マナー、魔道具、ダンス、体術などがありました。ラウルは、お嬢様と同じ選択科目を選んでおきました。護衛の為には同じ科目を選択するベきでしょう。まるで大学の科目のようです。前世でも大学は行ったことがありませんが。


 国語や、算数は正直つまらなかったようだ。ラウルにとっては、小学生に習った知識である。逆に、歴史や魔法の授業は未知の分野だったので、楽しんで授業を受けているようだ。


 休み時間などでも、特にラウルにちょっかいを出してくる者もいない。お嬢様が目を光らせているのもあるが、伯爵家の者という肩書きも効いているようだ。


 その日は、特に何事もなく屋敷へと帰宅した。

 家庭教師による魔法の練習も終わると、許可をもらい、ひとりで平民街の商店街までやってきた。醤油作りのための大豆を購入するつもりのようだ。今までの使用人としての給料や、それ以前に持っていた全財産を全て持ち出してきている。まぁ、少ない金額であるが。


 商店街には沢山のお店が所狭く並んでいる。食料品を売っている店もあれば、道具や武器、少し高価な所になると本なんかも売っている。

 ラウルは、食料品店の中から穀物を売っている店を見つけた。ずらりと並んだ品物をじっくりと見ていきます。米もあります。小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、小豆、ソラマメなど。思った以上に種類が豊富です。


 早速、大豆を鑑定してみた。と言っても、鑑定はしたことがないので、ただ単に大豆を凝視しながら【鑑定】と唱えただけだが。すると、目の前にいつもの透明の四角い窓が表示され、そこに鑑定結果が表示された。


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鑑定結果

品名:大豆、品質:中

生産地:スフィア王国ノゥエスト辺境伯領


マメ科の一年草。完熟種子は主に搾油の原料となり、脱脂後の絞り粕(大豆粕)は飼料として利用されている。未成熟の種子を枝豆と呼ぶ。醤油の原材料にも利用される。

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 醤油の表記があった。やはり、大豆から醤油は作られるらしい。

 とりあえず、大豆を500グラムくらい買って帰った。屋敷に戻ると、調理場をすこし使わせてもらい、試しに100グラムほどの大豆を煮てみることにした。イメージ的にはグツグツ煮込んでかき混ぜていると醤油になるのかと思ったのだが、まったく変化はない。ただ、少し柔らかくなった。

 発酵させないといけないと解ってはいるが、発酵ってどうやってするんだろう。もうすこし、前世の知識を覚えておくべきだったと後悔した。


(発酵って、要は腐らすって事だよな?)


 ラウルは、煮た大豆をそのまま水を切って腐らせてみることにした。腐らせるといっても、やることはなにもない。そのまま放置で様子を見ることにした。


 数日後、大豆を観察してみると青く変色していた。


(うわっ、これってカビじゃね?)


 チーズとかはカビが生えると美味しくなるというけれど、これはヤバイ気がする。一応、鑑定してみた。


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鑑定結果

品名:複数のカビが繁殖している大豆、品質:最悪

生産地:スフィア王国ノゥエスト辺境伯領


複数のカビが繁殖している大豆、食べるとお腹を壊す。

高い毒性あり。

カビの種類、青カビ、赤カビ、コウジカビ。

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 当然だが、食べられないようだ。


(ん? 最後のコウジカビって、もしかして麹菌のコウジか?)


 麹とは、確かお酒の発酵に使われる種麹に使われるとおぼろげに記憶していた。


(もしかして、醤油にも使えるのでは?)


 なんとかして、このカビの中からコウジカビだけを取り除けないかと観察してみる。

 よく観察すると、大豆がカビの種類によって色が違うことを発見した。青っぽい大豆、赤っぽい大豆、うぐいす色の大豆に大きく分けられた。そのうぐいす色の大豆を鑑定すると、「コウジカビに覆われた大豆」と鑑定結果が出た。この「コウジカビに覆われた大豆」と、100グラムほどの煮た大豆を混ぜて、今度はできるだけ空気に触れないように布巾を上からかぶせた。


 また数日放置して大豆を確認すると、100グラムの大豆にびっしりとコウジカビが繁殖していた。表面のコウジカビだけを削り取ってお皿にのせる。それを鑑定すると・・・。


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鑑定結果

品名:コウジ菌、品質:普通

生産地:スフィア王国ニルバーシュ伯爵領


普通品質のコウジ菌。

酒や醤油、味噌の発酵に利用される種麹。

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 ここでラウルはあることに気がつく。酒、醤油、味噌のそれぞれに下線が引かれている。


(これはもしかして・・・。)


 ラウルは醤油の下線が引かれている部分を指でポンと選択する。すると・・・


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醤油とは・・・


大豆、小麦、塩水を原材料として、種麹で発酵した物を布で濾した液体調味料。

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「おおー!」


 この鑑定スキル、リンク機能も搭載しているようです。鑑定結果をさらに調べることができます。

 ラウルは醤油の原材料をすべて発見した。しかし、この世界ではまだ発見されていない物も鑑定できるようだ。これは前世の知識も網羅しているということである。流石は神が授けてくれたスキルである。 


(後は、試行錯誤をして作り方を確立するだけだ。)




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