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②
中学校から僕の家までは、歩いて三十分かかる。
本当なら自転車通学が認められるけど、恥ずかしいことに僕は自転車に乗れなかった。
ある日の帰り道。
僕は下校中に強い尿意を催した。
臆病な僕には、立小便なんて出来なかった。
家まであと15分。
僕は必死にオシッコを我慢した。
だけど山道の狭い路肩で、勢いよく走ってきた車とすれ違ったとき。
体からフワッと力が抜け、ブリーフの中がお湯でも溢れたように温かくなった。
足元を見ると、広がっていく水たまりが夕陽を反射して輝いていた。
「…ただいま」
ぐしょぐしょに濡れたブレザーの灰色のズボンを見ると、母親の顔色が変わった。
「あんた、学校でもらしたの?」
「ううん、違う……帰り道……」
「誰かに見られた?」
「……ううん」
「よかった……シャワー浴びといで。制服はお母さんが洗っとくから」
母親は、粗相をしたことを叱らずに、僕が恥をかいていないかどうかを真っ先に気に掛けてくれた。




