最強従者は今日も自由 第二章 第六話
-ゴンゴン
部屋にノックが鳴り響く
読んでいた本を置き、言葉を返す
「どうぞ」
扉が開き、初老、寄りかは少し老け始め程度の男性が入ってくる
「糸垂様、アデサラ様がお呼びです
今直ぐに来いとの伝言です」
「・・・分かった
ところでロドム、体の調子は如何だ?」
「昔程ではありませぬが、
糸垂様の御陰で変わらず動く、と言った具合で御座います」
「其うか、なら良い」
ロドムと呼ばれた男の名は、メージア・ロドム
此の屋敷の執事長を務めている
今では最も仕事が出来る執事である
「俺はアデサラの部屋に行って来る」
「了解致しました
では、私奴は此れで失礼致します」
其うして、ロドムは一礼し部屋を出る部屋を出た
-----
「話が有ると聞いたのだが」
「あ、糸垂やっと来た
話っていうのは、
フィーネちゃんを遂行者任務に連れて行って欲しいなっていう」
「却下」
返事をするまで間髪入れなかった
最早反射的だった
「抑なして其の話が出てきた」
「ほら、フィーネちゃんってあんまり羽を伸ばす機会がないじゃない
未だ子供だしそう言う機会って大事じゃない?
それには大自然が一番でしょう?」
「・・・NR2に連れて行けと?」
「話が早くて助かるわ
糸垂なら大丈夫でしょ
お願い」
言いたい事は分かるが、
万が一という事も在る
「其う言われてもだ」
「お願いっ!」
「・・・分かりましたよ」
「ありがとう!」
結局此方が折れる羽目に成る
何も無きゃ良いが
「今から行って来る」
-----
---ゴンゴン
「お嬢様、入ります」
「はーい、どうしたの?」
扉を開け部屋に入るなり、
フィーネは此方に近寄って来る
「今から一緒にNR2の方に行かないかという話を」
「行く!」
話終わる前に、食い気味にフィーネは返事をする
-----
そうして、二人はとある建物に向かっていた
「どこむかってるの?」
「総合ギルド及び依頼所、一般的にギルドと呼ばれる場所だ
色々な任務、雑務から討伐まで様々だが、を其処で斡旋して貰う」
「ん-・・・
よくわからないけど、直接NR2に行ったらダメなの?」
急に返された質問に、返答に困る
「駄目、という訳ではないんだが・・・
暫く任務を受けないでいると任務を斡旋して貰い辛くなる
依頼所側としては、
実力の在り、多く依頼を受ける人により依頼を回したいからな
折角行くなら、依頼を受けて行った方がメリットもある
報酬も出るからな」
「よく分かんない」
苦笑いが零れる
「直ぐ其の内分かる様に成る」
其う、会話を交わしている内に建物は既に目の前に在った
扉を開けて中に入る
周囲が少し騒めいた事を感じる
・・・放っておいて呉れると助かるのだがな
其の儘の足で受付へと向かう
「手軽な探索任務は入ってないか」
「そうですね・・・
現在ブラッドウルフ希少種の頭数が増えていると報告があり、
それだけなら珍しいだけですが、
発現する特徴が全て凶暴化という報告が入っていまして
それの掃討と原因調査になりますかね」
其の話を聞いたフィーネが疑問の声を上げる
「希少種ってなに?」
「なるほど、お嬢様もいらっしゃいましたか
私から説明しましょう
希少種というのは、先天的に突然変異を起こし、
本来の種族にはない特徴を持つ個体の事です
この場合、ブラッドウルフは本来温厚で狂暴的ではないのです」
フィーネは唸り声を上げる
「簡単に言えば、
種族として持ってないはずの特徴があるっていう事です」
「なんとなく分かった気もわかんない気もする・・・」
此れには俺も職員も軽く笑いを零す事しかできなかった
「そろそろ行きますよ」
「はーい」
斯くして、ギルドを出た
-----
其うして、NR2の指定された区域へと足を運ぶ
「こんなに沢山の木初めて見た!」
「危険だから余り離れない樣に」
其う、子供らしい無邪気さに嘆息していると、
一瞬視界が歪んだ
其れはたった一瞬だった
其の筈だと言うのに、
「・・・居ない?」
・・・此れは、不味い事になった




