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最強従者は今日も自由 第二章 第七話

「・・・なるほど、それでこんな所に」

フィーネから事情を聞いた灑我は、少し考えてから、

言葉を繋げた

「とりあえず、糸垂さんを探しましょう

探しているはずです」

状況の説明をしてからは、

フィーネはずっと無言だった

それでも、灑我のスカートの裾をずっと握っていた

「あまり、離れないでくださいね」

「・・・うん」

フィーネは、小さく頷いた

灑我はそんなフィーネの手を握り、

二人は歩き始めた

少し歩いたところで、フィーネは一言呟いた

「・・・灑我は何してたの?」

気を紛らわせたいのだろうと思った

少し考えてから、返答する

「剣の修行ですね

素振りですとか、技の試しですとか」

「・・・そうなんだ」

再び沈黙が訪れる

---少し、気まずいですね

何か喋ろうと、口を開こうとした

その瞬間だった

ーヒュン

風が吹き抜ける音が聞こえた

森を歩いていたはずなのに、

気付いた瞬間には、

視界が開けていた

「・・・フィーネさん、離れないでください」

「・・・?

わかった」

左手でフィーネを抱きながら、右腕を剣に伸ばす

風は止まっていた

嫌になるほどの、

静けさ

「・・・?」

一瞬、景色が歪んだように感じた

本能的、危機感


「跋弧」


剣を抜く

それは反射的だった

其処に何かが居る

そう思った時には既に剣を抜いていた

それは、紅い雫を散らせていた

一瞬の出来事に理解が追いついていないフィーネが、

言葉を漏らす

「向こうにいるの、

糸垂だ!」


―――――


・・・少し時間を遡り、

糸垂は森を駈けていた

次から次へ

一度の足で幾本の木々を通り過ぎようと、

其の近くに一人の少女の気配は無く

「・・・ッチ、視界が悪い」

そうして糸垂が指を鳴らそうとした瞬間だった

「糸垂!」

-カンッ

名前を呼ぶ声が聞こえる

其方を向けば、フィーネの姿が視界に映る

其れは此方に走ってきていた

「やっと見つ、け、た・・・?

え?」

其れは、主人と附人、

其の再会にはならなかった

斬られた少女の風貌

其れの流れる血は、罠でも闇でもない、

糸垂の手に握られた剣に伸びていた

糸垂は剣を構え直す

「誰だ御前は」

其処に伏している少女の風貌は、

フィーネそのものだった

其れは、糸垂自身が最も理解している

「・・・うちの御嬢様は陽に当たると焼ける体質だ」

一拍置いて、言葉を続ける

「御前は、誰だ

うちの御嬢様に何をした?」

何時の間にだろうか

森を走っていた筈の其処は、

・・・氣附けば、木々の開けた場所になっていた

『貴様・・・何をした?

此の一帯に開けた場所は無い筈だ』

フィーネの姿をしていた何かは、

黒く禍々しい『何か』に変質する

黒く霧散している間にも、

其れは問いかけてくる

「御前は何を言っている

此処は元々開けていただろう」

『・・・そんな訳が、無いだろう』

其う言葉を吐いた其れが、

一瞬笑った樣に見えた

『本物が来たじゃないか』

其れが見ていたのは、

糸垂の更に後ろ

凡そ、開けた空間の、反対側

其の闇は風に晒される樣に、

其方の方へ流れていく

「しまっ!?」

突然の事に反応が追いつかない

見えない者を相手にする事は、

時に困難となる

其の、瞬間だった


「跋弧」


フィーネの物ではない、

然れど聞き覚えの有る声が聞こえた

「灑我・・・?何故此処に・・・」

然れど、其れが不幸中の幸運で在った事に、

代わりは莫し

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