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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
2章 1期生の参加者集め [その2] 怪物の息子

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17話 財閥の身内切り



 深夜一時の暗闇の中に浮かぶ高層ビルを見上げた。窓からこぼれる無数の人工的な光は真っ暗な夜を照らし、高級感溢れるこのビルに存在感を強く感じさせる。


 これで静寂な光景だったら、どんなに長い時間見とれていただろう。


 だが、その優美な空気をぶち壊しにする男が黒服二人に両脇を抱えられてビルの入り口から現れた。



 「な、なんだ! 離せ、くそっ、ふざけんなっ!!」


 汚い言葉をを吐きな散らし、暴れる腕を抑えられてやってきた男は暗がりで風貌がよく見えないが、エネルギッシュでまだ若いように感じられた。


 確かに上層部から転送されたデータには年齢は24歳との記載があり納得も出来るが、そこに載せられた写真には正装の黒服に身を包み、斜めに前髪をバッサリと真っすぐ切りそろえた至って真面目そうな青年ととても同じ人間とは思えない。


 とはいえ、とり逃すわけには行かない。その青年の住所を間違えるわけも無いのでやはり履歴書の前では皆誰しもが仮面を被っているというわけだろう。



 きっと想像もしないだろうな、大蔵 大輔、君の父親の命令でこんなことになっているなんてね。



 そのまま黒塗りの高級感 あふれる車内へと押し込められ、見るからに怪しい外車に乗せられる。


 ーーー私の指示した通りに。



 二人組の有栖川と小早川の一件を片付けて、月島は新宿の歌舞伎町の小さな、それこそほとんど人気ひとけのないバーで夜を明かしていた。


 「なんで、私がこんなことしなきゃいけないんだっつーの」


 「お客さん、そろそろ帰った方が...」


 「いっいーんだよ! 今日は休みなんだから....それより、聞いてよ!」


 「いや、本当に帰った方がいいですって」


 「わたしぃ〜、デスゲームで生き残ったんだよ〜!すごくな〜い」


 「これは完全に飲みすぎてるな....。お客さん、ちょっと携帯貸してもらいますよ!誰か知り合いに引き取ってもらいますからね」


 店主は机を回り込み、月島のポケットを探ろうと手を伸ばしたその瞬間。


 月島のポケットがバイブレーションで揺れ始めた。


 「よかった、それじゃその電話終わったらちゃんと帰ってくださいよ」


 そう言って、店主は先ほどの来たルートを戻り、中央の定位置でワイングラスを磨き始めた。


 もやのかかった頭で突発的にかかってきた携帯電話を寝ぼけまなこで耳にかざす。



 「ふぁい.....月島ですが」


 一瞬あくびが出そうになり、口に手を当てた。相手は上層部の道明寺どうみょうじ

仕事のほとんどがこの男から資料とともに毎度やってくる。


 だが、今日は休日のはず。


 つまり、電話が来たってことは....。


 「なんだ、その間抜けな声は」


 「は、はい! すみません。ちょっと気が抜けてました。で、今日連絡をされたということはやはり....」


 「ああ。 急用案件だ。すぐにこっちへ来て欲しい」


 「はい。すぐに参ります。こっからだと、だいたい40分程度といったところでしょうか」


 「ふむ、了解した。それで頼む」


 そして、通話が切断された。


 「店主さ〜ん、わたしの休日がなくなった〜」


 「それはお気の毒に。では、お帰りください」


 店主がニッコリと笑顔を向け、飲みすぎた月島にもさすがにその店主の強いイラつきが裏に隠れていることを察した。


 「ごめんなさい、また来ます」


 ドンッとお札を置いて、時折壁に肩をぶつけながら、おぼつかない足どりで店を去って行った。


 「あの人、一人で大丈夫だろうか...」


 さすがに心配になった店主だったが、それ以上考えることをやめた。


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