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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
2章 1期生の参加者集め [その1] 怪しい二人組

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14話 ビックな人形とスモールな傀儡師


「おい!ふざけるなよ、さっさと質問に答えろっ」


 スーツ姿の男は目の前にあった机を思いっきり蹴飛ばして怒りをあらわにした。しかし、スーツ姿の男に相対している「大柄の男」は相変わらずで椅子にどっしりと座ったまま全く動じていなかった。むしろ、その大柄の男の横に立っていた小柄な女性がびくついていた。


 「さっきも言ったが、俺は質問には答えない!だが、俺は本物のTRUERトゥルアーだ、こいつの言った通り、なあ?」


 「そうよ!コースケは絶対 TRUERトゥルアーよ、私の言ったことぜ〜んぶお見通しだったんだから」


 さっきと同じやりとりが再び繰り返される。だめだ、もう俺の手には追えないな。スーツ姿の男はポリポリと頭をかくと、


 「なら、さっさと質問に答えろよ…..くそっ。よし、もうわかった。俺の取り調べはこれで終わりにする」


 「やった〜〜!これで一億円は私のものね」


 「おいおい、感謝してくれよ?一億円がもらえるのは俺のおかげだからな」


 「わかってるって〜」


 「おい!お前ら。まだ取り調べは終わってないぞ?」


 「え〜今、終わりって言ったじゃ〜ん」


 「俺の取り調べを終わりにするって言っただけだ。これから取り調べをするのは俺じゃない。あまりにも話が平行線なもんでな。呼ばせてもらうことにしたよ、専門家をな。すぐに刑務所行きだぜ、お前ら」


 饒舌に語り出すスーツ姿の男はククッと笑い、部屋から出て言った。


「おいおい、マジかよ。一体いつこの取り調べは終わるんだ?」


「だって、コースケが早く質問に答えないからでしょ?」



 明るい栗色のツインテールを揺らし、大柄の男 有栖川ありすがわ浩介こうすけに指摘した。


「お前なぁ無茶言うなよ...」


 そして、二人は部屋を監視されても問題ない、いたってどうでも良いやりとりをし続け、スーツの男が呼ぶと言っていた専門家を待つことにした。


 「お待たせしました」


 静かに入室したその女は無駄のない動作で有栖川ありすがわの前に座ると、自己紹介をし、「月島」と名乗った。


 「あんたが取り調べの専門家か?」


 「はい、そうです。すみません、え〜と...そちらのあなた。もしよければ彼の横に椅子を用意しましょうか?」


 「あ〜お気遣いありがとうございます!でも私は座っているより立っている方が好きなので、どうぞ始めてください」


 彼女は片目でウィンクをすると、有栖川の肩をもみ始めた。


「早く1億円もらって帰ろうよ、ね?」


有栖川ありすがわは気持ち良さそうに体の力を抜き、目を閉じた。マッサージをしている親指の力は弱く心地よい力加減だ。


「では、有栖川 浩介さん。早速ですが、取り調べを始めます。え〜と、この質問は前の担当者が四回程度聞いている質問になるのですが、これから言う質問にYESか、NOかで構いません。答えてください」


「…...」


 有栖川が少しの間を置き、答えるのを渋っているそんな様子をみた月島はその行動に意外そうな表情を浮かべた。まあ、それも当然のことだろう。なにせ今までかたくなに断ってきたにも関わらず、ここにきて前の担当者にとっていた瞬時に拒否と言う姿勢を見せていなかったからだ。


 「そうですか。少し迷っているようなので言っておきますが、私がする質問はたったの1回です。前の担当者は無能だったので20問などと言っていたようですが….」


「1つ?さすがは専門家だねぇ。それなら、質問に答えてやるよ」


 「ありがとうございます。しかし、一問と聞いたら二つ返事でしたね。一応、何故なのかお聞きしてもよろしいですか?」


 「そりゃ、アンケートのような質問は御免蒙ごめんこうむるが、美人にお願いされれば男なら心を動かされても無理はないってもんだぜ?」


 「ちょっと、ちょっと、私はどうなのよ?」


 「まあ...そうだな、美人のカテゴリーには入らないんじゃないか?」


 イテテテテッ。肩もみは足つぼマッサージのごとく突然激しさをまし、有栖川の肩の痛覚を刺激した。


 「いや、待て。美人ではないが、お前は可愛い系だぁ〜〜〜〜」


ああああああっ。語尾が引き伸ばされ、痛みが継続されていることがわかるがそのコメントを聞いた女は「それなら許す」と手つきを先ほどまでのゆったりとしたマッサージへと戻した。


 「それでは質問を始めます。では、一問目。あなたはTRUERトゥルアーですか?」


 「なんだそりゃ? 本当にそんなんでいいのか? 俺がなんと言おうが確かめようがないだろうに」


 「あなたはTRUERトゥルアーですか?これが私の最初・・最後・・の質問です。これに答えていただければすぐに解放しますよ。もちろん、回答の内容にもよりますが」



 有栖川は黙殺した。そして、熟考した。やばい、バカなことをした。そんなことを有栖川は胸中で呟いていた。目の前の専門家スペシャリストに素で反応してしまったのだ。まず考えるべきなのは「なんの専門家だった」のか、それを真剣に考えを巡らすべきだった。


 もちろん、有栖川が考えていた対象は「物凄い経験値を積んだ警視庁の取り調べ」ぐらいに思っていたがそもそも、それが間違いだった。もしこの仮定であれば多少の嘘が混じっても全てを見抜くなど到底不可能である。つまり、別に専門家だろうとなんだろうと質問が少なければ後はどうでもいいそう思っていた。


 しかし、質問が1つ。この相手の余裕に事情が変わった、いや事情を変えるべきだった。

迂闊だったのだ。もしかしたら、まだ相手もわかっていないのかもしれない。ただ「この質問」にどう答えたらいいのか、有栖川にはわからなかった。Yes ?それともNo?どちらにしても見破られるんじゃ?


 だってこの女、TRUERだろ?きっと….。


 月島と言う女は立ったの一問で全てを見極めようとしている。置かれている時計の秒針の音だけが部屋の中を支配し、息苦しい時間が刻々とすぎていく中で


 「そうだよ〜」


 しばらくの静寂を破ったのは相方だった。肩を揉みながら、彼女は にこやかに愛想よく月島の質問に答えた。



「…..そうですか、ではお疲れ様でした」


月島は椅子からゆっくりと立ち上がりながら、それとは対照的にめまぐるしく頭を回転させていた。

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