12話 デスゲームへの切符
「遅かったわね、九条くん。でも、まあ学校抜け出してくるんだったらしょうがないわね」
公園入り口から入ったばかりの謡に、唐突に声をかけた月島。
まるで月島には神崎が最初から来ないことがわかっていたように、その顔には驚きの表情は現れていない。
むしろ、そのこと自体に謡は面を食らってとっさに言葉が出なかった。
「な〜に?もしかして、バレてないとでも思ってたの?」
「・・・」
「今日は昨日の仕返しができて気分がいいの。だから、特別になんでわかったのか、教えてあげる。まずメールを見て、おかしな点が2つもあったの」
「おかしな点?」
「送ってきたメールにはこうあった。
『取引をしないか、月島。僕はお前が嫌いだが妹を返すと約束すれば、昨日たまたま公園で見えた九条の仲間を教えてもいい。その気があるなら、もう一度あの公園で今日の午後13時に来い』
まず1つは『九条の仲間』って所ね。私は第4者の存在に気づいたけど、あの間抜けな神崎が気づいているわけがない。
2つ目は『教えてもいい』って所ね。『教えてもいい』ってことは『知っている』ってことよね。神崎が仮に第4者の仲間に気づいていたとしても、その第4者と知り合いである必要がある。
これらを合わせた結果、神崎が送ってないとなると、ここに来るのは誰なのか、それを考えたらすぐに気づけたわ。」
得意げに語った月島は、謡にゆっくりと歩み寄る。
「さすがに軽率だったな。もう少し考えて送るべきだったよ」
「それで、何しに来たわけ?まさか、ただでは捕まえさせてはくれないんでしょ?今回はどんな罠を仕掛けてるわけ?」
月島は自分の周囲を警戒し、微笑を浮かべ、訝るような目で謡を舐め回すように観察した。
「さぁ、どうだろ。それより、1つだけ聞きたいことがあるんだ。もし答えてくれたらーーー大人しく捕まるよ」
「そう。こっちの手間も省けるし、もちろん、答えてあげるわよ」
「ありがとう。ずっと疑問に思ってたんだけど、どうやらTRUERは捕まったら、人権を失うみたいだけど・・・それって本当?」
「ふふっ、あなたはやっぱり、ただ者じゃないわね。切羽詰まったTRUERはみんなそう思うはずなのに。あなたに嘘をついても、覗き体質のあなたにはすぐにバレちゃうし、本当のことを教えてあげるわ」
「服も覗ければ良かったんだけどね」
「・・・まあ、いいわ。ここだけの話だけど、TRUERは残念ながら捕まったらデスゲームの会場に招待されるのよ。そこで生き残りの戦いをさせられ、優秀なTRUERを選んで、政府の手元に置くってわけ、どう?予想通りだったでしょ?」
「まさか。予想はしっかり裏切ってくれたよ」
そして、真昼間の中、一人の青年は泡沫のように消えてしまった。




