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アミューと七色の山  作者: アミュースケール
第一章 フィリアムの赤い山
20/22

【15】

ラーヌからの言葉を胸に、山頂まで登り切ることを切願していた一行は、なんとか幾つかの難所を乗り越え、雲のなかの山道を登り切ることが出来た。一歩踏み間違えれば、命さえ危うい橋も渡ってきた。横幅が三歩分ぐらいしかない、道なき道もあり、そこから落ちたりでもしたら、命は失っていた。また、岩から岩へと、登攀(とうはん)することもあった。よじ登り、心が強くなる度に、赤い山も一行に寄り添い、エネルギーを授けるのであった。


視界が、再び、大きく開かれてきた。


そこには、よりいっそうに美しく豊かな馥郁(ふくいく)たる香りがする花々が、エルプロージェの白い太陽の光を受けて、星辰のように輝き、風に揺れていた。山頂もはっきりと見えてきた。


息を切らしながら

一行は喜びを分かち合った。


この雄大な景色を眺めていれば、登ってきた疲れや憂いなどが、吹き飛ぶように感じた。また、赤い山の聖なるエネルギーによって、一行の生命力は庇護されていたのだった。


一行は、足取りが羽のように軽やかになり、山頂まで歩を進めていき、遂には、山頂に到達した。すると、そこには、七色の一輪の大きな花が咲いていた。ワタル達の背丈よりも大きい。その一輪の花がワタル達に目を合わせるように、こちら側に、こうべを垂らした。ワタル達は、そのあまりの優雅さに、見とれ、皆そろって我を忘れていると、エルプロージェの白い太陽から光のかたまりが、その七色の花の上に止まり、やがて、一輪の花とひとつになって、光彩に満ち溢れて輝き出した。それから、澄んだ声が聞こえてきて、一行は、全身の毛孔(けあな)から吸い込むように、その声の源に耳を澄ました。


『赤い山のうた』


全てはここから産まれる

その命の声を

しかと心に留めよ

地を讃える者は

天をも讃え

地を軽んずる者は

天をも軽んずる


汝が翼を求め

天空を求めるならば

野山を歩み

たゆたう風を

まどろむ木漏れ日のゆりかごを

肌身に感じてみよ


汝が聖なるものを求めるならば

さやめく土の温もりに足を進めて

葉のささやきに心を交わらせ

虫達の営みのなかに

愛の秘密を見出だしてみよ


汝が(まこと)を求めるならば

大都会の真ん中で

産土神(うぶすながみ)と会話をしてみよ

街にも山にも海にも流れる

ひとつなる(こえ)

耳を澄ませよ


沈黙の力が調和を生み

やがて溌剌(はつらつ)とした生命の泉となり

永遠の憩いのオアシスが創造される


全てのものには一理があり

全てのものには黄金が潜む

その符牒(ふちょう)に心を溶かし

無辜(むこ)なる瞳で

ひとつなる世界を

ただ見つめよ


眠る女神が

神殿の螺旋の梯子を

登りはじめ

その頂きで

(こころ)を醒ますであろう


* * *


エルプロージェの白い太陽と赤い山と一体となった、七色の花のうたが終わった時に、一行は、赤い山の真価となる、聖なる力に触れるのであった。また、その力に次第に浸透し、溶けていった。それから七色の花が語り出した。


【よくぞここまで辿り着けました。貴方達は、赤い山の真のエネルギーを授かるのにふさわしい人達です。主であるラーヌはあなた達を友と呼んでいます。私も、友と呼びましょう。私のエネルギーを授かった貴方達は、赤い秘宝をやがて見つけだすことが出来ることでしょう。これから下山をして下さい。来た道とは、違うルートで、下山をするのです】


それを言い終えると七色の花から、白い光が飛び出して、エルプロージェの白い太陽のなかに還っていった。


ワタル達一行は、七色の花が言うように、来た道と、反対の道を選び、いよいよ下山していくのであった。

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