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アミューと七色の山  作者: アミュースケール
第一章 フィリアムの赤い山
18/22

【13】

道が大きく二手に分かれていた。一行は、その手前で足を止めた。ヒロキは、想うまま、感じるままに話し出した。


「やっぱりこっちの道を選んで進んだ方が、僕のミューイが反応するみたいなんだ。何故だろう…胸が踊って、こっちに行きたい行きたい行きたいって、パワーが込み上がってくるんだ」


「ヒロキもそうなのね…。私も実はそうなのよ。胸が高鳴るって、こういうことなのかしら」


「僕もそう!こちらの道に、向かうことを、僕の胸のずっと奥の方は、望んでいるみたい…。僕の胸の奥のものが、こんなにも鮮明に全身に浮かび上がってくることなんて、初めてのことだよ!!」


一行はこのように、胸が踊る感動を羅針盤として、赤い山を登山していくようになった。時には、立ち止まり、見晴らしの良いエルプロージェの壮麗な景色を堪能したり、珍しい花々と会話をしたり。もしも、別の道を歩んでいたのなら、どうなっていたことでしょう。別の道は別の道で満足の行く道だったかも知れません。ですが、時には、目的の為だけに歩くのではなく、スキップをしたり、ダンスをしたり、思わずメロディーを口ずさんだり、鳥達の囀ずりに耳を澄まして、歩む道もいかがでしょうか。そう、あなたがあなたらしく歩める道のりで。


「あれ、あんなところに虹色に輝く洞窟があるよ!」


ワタルが勢いよく言った。


「本当だわ!なんて綺麗なんでしょう!」


ユカが心を弾ませて言った。


「凄い!こんな洞窟みたことないよ!」


ヒロキが感心して言った。


一行は、一度、洞窟の前で、立ち止まり、その輝きに心を奪われた。7色に輝く宝石のような石や岩々。


ワタルが言った。


「この先にあるものを僕は見てみたい」


ワタルが言ったことについて、反対する者はいなかった。それだけ、七色の洞窟に一行は惹きつけられていた。


まじまじと見つめたあと、一行は洞窟に入っていった。石の上を歩く度に、石や岩々が反応し、呼応し、光るのであった。一行は赤いリュックの中から、ヘッドランプを取り出して、装着した。随分先まで、前方を確認すると、一行は楽しくなって、洞窟のなかを幼子のように駆けていった。声も四方八方に反響した。


ワタルが走りながら言った。


「ハハハッ!凄い!凄い!宇宙のような暗闇からまるで、僕が虹を創造しているかのようだよ!」


「本当そうね!ワタルの後ろを走っていると、ワタルが走ったところは、みんな虹色に染まっていくんですもの!」


「こんなことは初めてだよ!後ろ振り返ってみても、虹の橋!ハハハッ!」


一行は、我を忘れて洞窟のなかを進んで行った。進み続けて行くと、光が見えてきた。その光がだんだんと大きくなってきた。


「ほら、見て!この洞窟の出口だよ!」


「あっという間だったわね!」


一行は、虹色の洞窟を出てみると、そこには、色彩豊かな、草花が生い茂っており、泉が湧き出ていた。その泉一体には、涼しく清らかなものが辺りを包み込んでいた。ワタル達は、その雰囲気に黄昏さえ感じ初めていた。


しばらく一行は、その場にいたが、突然、辺りが暗くなった。一行は、どうしたことかと、互いの目を見つめ合った。すると、風をまさぐるような大きな音が聞こえてきた。音がする上空に眼を向けてみると、そこには、赤い大きなドラゴンがいた。一行は、あまりの迫力に驚いた。ドラゴンは宙を旋回しながら、ワタル達がいる泉のほとりに、降りたった。


そして地響きの声で赤いドラゴンは言った。


【我名は、ラーヌ。この赤い山の主である。汝らは、この山を登るにつれて、赤い山のエネルギーと見事、一つになってきた。我も汝らを認めよう。だが、まだ足りないところがある。それではまだ、赤い秘宝について、多くを話すことが出来ない。我は、信じている。汝らが、赤い秘宝を見つけることを】


ワタルはラーヌに向かって、誠心誠意を込めて、語りかけた。


「ラーヌ様に出会えて心より、嬉しく思います」


【汝の名は、ワタル。ワタルはこの赤い山に、最初から馴染みを持っていた。そこにいるフィルーも赤い妖精。ワタルは、この赤い生命エネルギーと資質が一致するために、アミュー様は、赤い妖精のフィルーを遣わしたのだろう。赤は始まりや初代をも現す色。赤には、強い生命エネルギーとそれを活かしめる力が備わっている。ワタルが働きかけることによって、多くのことが、始まっていくだろう。すでに、ワタルは、ユカやヒロキをこの世界にいざなっているではないか】


ワタルは自分に備わる資質として大切なものをラーヌから言い渡された。ラーヌからの言葉は、ワタルに()みて、響くものがあった。また、ラーヌもワタルに確信と自覚を持たせようと、語りかけたのだった。


ワタルは言った。


「ありがとうございます。ラーヌ様、赤い秘宝について、少しでも良いので、何か語れることは、ありますか?」


ラーヌは言った。


【ラーヌ様と呼ばなくてよい。ラーヌで良い。我とワタルは、友である。今の時点で語れる内容は、ひとつだけ。さらに、歩を進め、一度、この山の山頂まで登ってみるが良い。その時に、自ずと、答えが見えてくるであろう】


ワタルは大きな心が広がったまま言った。


「ありがとう!ラーヌ!赤い山の山頂まで、登ってみるよ!」


【ワタル。必要な時があれば、心で我に語りかけなさい】


それからラーヌは、再び、翼を大きく広げてから、エルプロージェの大空へ、飛翔していった。


一行は、ラーヌとの出会った感動と余韻が残ったまま、子供のように駆けた七色の洞窟と、涼やかな泉のほとりを、あとにした。

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