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アミューと七色の山  作者: アミュースケール
第一章 フィリアムの赤い山
13/22

【8】

「では赤い山について、お話をさせて頂きます。貴方達がこちらに来られたばかりの頃は、赤いスジーがありましたように、赤い山にいきなり馴染むことは、出来ません。赤い山の聖なるエネルギーにだんだんと感化されていくことになります。赤い山では、生命力と奥深い肯定力を培うことが出来ると言われております。私もフィリアムのラビーシュですので、赤い山に感化された一人であります。また、どの山でも共通して心に留むべきことがございます。先ずは、山を登るのではなくて、登らせて頂くという心構えです。山に、畏敬の念と礼拝の心を持つことが大切であります。山には必ず、聖なる御存在がいらしゃるからです。自分の意志だけではなく、山の意志というものを先ずは、第一にして、登らなくてはなりません。これらの心構えがあって、初めて登山者として、また、登攀(とうはん)する資格を有する者になれます」


ここまで聞き終えると、三人には少しばかりの漠然とした緊張が走ったが、アルレスからの感化からなのか、不思議と、心の余裕や安堵感はあった。


「僕達の世界でも登山したことがないのですが、そんな僕達でも大丈夫なのでしょうか?」


と、ワタルが言った。


「ええ、もちろん。私よりも、遥かに悟られているアミュー様がおっしゃられ、貴方達を集められたのだから間違いはないでしょう。貴方達なら、赤い山に受け入れてもらえることでしょう。私がこの場で、このような話しをしているのも、赤い山や大いなる御存在の導きによるものですから。大いなる御存在のお計らいによって、私達は御縁が生じることになるのです。この御縁を大切にしていくことが、これから先の旅をしていくうえでも、大切なことでしょう。貴方達とこうしてお話が出来まして、なんて幸運なことでしょうか!」


アルレスの言葉が力を持つとき、魔法で飾られた部屋全体も、ひとつになり、ひとつの呼吸をしているかのようであった。ヒロキは、目を輝かせながら立ち上がり、アルレスに言った。


「こちらこそ!なんて幸いなことでしょう!初めて世界を目の当たりにした、赤子や幼子の瞳のように、辺り一面が輝いてみえるのです!深い感動を覚えて止みません!こんなにも未知なる可能性を感じる機会が他にありましょうか!アルレス様やエルプロージェ、また、アミュー様に呼ばれまして、まことに光栄でございます!」


すると、不思議なことに、ヒロキから太陽のようなまばゆい光が一度発光し、それからヒロキを中心に部屋全体が、白い光を帯びはじめた。これには、ワタル達やアルレスも驚いたが、一番驚いたのは、ヒロキ本人であった。


「うそっ!何これ!!?」


ヒロキは驚嘆しながらも、歓喜に満ち溢れていたパワーは、全身から泉のように溢れてくるのであった。


「ああ!この世界はなんて素晴らしいんだ!世界が広がっていく!!」


一行の視界には、ヒロキのミューイの輝きしか見えなくなっていった。


「おめでとうございます!これは、ミューイの覚醒でございます!あなたの奥の奥にあるミューイが目覚め初めたのです!それにしてもヒロキ様のミューイの力は、なんと美しく、優しい力なことでしょう!」


まばゆいばかりの光は、一度、満開の花のように咲きこぼれたあとに、回転しながら、再び、ヒロキの全身のなかに戻っていくのであった。一行は、あまりの出来事にしばらく言葉を失った。


ヒロキは未知なるエクスタシーから、だんだんと意識が通常の意識に戻されていくのであった。一行もまた、同様であった。


「ヒロキ!本当に凄かったね!おめでとう!!」


と、ワタルは、拍手をヒロキに贈った。ユカも続けて言った。


「ヒロキのミューイは、とってもあたたかくて、美しかったわ!」


ユカも拍手をした。フィルーも、ヒロキの周りをくるくると飛びまわりながら言った。


「ヒロキ…真摯…ヒロキ…深い」


ミッポも共鳴した。


「僕も、80年間生きてきたけれど、ミューイの覚醒に立ち会えたことは、自分自身以外では、初めて!ありがとう!とても良いものが観れたよ!」


ヒロキは、一同による拍手喝采に包まれた。アルレスは、歓喜と信頼と親睦の拍手を贈ったあとに、手を休めて、言った。


「この調子です!貴方達なら、赤い山に眠る、赤い秘宝をも、きっと発見することが出来るでしょう!」


ユカは赤い秘宝と聴き、我に還るように、冷静さを取り戻して、言った。


「赤い秘宝とは、赤い山のどこに眠っているのでしょうか?宜しければ、お聞きしたいのですが…」


アルレスは言った。


「はい、そうですね!赤い秘宝については、私からも全てをお話することは、出来ません。限られた内容しかお伝えすることが、出来ませんが、お伝えさせて頂きます。赤い秘宝は、赤い山のあるところに眠っております。赤い山の(あるじ)がそれを守護しておりますので、赤い山の主に、先ずは、認めてもらわなければ、秘宝を入手することは、出来ないことでしょう。その為には、先ほども申しあげたように、山の御意志を尊重しなければ、なりません。そのことが、きっと大きな手がかりと、なることでしょう」


ユカは立ち上がって言った。


「沢山のことを、お話して頂きまして、ありがとうございます。私は予感がするのです。そろそろこの場から、立ち去らせて頂きます」


ワタルも立ち上がって言った。


「僕も、そんな気がしていたんだ!そろそろここから出発します!ありがとう、アルレス、ミッポ、フィルー!」


一同は、お互いの顔を見つめ合ってから、一度頷いた。


「赤い山の入り口は、沈黙の森を来た時と反対方向から抜けて、そこからさらに南西に向かったところにございます!では、皆様の旅のご無事を心よりお祈り申しあげます」


ミッポは、笑みを浮かべてはいたが、少し、寂しそうだった。


「僕も、用があるから家に帰んなきゃ。少しの間だったけど、楽しかったよ!みんなありがとう!ワタル、ユカ、ヒロキが力を合わせれば、恐いものなしさ。また、何かあったら、家に来て、紅茶でも呑みながら、語り合おうじゃないか」


ワタルは言った。


「うん!また、ミッポと会える日を楽しみにしてるよ!」


ミッポが思い付いて言った。


「あれっ?そういえば、フィルーは、どうするんだい」


妖精のフィルーは言った。


「ワタル達と…、一緒にいる…。いつでも一緒…」


ワタルとヒロキとユカは、喜び、フィルーは、三人の周りを飛び回った。


一行は、階段を降りて、噴水のような赤い光の柱が立っている塔の一階に来た。そこで、ミッポと別れの挨拶をした。ミッポは、来た時と同じ扉に向かって歩き、アルレス、ワタル、ヒロキ、ユカ、フィルーは、来た時とは、反対方向の扉に向かった。歩きながらアルレスは、小さな声で何かを唱えた。すると、扉が開いた。アルレスは、一度お辞儀をしてから言った。


「では、皆様。旅のご無事をお祈り申しあげます。皆様と、私は、いつでもミューイを通して、繋がっております!何かありましたら、いつでも、また、ここに来て下さいね!お待ちしております。ごきげんよう!」

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