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誰も知らない 〜日本最高峰の学園は究極のカオス〜  作者: 瀬戸隆平


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EP64 共感

お読みいただき、まことにありがとうございます。

《退学処分 1年6組 辻獅堂(しどう)

 張り紙の前に集まっている1年生の生徒たち。

 どよめきが起こっている。

 そのどよめきを突き破るような声で、北本倫也が叫ぶ。

「なんだよ、これは!」

 さらに、こう続ける。

「理由も書いてないじゃねえか!」


「こんなの誰も納得できないよ」

 近くにいた夏川美穂が言う。

 その瞳からは涙がこぼれ落ちている。

「辻くんは誰よりもちゃんとしてて、優しくて、正しいことをしていたじゃない!」


 石橋奈緒が美穂に近づき、その肩を抱きしめる。

 そして、ささやく。

「そのとおりよ。辻くんは私たちを守ってくれた」

 奈緒は顔を上げ、周囲を見て、こう言い放つ。

「今度は私たちが辻くんを救う番よ!」


「奈緒ちゃん!」

「美穂ちゃん!」

 白石久美、近藤亜紀をはじめ、1年6組の女子たちが駆け寄ってくる。

 みな目を潤ませながら抱き合う。

 大きな輪ができる。

 久美が言う。

「みんなで力を合わせて退学を取り消してもらおうよ」

 それを受けて亜紀も言う。

「賛成! みんなもいいよね」 

 一同がうなずく。


「ちっ!」

 舌打ちしながら東大島がそっぽを向き、立ち去っていく。


 緑川綾乃が女子たちの輪に少し遅れて加わる。

 そして彼女たちを見て言う。

「私も力になるわ。でもあなたたち、具体的には何をするつもり?」

 それを聞いて女子たちが黙る。

 顔を見合わせる。

 しかし誰も口を開かない。

 綾乃が言う。

「考えが出てこないのは当然ね。何をしても学園は処分を撤回しそうにない」

 女子たちがうつむく。

 綾乃が続ける。

「でも可能性は少なくても、みんなは辻くんの力になりたいんでしょ?」

 女子たちが顔を上げ、うなずく。

 綾乃が言う。

「じゃあ、署名運動を始めましょう。退学処分撤回の署名を集め、学校側に圧力をかけるの」

 夏川美穂が手を上げながら言う。

「わかった! 私、今日からやる」

 他の女子も口々に賛同を口にする。

 再び、その輪に活気があふれる。


 少し遠巻きに見ていたソフィア。

 さりげなく綾乃に小走りで近づく。

 気づいた綾乃が彼女に言う。

「何かご用?」

 ソフィアが、綾乃の耳元でそっと言う。

「本当に大丈夫なの?」

 綾乃が怪訝な表情を浮かべて、言う。

「何が?」

 ソフィアが言う。

「獅堂の退学、取り消せるの?」

 綾乃は小さく、ため息をついて、言う。

「簡単に取り消せるわけないじゃない」

 ソフィアが言葉を失い天を仰ぐ。

 そして腕を組んで、口を開く。

「では聞くわ。なぜ綾乃は、ほんのわずかな可能性に力を尽くすの?」

 綾乃はかすかな笑みを浮かべて、言う。

「辻くん、だからかな?」

 それを聞いたソフィア。

 首を傾げ、あごに右手の甲を当てて、いう。

「どういうこと? あなたが言っていることがわからない」

 綾乃が言う。

「私にもわからない。でもこれまでの辻くんを思い出すと、頭で考える前に、勝手に体が行動しちゃうのよ」

 ソフィアも少し微笑みながら言う。

「それなら私もわかる。そして…」

 ソフィアが綾乃の目を見て言う。

「あなたも獅堂に対して、私と同じ気持ちを持っているのね」

 綾乃はわずかに微笑んで、言う。

「そうみたいね」



引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。

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