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誰も知らない 〜日本最高峰の学園は究極のカオス〜  作者: 瀬戸隆平


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63/66

EP63 処分決定!

お読みいただき、まことにありがとうございます。

 メイチェンは澄んだ声で語りだした。

「裕一郎はすっと探ってた」

 生徒会長の大泉を「裕一郎」と呼ぶメイチェンに、思わず理事長も成田ものけぞる。

 しかしすぐに気を取り直し、成田がノートをとりながら言う。

「何を探ってたのかな?」

「5組のリーダー・平手大樹をハメた奴」

 理事長と成田が大きく目を見開く。


 成田の声は甲高くなる。

「平手君の退学は仕組まれたものだってことか?」

「少なくとも裕一郎はそう思ってた。その裏に潜む者を暴き出そうとして、自分の手下を使って調べていた」

「で、見つかったのかな?」

「いや、わからなかった。だから裕一郎は焦っていた」

「だから、みずから探りに行ったということか?」

 メイチェンはうなずく。

 そして言う。

「だけど半殺しにされた」

 それを聞く成田の額に脂汗が浮かぶ。

 胸ポケットからグレーのハンカチを取り出す。

 成田は汗をぬぐいながら、聞く。

「相手の目星はついているのかな?」

 メイチェンは首を振る。

「そうか」

 と、大きく息をつく成田。


 成田はノートのページをめくり、こう続ける。

「実はここで、二つ目の議題だ」

 小寺が、初めて口を開く。

「何でしょう?」

 いつも穏やかな笑みを浮かべる顔が、珍しく引き締まっている。

 小寺の方に向き直った成田が、言う。

「1年6組の辻獅堂(しどう)が警察に連行されたという話が入っている」

 小寺が聞く。

「どこからですか?」

「それは言えない」

 という成田。

 再び、額からは汗が噴き出している。

 それを必死でぬぐう成田。

 小さく鼻で笑う小寺。

 しかし成田は気づいていない。

 彼はこう続ける。

「それで我々は辻を呼び出し、事情を聞いた」

 小寺は再び聞く。

「何か話したのですか?」

「いや、知らぬ存ぜぬの1点張りだった」

 成田が視線を落とす。

「でしょうね」

 と言う小寺が、こう続ける。

「何か話すと不利になると思って話さないんでしょう」

 成田が言う。

「辻獅堂はこの数日前も、神奈川県警に補導されている」

「何をしたんですか?」

「深夜、街中で倒れているところを通報された。こちらについては確認が取れている」

「なるほど」

 成田が眼鏡の位置を直しながら言う。

「それで、最後の議題だ。学校側は辻獅堂に対して何らかの対応を考えなくてはならない」

「それで僕らの意見を聞きたいというわけですか」

「その通りだ」

 とうなずく成田。

 小寺は腕組みをする。

 目つきは鋭さを増している。

 そして静かに言う。

「学校から去ってもらった方がいいでしょうね」

 成田がつばを飲みこむ音がする。

 小寺が続ける。

「証拠はないが、彼は生徒会長の事件について何かの事情を知っている可能性が高い」

 成田がうなずく。

 小寺は、さらに続ける。

「今後、もし事件と彼との関連が明らかになったとして、そのとき彼が在学していたら、学校はパニックになります。現在、裏が取れているのは補導だけですが、処分にはそれで十分でしょう」

 ここで初めて、渡辺理事長が口を開いた。

「メイチェンは、どんな意見かな?」

 彼女が言う。

「タカさんの言うとおりよ。退学させなさい」

 渡辺理事長が言う。

「わかった。2人とも今日はありがとう。意見は参考にさせてもらうよ」

 小寺とメイチェンは席を立ち、一礼して理事長室を去った。


 翌日。

 学校内の掲示板に突然、一枚の紙が貼り出された。

《退学処分 1年6組 辻獅堂〉


引き続きどうぞ、よろしくお願いします。

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