EP53 7月9日
昨日は評価ポイントに続き、ブックマークもいただきました。
励みになります。
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その日の午後、2人組の刑事がやってきた。
加害者について明らかに面識がない辻獅堂は、ありのままを話すしかない。
2時間ほどの聴取を終え、身元確認、供述確認も終わる。
刑事の一人が言う。
「今回は補導という形になる。明日の朝、退院時に担任教師に迎えに来てもらうことになっているからね」
獅堂は片手で頭を抱え、ため息をつく。
翌日の午前7時半、担任教師の富樫由美がやって来た。
獅堂の顔は青アザと傷だらけ、首にムチ打ち症治療の頸椎カラー、両腕に湿布の包帯。
それを見て彼女は口元を手のひらでおおう。
「辻くん、大丈夫?」
「問題ありませんよ。しばらくしたら治ります」
「そうは言っても…」
「俺の体のことはさておき、学校に補導の連絡が行ったのはまずかったですね」
「そうね。SCOREに影響が出るわね」
「それだけで済めばいいんですが…」
由美が、獅堂の背中を叩く。
「痛てっ!」
全身の痛みに加え、先日傷めた、ろっ骨のヒビも癒えていない。
獅堂の様子に構わず由美が言う。
「しっかりしなさい!」
その剣幕に、獅堂は思わず背すじを伸ばす。
由美が続ける。
「あなたなら何があろうと大丈夫。たとえこの学校を退学になっても、どこでもやっていけるわ」
「そんな、他人事だと思って…」
そう訴える獅堂に、由美が言う。
「他人事じゃないわよ。私だってこんな学校、いつでもクビになる覚悟はできてるからね」
獅堂は思わず噴き出す。
由美が口をとがらせて言う。
「私のこと馬鹿にしてるでしょ」
「いえ、頼もしいな、と思って」
笑ったのは久しぶりだった。
その一週間後の7月9日の土曜日の朝。
自宅前に車2台がやって来た。
獅堂のマンション、集合玄関のインタフォンが鳴る。
部屋に備え付けの画面には、玄関前に並ぶスーツ姿の男が4人が映っている。
獅堂が応答する。
「どなたですか?」
男の一人が警察手帳を示しながら言う。
「警視庁の刑事だ」
獅堂は玄関ドアを解錠した。
刑事たち4人はエレベーターに乗り、一気になだれ込んでくる。
獅堂の部屋のインタフォンが鳴った。
ドアを開けると、刑事が一枚の紙を獅堂に突きつける。
一番上に〈逮捕状〉と記されている。
「辻獅堂、君を逮捕する」
引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。




