EP47 甘いお誘い
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その夜。
緑川綾乃は自分の部屋で明日提出の課題を終えた。
紅茶を飲みながらくつろぐ。
タンクトップにショートパンツ。
人前ではあまり見せないボディライン。
胸の谷間や白い美脚があらわになっている。
そんな自分の体を両腕で抱きしめるように包む綾乃。
そんなとき、ふと、生徒会長・大泉裕一郎のことを思い出すことがある。
かつては、心が狂おしくなるほど憧れた人。
でも今は、不思議なほど、なんとも思わなくなった。
むしろ嫌悪感さえ感じてしまう。
なぜあんな人に心を奪われてしまっていたのか…と。
そして今――。
思い出すと、甘酸っぱい気持ちに気持ちになる人。
それは、自分でもあまり認めたくない存在だ。
目を閉じると浮かぶ、辻獅堂の顔である。
大泉裕一郎は執拗に1年6組の黒幕探しを行っていた。
辻獅堂は決着を付けるため決闘の場に向かった。
綾乃は本当は止めたかった。
しかし獅堂は言った。
「心配しなくていい。あとは俺が自分でやる」
その後、大泉は重傷で見つかった。
〈きっと辻くんが勝ったのでしょう…〉
それ以来、綾乃は獅堂と話せていない。
なぜ連絡をくれないのか。
綾乃はひそかに獅堂を恨む日々が続いている。
そのとき、パソコンのメール通知の音がした。
画面を開くと、獅堂からのメールだ。
「えっ、何!?」
彼女は目を丸くして、瞬時にクリックする。
それは、6月下旬のパーティへの誘いだった。
〈親愛なる綾乃へ〉
君に日本の政治・財界の有力者とのパーティに参加してほしい。
場所はグレイスホテルのスィートルーム。
君を今後の日本の各界を牽引するキーマンに紹介したい。
フォーマルな衣装で来てほしい。
6月26日、日曜日の16時、麻布のゴールドエルムマンション501号室で待っている〉
メールを開いた綾乃の顔が輝く。
「なによ獅堂。学校では何も話してくれないのに」
綾乃は鏡台に自分のプロポーションを映す。
着やせしているが、バストの形や締まったお尻には自信がある。
「少しは私のこと、考えさせてやるんだから」
翌日の朝、綾乃は上機嫌だった。
綾乃にしては珍しい、胸の大きく空いたシャツに短めのスカート。
彼女は獅堂の席の前に来ると、
「メール、ありがとう」
と言う。
獅堂は瞬時に顔を上げ、こう返す。
「何のことだ?」
「今週の日曜の事よ」
「日曜?」
「何言ってるの。ちゃんと行くからね」
綾乃はそう言うと、恥ずかしそうに去っていく。
獅堂は呆気にとられ、しばし立ち尽くす。
そして眉をひそめ、首をひねる。
緑川綾乃に送られた誘いのメールは、他の2人の女生徒にも送られていた。
夏川美穂
石橋奈緒
である。
引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。




