EP40 賽は投げられた
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6月に入って東大泉鷹志は無断欠席を続けていた。
6月12日、ようやく久しぶりに登校する。
ボロボロのジーンズにハードコアなTシャツ、金色の大きなネックレス。
クラスメイトは誰も近寄らず、声を掛けない。
授業が終わり、校門を出ようとする東大島。
そこに待ち構えていたのがフレデリック麗羅だった。
「あなたに話があるの」
と東大島の腕を取って中庭に連れて行こうとする。
しかしそこに立ちはだかったのがメイチェンだった。
「待ちなさい。彼は私のお客さんよ」
麗羅とメイチェンが睨み合う。
「ハハハ、俺、モテモテだな」
とカラ笑いをする東大島。こう続ける。
「学校からもクラスからもワル仲間からも見放された。寄ってくるのは情報目当ての奴らだけだな」
「よくわかってるじゃない」
と言うメイチェン。こう続ける。
「6組の内情を探ったけど本当のことが全然わからない。まずは、あんたがイジメた夏川美穂をはじめ、何人もの成績が急に上がった。その理由は?」
「お前だって同じ6組だろう」
「クラスでは石橋奈緒の勉強会の効果だって話になってるけど、裏に誰かいるはずよ」
「だろうな。だけど、それは俺にもわからない」
「そしてもっと聞きたいのは、5組の平手と仲間2人が退学になった真相よ」
「フッ」
と鼻で笑う平手。
メイチェンはさらに続ける。
「ハメたのは誰か、知ってるでしょう? 6組に黒幕がいるはず!」
東大島が言う。
「俺は平出にさえ見放されたクズだ。奴らは俺に何も教えてくれなかった。俺はただ使い走りさせられただけだよ。そして平手たちはいつの間にかいなくなった。それだけだ」
それを聞いて麗羅が言う。
「確かにあなたは真相に近くないようね」
「残念だったな」
東大島が薄笑いを浮かべて言う。
「でも、誰かを怖がってるでしょ」
今度はメイチェンが言う。
東大島の薄笑いが消え、吐き捨てるように言う。
「俺は何も知らない。それだけだ」
東大島は2人を振り払うように校門を出ていく。
「やはり6組には誰か、いるね」
メイチェンが言う。
麗羅もそれにうなずく。
メイチェンは放課後の華道室で大泉に結果を報告する。
「そうか、尻尾はつかめなかったか」
と腕組みをする大泉。
メイチェンが言う。
「私が知ってる仲間を動かそうか?」
「いや」
大泉が制止して、言う。
「俺が自分でやる。だから手を出さなくていい」
メイチェンはうなずいて、部屋を出る。
大泉はそのままスマホで緑川綾乃を呼び出す。
綾乃が部屋に入ると早速、大泉が切り出す。
「綾乃、これまでのことを謝る」
「何のことでしょう?」
と、とぼける綾乃。
「綾乃のことを信用できずに、手下を使って行動を監視させた。綾乃も気づいていたんだろう」
「もしそうだとしたら信用を失った私の責任です」
「もう許してくれないんだな…」
「そんなことはないです。私にとって会長はずっと会長です」
「わかった。では開き直って頼みごとをさせてもらうよ」
「どうぞ」
「6組を裏で動かしているのが誰なのか、どうしてもわからない。綾乃は知っているんだろう。その人物と話がしたい」
「もしそういう人がいるのだとしたら、話をしてみます。時間と場所を指定してください」
「わかった」
「来るかどうかはわかりませんが」
「承知の上だ」
大泉は3日後の深夜、校舎裏を指定した。
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