二十九斬り目
美悦子は刻む所か近づく事とできずのまま炙りを受ける一方だった。この魔物は単純に火を噴くだけではなかった。射撃方法が多数だ。上空へ炎の球を連続射出して迫撃攻撃。追尾する炎。そして散弾と機関銃が混ぜ合わせた射撃。美悦子は反撃を見せる事ができなかった。
強さA級クラスに相当。災厄単位が一つ違うだけで差は歴然だった。
じっと立ってはいけない。と美悦子は熱さに耐えて気力を振り絞る。自分がこれほどあったとは信じられない程の力を薙刀をしゃんしゃん赤筒に薙刀を投げつけた。
しかしその薙刀が魔物の手に渡っただけでしくじる結果を出してしまった。しゃんしゃん赤筒が薙刀を捨てると…砲の口を空のかなたに向けて息を吸い込んだ。宇宙人のような細い身体が風船如く膨れ上がる。
最大限に溜めるとしら留めを刺すって事なのだろう。
何一つ損傷も与える事ができず死ぬのかしら。
でも助けが来るなど期待してなんていない…私…弱い者が怯えていたから仕方なかったんだもの。
無謀な真似だわ。村人達がこのまま何とか逃げ切れば、無謀なんてどうでもいい。
気付けば巨大な火球が目の前に突っ込んできた。もう避けきれない程の距離だった。熱さが顔一面に伝わる。
死んだ後はどうなるのかな?また別の世界へ飛ばされちゃうのかな?
いや…私は飛ばされはしなかった。
炎が瞬く間に消えた。水かけたようでもなく蒸発したように。
それを促したのか…目の前で着物の女が立っていた。全く見知らぬ人。
「あ…あの…」
「ほんま情けないで」
女の顔が美悦子に向いた。着物姿着てるのに戦いには向き慣れている。頭に三角に尖った物が二つ生えている耳。
「無鉄砲だの無謀っちゅうにもいうのに武器を投げ捨てるなんて野暮の事やろ」
偉そうに気立っている。戦う者には親切事など聞かないつもりな態度だった。
お礼言えば唇噛み締めるに違いない。
「あんた戦士とか兵隊とかそういうもんやないやろ」
「…違いますっ!私は金兆を雇っている者で…!」
「お前みたいな?危機感感づかない鈍感なお前みたいな?さっき丸太座り込んどいて寝てたお前が?これ以上うちをがっかりさせんなや」
美悦子がこの女の後ろに意識を指した時にはもう一人、魔物と対峙していた。




