二十六斬り目
彼らのように初めから力なんて用意していなかった。この世界は神の造った庭でしょ。なのに顔を合わせてくれない。私の存在価値を気にしていない。
彼等は神からの力を無賃で授かってきた。私は違う。私一人だけの。地上の人間との信頼関係。それだけだった。
力無しで…何を守る?
青空から下の地面へと視点を咄嗟に下ろした。無力さが気まずくてどうしようなかった。
力さえあれば、自分の思っている事が現実化する事ができるんだから。
虐げる矢先から盾となりたい。
「こうして私達が敵の前で生きられるのも力任せだけ倦ねている訳じゃないのよ」
力欲しいと言った時、羅瑠渡からお薦めしないと返された。正直修行の時間帯も半日分以下しかない。
食事作りや家事が最も時間を費やして頭に込められる。
まだ未熟だ。持ったとしても上手く力を巧みに操れない。でも欲しい。と考えて、操れずに仲間に深い傷を自分が負わせる羽目になると想像するだけで気苦しみが深い。
もう明るくてほわほわした気分だから欠伸しても構わなかなと気を緩んだ。
けたたましい声が微かに聞こえた。咄嗟気を立てた美悦子だった。丸太から腰を離れる。目の前で赤く照らす物体が土にめり込んだ。
これは火炎というのを焼き焦げと感じた熱さで分かった。騒ぎは鍛冶屋へ向かった道で起きていた。
目を向けた時、村人達が美悦子側へと走り駆ける様子が映った。
日常の顔がある何かに気圧されて危機を覆った面を表している。逃げろと勿論吠え放っている。そしてまたしても魔物と言葉が飛ぶ。
その言葉を耳にした時、彼等の後方の目に置いた。
人型にもそれはそれは魔物らしく異形な姿だった。いや、肉質のない無機質に風柄を放つ。
顔がどうも要塞か建物みたいで口らしい部分が大砲みたいに長かった。そこからは大砲らしく火炎を人々の背中に向けて放っている。赤子を背負った女までも混ざっているのにそれも厭わず襲っている。抵抗の無い者達を弄ぶかのように痛みつけるなんて理解できない。
生物としての本能?全く慈悲を緩めない相手だ。相手がどうの立場であれ、美悦子は薙刀を奴に突きたい想像が頭にいっぱいだった。
つまずいた赤子背負った女。その姿を美悦子の身体が応える。
助けなきゃ!
美悦子は女の横を過ぎて…魔物の前に立ちはだかった。何奴と感じた魔物の顔が美悦子の存在に向けた。筒の口から白い煙を吹き出す。
しゃんしゃん赤筒 災厄単位 森林
森林 小規模の街。村の機能停止




