二十五斬り目
長照はたまに夜中に出回っては「集会行ってくるから」と言葉を置いて提灯を提げて闇の中に潜れる。
たまにと言って月に五回くらい、自分と趣味の同じの愛好者達の募る場所に通い続けている。
女絡みの会という事を気付いた者達はこれに痺れを切らせる。唖然とする美悦子。そして苦悩な表情で自分の頭を撫で下ろす羅瑠渡。
「あの人が普通の人間だったら私は既に結婚退職なんて夢じゃない…」
目指していた鍛冶屋屁と無事にたどり着いた。しかしなんと。今日の煙突の煙が吹いていなかった。
入り口の戸には“地元帰っています”との張り紙が張っていた。
「仕方ないわ」
引っぱり回して申し訳ないと言いたいような困った笑い顔の長照。
三人共はこの地域で生まれた訳でもなく単なる出稼ぎだった。帰る日付なども記されおらず、いつ帰ってくるかは分からなかった。残念ながらも山から下りるしかない。
先程の来た道へ戻るのかと思ったが長照の別の求める場所を告げた。それが十字路の真ん中、草も一本もない石段に囲まれた狭い土地の近くだった。
「お友達にご挨拶するからここで待ってね」
彼女の頭の奥ではその次いでとして籠もっていたのだろう。まあどうせ、女友達でしょう。
美悦子にあまり待たせないのだろう。長照は広場とは反対側の道へ向けて駆け足を蹴った。
蹴り技を鍛え上げた能力で一般人よりも速かった。テレビで見た百メートル走の選手と横並んで走れば…一人長照だけが独走するのを目に浮かぶ。
(人間が五メートル飛脚して普通だと思わず、言葉を失うだろうね。ましてこの世界観を見ると身体能力だけでも化け物的)
まあ化け物なのは人間よりも魔物よね。
美悦子は柱か何かが切り落とされた丸太を広場に向いて見つけた。小さな神社が十分幅が足りる位なのに何故丸太しかないのか不思議に見えた。
美悦子は丸太に座る。薙刀の鞘を膝に置いた。脚をカクンと揺らし、空を見上げた。
自分で最初に見た世界の空。するとぼれ着れの雲が頭上を過ぎて通っていくのを目の当たりにした。
世界は広い。と伝えさせる壮大感が匂う。電気の照明よりも遥かに明るかった。
こうして自分の生まれた家の背景も覗きたくなる。家族は私の事を死人だと認めているのか実はでいうと答えは曖昧だ。私の死体が向こう側にあるのか、自分の身体がこちら側へ流れてきたかまずそれが分からなかった。
転生はよくライトノベルで目に通す黄金パターンであるが…筆者達、誰もが転生の理由というものを詳細に説かない。まあ知る訳が無い。
自分以外にも転生した者がいて自分とは差が歴然と違う程といい、最強の剣士に賢者。チートがいる。
彼等は敵を容易く打ち破り、人々の生活の支柱を鋭く綺麗に補正したりなど、並み優れた腕に人々から賞賛を与えられる。
それが本当に。どこか遠くで芽生えた成績であると知り、美悦子は毛の生えただけの姿を胸苦しく捉えてきた。




