二十一斬り目
フイルベリアはストロベリーと同じ位の小さな果実を摘まんだ。食欲旺盛でもない彼女はぽつりと一口に入れて、噛む。飲み込むまで長く続いた。
それに対し、魔物は目の前の量の虫を次々と口に入れている。甲殻を張った虫をバリバリと噛み鳴らす。ミミズをズルズルと吸う。あぁ…数年前、どこかで初めて口にしたパスタを食べる気が失うのである。
この魔物の名は…相手がそう言い放った
グラダーリズラーダーシュバリダーワルキュリダー
と聞けばいかがわしくなる。名付け親を知りたい。
どこぞの生息域を定めているのかと思えば、今の場所を知りたくなるフイルベリアだった。
クチビルに滅ぼされた街が近いのか遠いのかも分からなかった。
◇
街の悲鳴は途絶えた時、魔物の気配は二人の特武と金兆によって消された。
感謝の意を込められる今。しかし二人はそれらに笑みを表しをしなかった。意識も。
勝っても負けても…奢るな、泣くな。それがこの国の特別な兵士の常だった。
褒美貰うのは自由だが
家に戻った時、美悦子は白い袋を長照に見せた。美悦子が袋を開いた時、色は様々であるが風鈴みたいに模様が綺麗で丸い物が数々と積んでいた。
柔らかくなく…飴だった。いつだったかもう覚えていないけど口にした事がある。
甘くて美味しかった。味は砂糖の味だけでオレンジ味やコーラ味とかは無い。
美悦子が一つ口にして長照も同じ事をする。街の人でも砂糖が手に入れる。子供でもすら持っているのだから身近に砂糖は大量にあるのだろう。
どこか栽培してるでしょうかと尋ねると長照は「獅子海」と名を放った。
獅子海とは地域ではなく、島の名前だ。砂糖の原料となる砂糖黍。または加工して砂糖に変え、獅子海からクロヌリの港町まで十五里(60キロ)輸送して送っている。
クロヌリには数多くの野菜類が栽培されているのは暑さと寒さの季節が平均に保っている。ただし砂糖黍は別だ。獅子海のような暑い気候ではないと育たない。
ルブスでも同じく、わざわざ中部よりも南方の温帯から砂糖を届けている。
民間人でも砂糖は手に届いているが美悦子の世界よりも“貴重”だという事は否定できない。
それを狙う海賊も多い。金よりも貴重品を真っ先に狙うのも馬鹿げた話じゃない。
獅子海にも特武は一人はいた。その戦士が商売を崩さない為に輸送船に必ず乗り上がる。
その船の中には自分の栽培して造った砂糖が入っている。
(あの人も頑張っているかな…)




