十七斬り目
ルブス大陸はヨーロッパ大陸みたいに寒い
美悦子達が危機から救え終えた頃…同じ朝、ルブス。あの獄龍もこの大陸の中に生息域がある。
人間の文明の他、魔物の数や種類よりも豊富である。危険度は別にクロヌリとほぼ同じである。あまり低くないって事も棄てきれない。今の所…魔物の詳細は不明な物が多い。
魔物は神、人間よりも弱いと人々は信じている。
ギルドにとある一枚張っていた掲示板から剥ぎ取った。
“魔物の襲撃で村の全滅の危惧です。留置すれば隣の都市も壊滅に及ぼしかねません。何方か強い戦士の方を頼みたい。どうか救って下さい”
唐突ともいうべき緊急時代なのだろう。投稿が昨日の事である。魔物。いわば龍の襲撃の可能性を念じたこの歴然の女騎士には相応しい相手だとこの依頼を受け取った。
隊長が忠誠心を纏う隷下を引き連れて森へと徒歩で進む。危機感を覚える必要は無い。この者達は“白銀の聖火”という女性騎士団である。隊長の名はフイルベリア。
神の据える信者でもあった彼女は普通の騎士とは格段に違う力を隠していた。火の神マグニエスタの授かり受けた神通力だ。
彼女が先頭にして地図を見ながら、行進した。依頼人の元へ訪れた付近で愛馬を置いてきた。理由はそう遠くはなかったからだ。
フイルベリアが男勝りな声で叫んだ。
「見えた。ナイカル湖だ」
目的地。そこが魔物の住処らしい。湖は地図上から見れば三日月のような形で立っている位置からでは森が阻んで全体は見れなかった。
(寂しいものだ。美しき緑枯れ散った…これぞ美しい)
ボードにでも乗せて描くなも悪くない風景だった。冬が間近だった為、空に雲がかかって薄暗く、木が枯れ果てていた。草地も茶黒に覆われている、
冷たい水のおかげで大きくなったマスは潔く水面から跳ねていた。
フイルベリアは兜脱いで紅に燃える美しい色の髪が垂れ降ろす。
(この鎧の美しさも小汚い魔物も己を恥じる程麗しい)
勇ましい器だ。そして重い。
鎧の着したままでフイルベリアは暗い森の前の椅子と同じ高さの石に腰を落とした。
「こんな描きに相応しいようのない自然に強大な魔物が想像できんな」
依頼人の村長から話を聞いたが初耳にする個体だった。可笑しい。笑わせるなと愕然させたかったな。
フイルベリアは強大たる魔物を幾度も狩り尽くしていた経験がある。大半はあの獄龍と並みの力を齎す龍達だ。奴らの住処は山。もしくは美しい妖精が潜んでいるような聖地。地獄絵に煮えたぎる火山地帯といった、超越した生物に相応しい地帯だ。
近頃、この大陸で導入された“災厄単位”など不要だ。如何なる存在が刃向かおうとも、神の聖域の一歩隷下の我々に切り裂かれるのみだ。
「私の前に阻む魔物は自分を斬って下さいと言わんばかりの脆さだ。そうだろう」
話に顔合わせたのが副隊長。
「隊長…しかし村人からでは容姿は視認済みですよ。龍ではないそうです」
翼は生えていない。付近の湖に住んでいるという生態。過去から存在は知られていたという。一方神聖な生物という値に位置にしない。名を大地を馳せる伝説の存在以上でもない。フイルベリアの予想と筋が通るとフッと魔物に対しての侮蔑の笑みを浮かべる。
「危機感を配布できん。とるにたらん」
「しかし村1つ…いえ都市1分の額ですよ」
実際隣の都市からも報酬額か加えられていた。今までの龍退治よりの十倍という大金だった。仕舞いに狐を化かされた気を受けた隊長が腰を上げる。
「節穴に目が老いた暁だろう。素人では推し量っても胡散臭い事しか言わない」
バキバキバキバキ…!
「哀れだけしか恐れを知れ渡す雑魚のよう…」
大木を巨大な物体が踏み折らすような重い音がフレベリアの背後から高鳴る。
のそりのそりと鈍重さも含み感じ、んむ?と平凡に保ち吹いてフレベリアは森の方へ振り向いた。
「あら、これはこれは」
お客様への出迎えしか見込んでいないフイルベリアだった。
ようやく…最強の魔物が出てきたようです




