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第五章 覚醒 第八節 影法師 第七話 回診

第五章 覚醒 第八節 影法師 第七話 回診


お母さん、こんにちは。


花を持った楠木さやかが、見舞いに来た。


あら、さやかちゃん、こんにちは。


お母さん、私が、毎日、来ますから、大丈夫ですよ。


たまには、家でゆっくりして下さい。


ありがとう、助かるわ。


あっ、あと、眼鏡を返すわね。ありがとう。レイカは言った。


お母さん、私とLINE交換して頂けませんか?


以前、蒼也君から聞いたのですが、私のなりすまし電話があったみたいで。

LINEなら、声のなりすましは、難しいと思うのです。


えぇ、そうね。早速、交換しましょう。


ありがとうございます。さやかは言った。


すると、蒼真と、葛の葉が、やってきた。


お父さん、葛の葉さん、こんにちは。


今、お母さんと、LINEのIDを交換しました。


これで、いつでも、内緒話が出来ます。


さやかは、笑いながら言った。


あははは。


みんな、笑った。


さやかは、ムードメイカーだった。


そんなさやかは、すぐに、神代家の一家に馴染んだ。


あっ、先生の回診の時間ですね。


さやかは、眼鏡を掛け、そう言った。


蒼也君、抜糸にきたよ。


明日、退院だ。おめでとう。


先生、ありがとう。


みんな、笑った。


では、私と、葛の葉さんは失礼するね。


さやかちゃん、いつも、ありがとう。


さやかは、早速、レイカにLINEで、メッセージを送った。


「お母さん、気付きましたか?


眼鏡を掛けると、先生の顔が微妙に、毎回違うのです。


今日も違いました。いつも、ホクロは左にあるのに、今日は右にありました。


眼鏡は、お母様に、お貸ししますので、確認して頂けますか?」


レイカは、さやかのメッセージを見て、背筋が凍った。


「さやかちゃん、ありがとう。早速、お父さんに伝えておくわ。」と返信した。


蒼真は、先生の顔までは、正直、はっきりとは、覚えてなかった。


蒼真は、葛の葉に相談した。


先生から、怪しい気配は感じたか?


特に感じませんでした。


何かあったのですか?


蒼真、LINEの内容を伝えた。


明日、蒼真さんが眼鏡を使って、違和感があったら、私が影縛りをします。


病院では、他の患者さんもいるので、騒ぎを大きくするのは、控えましょう。


そして、退院の日、神代一家は、先生が、最後の回診に来るのを待った。


蒼真はレイカから眼鏡を受け取った。


蒼真は眼鏡越しに先生を見つめた。


「同じ先生だ。」


ほっと息をついた。


違和感もなく、いつもの先生だった。


蒼真は、葛の葉に、「作戦中止」のテレパシーを送った。


先生の回診が終わると、付き添いの看護師の影が揺らめいていた。


第六話 了

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