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対象"美園 咲"
欲落ち:性欲 (Lv.8)
好感度:98
現在の欲:結婚して子宝に恵まれ、おばあちゃんになっても手を繋いで散歩したい
(愛が重すぎるよ!先生!)
先生が潤んだ目でこちらを見つめていた。
性欲のレベルが一気に上がったのがまずい気がした。下げなければ。
俺はとっさに言う。
「冗談です。すみません」
ステータスが変動。
欲落ち:性欲 (Lv.8)
好感度:67
現在の欲:ビンタしたい
(よかった、現在の欲が変わって、好感度も落ち着いた……いや、性欲レベルはそのままか)
(ビンタかぁ、職員室で強目に怒られるのは確定したわけだけど)
席について考える。
(このまま欲を叶え続けたら欲が強くなりすぎて種族進化するんじゃないか?それか、欲の暴走を引き起こすのかもしれない…
いや、ハーレムを作れるんじゃないか?)
男の夢のハーレムに期待をした。
雛がこちらを見ている。目があった。
ついでに隠密クイック鑑定。
対象: 日向 雛
欲落ち:お姉ちゃん欲 (Lv.3)
好感度:45
現在の欲:ビンタしたい
(お姉ちゃん欲ってなんだよ……雛、お前もビンタか)
「テスト開始!」
意識が声に引っ張られる。雛のステータス画面が消える。
テストを解き進めるが、MPポーションのせいか腹が痛い。なんとか耐えながら全ての欄を埋める。
手を挙げ、「トイレに…行ってきます。」と告げる。
カンニング防止だろうか?先生がついてくる。
「ふぅー、腹痛の効果は聞いてないぞ。ったく」
トイレを終えると先生が手を握り、俺を壁へ引き寄せる。
耳元で囁かれる。
「さっきの言葉、嘘だったの?」
息が当たる。危うくハーレム欲が湧き上がるが、これ以上性欲レベルをあげるわけにはいかない。
「遅刻を誤魔化そうと適当言いました」
「そう…」
先生が悲しそうな顔をして去っていった。
(人の欲を操ると傷つけることもあるんだな…反省しよう)
テストは無事に終わり、今日は午前で終了。
赤点のラインはギリ超えてる自信があった。
「テストどうだった?」
「よゆーよゆー」
幼馴染の隼人が話しかけてくる。
ほいっ、鑑定発動。
対象:葉山 隼人
欲落ち:達成欲 (Lv.3)
好感度:82
現在の欲:昼飯食べたい
達成欲、詳細っと。
『達成欲:全国小学生サッカー大会、地区予選決勝で目標を達成したことで発現。
目標を立て努力し達成することでレベルアップ可能。また、強すぎる欲は種族変化を引き起こすことがある。』
(やっぱこいつモテるわけだ。ダンジョン向きの欲だな)
今まで見てきた人は全員欲落ちし、レベルがあがっていた。
昨日まで無欲だった俺のステータスは、赤ちゃんレベルかもしれない。
(幼馴染だからか好感度も高い、この感じで好感度低かったら泣くわ)
「どうした?じっと見て?」
雛が近づいてくる。
「ね〜、きーちゃん、先生にあんな冗談ダメだよ〜」
ゆるふわ口調。癒し系。胸でかい。
胸をガン見しながら雛と話す。
「胸見過ぎだよ〜、そんなんだからエロイチって言われるんだよ〜」
(自然と目がいくんだ、仕方ないだろ
朝の感じだと1回の鑑定で5MP減るくらいか、
ならまだ余裕がある!鑑定!)
お姉ちゃん欲(Lv.3)
好感度67
現在の欲: 膝枕してあげたい
お姉ちゃん欲、詳細。
『お姉ちゃん欲:雑賀兄妹にお菓子をあげた時、喜んでいる姿を見て発現。
無償の愛情を持って行動することでレベルアップ可能。また、強すぎる欲は種族変化を引き起こすことがある。』
(なるほど、だが、幼馴染に好かれてないのは精神的にきついな。好感度あげとくか)
「雛、テストで疲れた。膝枕して」
「うん、いいよ〜」
超笑顔。
ステータスを見る。
好感度85に上昇。
(雛に好かれてる!よっしゃっ!)
しかし、お姉ちゃん欲のレベルは変わっていなかった。
欲落ちは進行が早いタイプもいれば、そうじゃないタイプもあるみたいだ。
俺の髪の毛を優しく撫でている雛。
(それより、太もも柔らか…いい匂いする…寝そう…
何か忘れてるような……親父とダンジョン行くんだった)
「すまん、この後予定ある」
挨拶もそこそこに足早に教室を出る。
廊下で親父に電話。
「テスト終わった」
「そうか、もう学校の近くのコンビニにいるぞ」
合流。軽トラに乗る。コンビニで弁当を買ってくれていたようだった。
「お前、他人のステータス見たろ」
(バレてる)
「3人見たけど全員欲落ちしてたよ」
「そんなもんだ、お前だけなぜか欲落ち遅かったんだ」
コンビニ弁当を食べながら話を聞く俺。
「MP使ったよな?今からダンジョン行くんだ、ポーション飲めよ」
(またあのマズいやつか…)
「ダンジョンの最下層って何あるの」
「今言うべきか迷うが、世界変革の欲のかけらがある」
「あの馬鹿な大学生がダンジョン作った時の欲のかけら?」
「あぁ、あの馬鹿のかけらだ」
「なんで知ってんの?」
「最下層の番人倒して、実際に見たからな」
(番人!?倒したことあるのかよ?)
「強かった?じゃあ、かけら持ってるの?」
「死にかけたぞ。かけらとか、そういうの集めるのは勇者の仕事だろ。俺魔王だから」
(なにその変なこだわり!?)
「それに、かけらを手に入れると狙われるぞ」
「今日本でかけらを手に入れたのは、眠れる森のゴミどもだ。大阪ダンジョンでかけらを手に入れた後、信者で結束してかけらを守ってる」
「眠れる森って、眠れるビーズくれるだけの団体じゃないの?」
「あいつらは世界変革の欲を揃えようとしてる。朝の襲撃者も俺を仲間に引き入れる目的の、あいつらの手先だった」
「欲のかけらが集まったらどうなるの?」
親父が軽トラを止め、こちらを真剣な目で見た。
「欲のかけらを全て集めた人間は、望んだ世界を手に入れる」
「お前がもし、全てを集めたとして、その時目が濁っていたならば、俺が責任を持って殺す」
その言葉に、俺は息を呑む。
手のひらが冷たく湿っているのを感じ、背筋に冷たいものが走った。
「……っ!」
声にならない息が漏れる。
世界の命運を左右する。
その重みが、俺の心にのしかかる。




