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強欲無双  作者: 濃い茶
10/12

9



「チッ!」


親父は舌打ちをした後、椅子に座る。

あんなにはしゃいでる親父を見たのは初めてのことだった。


「何見てる?今日は学校のテストだろ?早く朝飯すませろ。

…髪ボサボサだな、シャワー浴びてから学校に行けよ」


さっきまで子どもみたいだった親父は、威厳のあるいつもの姿に戻っていた。



(さっきまで、あんなにはしゃいでたクセしやがって)

内心そう思ったが、それよりも気になることがあった。


「なんで俺がステータス覗いてたの、気づいたんだ?」


「直感スキルを持ってるからな。鑑定系に見られてる時と同じ感覚がして、外にお前がいるのもわかってた」


「私も鑑定してたわよね?朝から仁王立ちで私を見てたし。私は直感スキル持ってないけど、あんな視線じゃバレバレよ」


(強欲の目の使い方には注意しなければ)


「まぁ、直感とか自動発動スキル持ちは高レベルだ。自分のステータスを無断で覗かれたら、何されるかわからん、無闇に使うのは気をつけろ」


「わかった」


見放題ってわけにはいかないのか。

朝食を終えて風呂へ向かう。


シャワーを浴び終え、鏡の前で髪を乾かす。



(俺って強欲の目以外にスキル持ってたっけ?)


ふと、自分を鑑定してみる。



ステータス確認:対象 "雑賀 喜一"

年齢:15

身長:171cm

体重:58kg

種族:人間

欲落ち:強欲 (ユニーク)

現在の欲:スキルが欲しい

好感度:80

レベル:3

HP:140/150

MP:30/150

その他ステータス:開示不可

スキル

・【ユニークスキル:強欲の目】

・隠密鑑定

・クイック鑑定


「スキルが増えてる?」


スキルもクリックできそうだ。


ポップアップウィンドウが開く。


『隠密鑑定:自分の気配を極限まで消し鑑定可能。


クイック鑑定:3項目に絞り、3秒の凝視で鑑定可能。鑑定項目は固定でき、複数設定可能。』


「なるほど」


「クイック鑑定は、レベル・HP・スキルを戦力鑑定

欲落ち・現在の欲・好感度を日常鑑定にしておこう」


髪を乾かし終わり、スキルの発現にワクワクしながら階段を上がり、制服に着替える。


「もうこんな時間か、朝から色々あったな」


急いで家を出ようとすると、親父が声をかける。


「走って行く気か?新宿のダンジョン本部に行くついでに送ってやる」


親父と軽トラに乗ると、荷台に襲撃者が積み込まれていることを思い出し、不安を感じる。


「親父、さっき自分を鑑定してみたらレベル3になってた。あと鑑定スキルが増えてた」


「自分の欲に沿った行動でレベルアップするぞ。スキルもその系統で出やすいが、基本の戦闘スキルくらいなら鑑定系でも獲得できる。鑑定系がダンジョンに向かない理由わかったろ」


(なるほど)


俺は新しく手に入れたスキルを使ってみる。

「隠密鑑定+クイック戦闘鑑定」

3秒だけ親父を見た。


ウィンドウが出るが、親父のステータスに変わりはない。


「親父、なにか違和感ある?」


「ん、何がだ?」


(隠密鑑定は親父でも気づかないのか、これは使えるかもしれない)


「そういえば開示不可って何?」


「レベル差だろう、俺も高レベルの鑑定系にわざわざ頼んでる。そいつはスキルまで見れるが、その分金がかかる。最後に頼んだのは何年前か…」


荷台から物音がする。


「うぉっ!?今、俺安全?」


「あぁ」


「何でこいつ襲ってきたんだ?こいつ本部に連れてってどうするんだ?」




「……………………………。」


親父は話す気がないみたいだ。

重い空気に耐えかねて、俺は口を開く。


「ていうか親父、ダンジョンの管理人だったんだな」


「母さんから聞いたのか?ただの管理者じゃないぞ、S級管理者だ、凄いだろ?」


(いや、なにがすごいかわからん、ダンジョンの情報は未成年には情報規制されてるし)


(S級管理者ってことは未成年の俺でも入れるようにしてくれるかも?)


テンションを上げ返答する。


「すげぇ!マジかよ!親父がS級!ダンジョンに連れてってくれない?」


「いや、ダンジョンの情報知らないんだから、S級が凄いとかお前にはわからんだろ」


「引っ掛けてくるなよ」


浅はかな考えはすぐにバレた。


「お前のダンジョンに行く目的はなんだ?遊び感覚で行くと死ぬぞ」


(死ぬのか…単純に面白そうって理由もあるが、それより予知夢のことを言うべきか……いや、まだ勘違いかもしれない…ダンジョンに行けば何か手掛かりが掴めるかも…)


どう言うべきか迷ったが…嘘ではない、本心も少し混ぜて答える。


「家族を守れるくらい強くなりたい」



しばしの静寂。




「そうか」


「それにしても、ダンジョンに行きたいと言い出すと思っていた。拒否したところで、どうせお前は勝手に一人で行くだろう。俺と一緒の方が安全だ。今日学校終わりに一緒にダンジョンに行くぞ、1階層までだがな」


「ありがとう!」




信号待ち、親父がふと聞く。


「今日何回スキル使って鑑定した?MPはスキル使うと減って、0になると気絶するぞ」


「マジか」


「ちょっと待ってろ」

アタッシュケースを探る親父。


「あった。MPポーションだ、飲め」


赤黒い液体が入った小瓶を渡される。



「これ飲んで大丈夫なやつか?」


瓶の蓋を開ける。

臭い。


「好き嫌いする子は強くなれないぞ」

親父は顔を背けて言う。


車のドア窓に反射する親父の顔はにやけていた。


(こいつ、わかってて…)


赤黒い液体を一気に飲み干す。

青汁を焦がして凝縮したような味が口に広がる。

思わず吐きそうになるが全部飲み干す。


「おえっ、まずっ!」

思わず、吐きそうになる。


「今飲ませたのがMPポーション小だ、効果が上がるにつれ味も酷くなるからな」


「これ以上に!?」




学校到着。ホームルームには遅刻確定。

急げばテスト開始10分前には間に合うが、MPポーションの後味で吐きそうだ。途中で水道に寄り口を洗い流す。


だいぶタイムロスしたが、テスト開始5分前にクラスにつく。


「はぁ、間に合った」


幼馴染の雛が笑顔で手を振ってくる。

手を振り返す俺。



「遅刻よ、後で職員室にきなさい」


担任の美人先生は俺に厳しい。


(嫌われてるんだろうか?そうだ!隠密クイック日常鑑定!)


対象"美園 咲"

欲落ち:性欲 (Lv.5)

現在の欲:口説かれたい

好感度:85


(ん?なんだこれ?)


「早く席に着きなさい」


(口説く?難しいな…)


とりあえず適当に言ってみる。


「すみません。つい先生に見とれちゃってて」


そう口にした瞬間、彼女のステータスが変わる。


欲落ち:性欲 (Lv.8)

好感度:98

現在の欲:結婚して子宝に恵まれ、おばあちゃんになっても手を繋いで散歩したい


(怒られるより、やばいかもしれない...)


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