第九話:第三砦防衛戦 其の漆
※読者の皆様へ
本作には一部、戦場における暴力描写・残酷な表現(流血や部位の損壊など)が含まれます。苦手な方はご注意のうえお読みください。
ギギギギギ……ッ!
地響きのような重低音が戦場に轟いた。
大鉄門の重い鉄鎖が突如外され、見上げるような巨門が、ゆっくりと内側へと引き開かれていく。背後の安全基地であったはずの扉が開いたのだ。
「なっ……門が開く……!? なんでだッ!?」
「脱出か!? 逃げろってことなのか!?」
パニックを起こした一般兵たちが困惑の声を上げる。だが、その混迷を切り裂いたのは、怒りに狂った土蜘蛛の咆哮だった。
「——ギシャアアアアアッ!!」
開かれた巨大な隙間を目にした土蜘蛛が、猛然と地を蹴った。
黒漆の胴体を滑らせ、無数の多脚で泥を抉りながら、大鉄門の通路へ向かって一直線に爆進してくる。
副部隊長が部隊長に叫ぶ。
「剛造!!!なんだこれは!!!!!」
「知らん!!伏せろッ! 退避ぃぃッ!」
遊撃部隊長——剛造の咆哮が響き渡る。
凛は反射的に甚平の襟首を掴み、ぬかるむ泥の中へと身を投げ出した。直後、頭上を風切り音とともに土蜘蛛の巨大な胴体と多脚が通過していく。間一髪、潰されるのを免れた前線の兵士たちが息を呑み、泥まみれになりながら激しく咳き込んだ。
「ハァ……ハァ……! なんだよ、あのバケモノ、勝手に中に入っていきやがったぞ!?」
甚平が怯えた声で叫ぶ。
土蜘蛛は開いた門の中、広大な砦の広場へと一瞬で躍り出ていた。
何が起きたのか理解できず戸惑う前線の兵士たちへ、壁上の武者走りから血相を変えた伝令兵が身を乗り出して叫んだ。
「遊撃部隊、聞こえるかッ! 作戦第二段階だ! あの蜘蛛を広場内へ孤立させる! 雑鬼どもを絶対に門の中へ入れるなッ!」
「——そういうことかッ!」
剛造部隊長が濡れた泥を払いながら立ち上がり、長槍を構え直した。隣では、副部隊長の蓮二が太刀の血を振り払い、冷たい笑みを浮かべる。
「おい蓮二! 門の正面を塞ぐぞ! あの大蜘蛛は砦の中で陣様たちが仕留める! 我らの役目は、雑鬼どもを中へ一頭たりとも通さんことだ!」
「合点、剛造! 一歩も引くな野郎どもッ!」
蓮二副部隊長の威勢の良い声と、武者たちを率いる剛造隊長の背中に、前線の兵士たちは鼓舞される。自分たちが果たすべき真の役割——大鉄門が開かれた理由を理解したのだ。
「雑鬼を中に入れるな! 門前で食い止めろぉぉッ!」
蓮二の太刀が美しく閃き、開いた大鉄門へとなだれ込もうとしていた先頭の雑鬼の首を斜めに刎ね飛ばす。
「甚平、立つんだ! 門の脇を固めるぞ!」
凛の叫びに促され、甚平も折れた柄の先の短刀を必死に突き出し、群がる雑鬼の胸を穿つ。凛は殺到する鬼どもの攻撃を見切り、最小限の体さばきで滑り込むと、剛造や蓮二の隙を補うように門前へ押し寄せる雑鬼の喉元と膝裏を正確に切り刻んでいく。
土蜘蛛が侵入した大鉄門は未だ開放されたまま、その暗い口を開けている。
その背後、広場の中からは、すでに土蜘蛛の猛威とそれに応戦する砦内の怒号が響き始めていた。
「抑え込め! 門を死守せよッ!」
門前は、土蜘蛛を孤立させるための凄惨な人間防波堤と化した。
このとき,砦の全弩砲が土蜘蛛に向かっていた。
(第九話 完)
読んでいただき感謝感激です!!!!!!!!!!!!
AIをふんだんに使用していますが
これからも「桃太郎を継ぐ者たち」をよろしくお願いします!




