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転生ヒロインの被害者の会  作者: 紡里


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8/12

ヒロインは頑張っている(後編)

 とある休日。

 市街地を歩いていたら、噴水の側に座っている騎士見習いのブライトを見かけた。


 学校の中庭でのイベントが、場所を変えて起きたんだ。

 この時期、彼は優秀な弟に劣等感を抱いて、苦しんでいるはず。

 同年代で考えたら、充分強いのに。


 だから、ヒロインの励ましが必要なのよね。

「ブライト。大丈夫? 元気ないみたい」

 うふふ。

 キュンキュンするでしょ?


 ちゃんと台詞通り言えたから、よし。

 これで生きる希望ができて、彼は覚醒していくはず。


「君は、一体、何がしたいんだ?」

 ん? こんな台詞あったっけ?


 もしかして、私を好きになっちゃいそうだけど、ヘンリーのことを思って身を引かなくちゃと葛藤しているのかな。

 忠誠心と真実の愛。

 悩むよね、苦しいよね。


 でも、今はどちらを選ぶとか言えない。

 そこまで親しくなっていないもん。


 いけ好かないラルフを除外した時点で、逆ハーレムルートはなくなった。


 だから、わたしは残ったみんなを大切にしてあげたい。

 苦悩から救ってあげる。

 どんと来い、だよ。


「みんなを幸せにしたいだけ。えへっ」

 可愛く見える角度を意識しながら、ブライトにウィンクしてあげた。




 そして、第三王子ヘンリーの命の危機。

 毒蛇に噛まれるイベントだ。


 蛇の毒なんて怖いよね。

 だけど、森で野外実習なんていうイベント。

 いつ、どこで開催されるのか。

 同じ学校じゃないから、情報が入ってこないんだよ。


 学院の生徒じゃない私には、イベントの発生場所なんてわからない。

 学院へ一緒に見学に行った子には、距離を置かれている。学院長にお説教されたから、わたしの印象が悪くなったよね。


 ヒロイン特有の能力があるんじゃないかと期待したけど――あったね。

 苦しいときのヒロイン頼み。


 王都に近くて蛇が出そうな森。

 それに学院が野外実習に使うなら、広い野原と水が必要。

 そう考えて、場所を推理した。

 そうしたら一発でビンゴ。

 やっぱりヒロインは強運だね。


 それに、農家のおばちゃんから教えてもらった民間療法も、馬鹿にできないよ。

 おばちゃんにもらった飲み薬で、ヘンリーのピンチを華麗に回避できたもん。


 アルバイトでお小遣いも稼げたし、一石二鳥だね。

 ヘンリーがお礼を言いに会いに来てくれるかもと、ちょっぴり期待した。


 それなのに、感謝されるどころか、怖い顔をしたおじさんたちに根掘り葉掘り話を聞かれた。

「なぜ、ここにいた?」

「誰の指示だ?」

「その薬は、どこで手に入れた?」


 なんか、疑われてる?


 知らないよ。ゲームで知っていただけだもん。

 幸せになる前の、不幸を積み重ねるターンか。

 う~ん。盛り上がりに必要だとわかっていても、実際に味わうと辛いなぁ。


 とぼとぼ農家に戻ったら、おばちゃんたちに叱られた。

 どこに行っていたんだって。

 アルバイト料も減らされた。

 現実は、ヒロインにも厳しい……。


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― 新着の感想 ―
うーん頑張ってるし、王子を助けたのは本当。でも周りを恐怖の谷に突き落としてますね。
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