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46歳おっさんの形意拳が、異世界でチートになった 〜魔法も剣も届かない究極の拳法で、第二の人生を無双する〜  作者: 九条竜二


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第81話:アウトローズ・クラウンからライズアップ③


バッドとシド、そしてサーベルを手にしたゼノンとギノンの四人は、廃屋の店の外へ出た。


外には二十人から三十人の男たちが、半円を描くようにして待ち構えている。どれもスラム特有の、殺気立った目をした連中だ。

その集団の真ん中に、一人の男が立っていた。


派手な赤いマントを羽織り、肩まで伸びた長髪を揺らしている。色白の顔には、こちらを小馬鹿にしたような、張り付いた笑顔が浮かんでいた。男は腰に、赤と黒の鞘に収められた剣を携えている。


先ほど扉を蹴り破ってきた男が、バッドとシドを指差して声を張り上げた。


「こいつらですよ。グリズさんをやったのは」


男たちの視線がバッドとシドに集中する。赤いマントの男、シャルナは、その視線を遮るように一歩前に出た。


「おやおや、ちょうど良かったです」


シャルナは芝居がかった動作で一礼し、再び不快な笑みを浮かべた。


「ギノンさんとゼノンさんの、お仲間だったのですか? 初めまして、シャルナです」


一息おいて、シャルナが二人を見据える。


「でっ?(シャルナは首を傾げた)ギノンさんもゼノンさんも、子供の遊びみたいに隠れてないで、私と一緒にここを国するために力を貸してくれませんか? お二人の力なら幹部待遇で迎えますよ」


バッドが鼻で笑い、シャルナを正面から見据えた。


「お前か?(バッドは一歩前へ出た)このアウトローズ・クラウンを国にするとか、アホな事言ってる奴は?」


シャルナの笑顔がピクリと止まり、値踏みするようにバッドを見た。


「誰ですか? 貴方は?」


「俺はバッドって言うんだよ」


「ああ! 前にここで有名人だった人ですよね?(シャルナは思い出したように手を叩いた)話に聞いた事はありますよ」


シドが周囲を警戒しつつ、静かに問いかける。


「何故ギノンとゼノンにこだわる? ほっとけばいいじゃねえか」


シャルナは肩をすくめ、周囲の男たちと顔を見合わせた。


「私達の仲間でもないのに、やりたい放題されても。ほっといて欲しいなら、頭を下げればいいんですよ(シャルナは声を上げて笑った)。あははは! 僕達怖いからイジメないで下さいって」


ゼノンとギノンが武器を握り直し、同時に声を荒らげた。


「ふざけんなよ!」


シャルナは笑い声を収め、芝居がかった溜息をついた。赤いマントの裾を払い、一歩踏み出す。


「よく言いますよ。追い込まれて逃げ回ってるじゃないですか。貴方達二人は力があるから、部下にしてやると言ってるんです」


バッドが首を傾げ、呆れたようにシャルナに問いかけた。


「お前さぁ、ここを国にするとか言ってるけどさ、具体的にどうするの? 王宮はそんなの絶対に認めないぞ」


シャルナは空を見上げ、両手を広げた。その瞳には狂信的な色が混じっている。


「認めないなら、認めさせればいい(シャルナは拳を握りしめた)。王の首を取って。このアウトローズ・クラウンの、私に付いてくる人間は神に選ばれし戦士だ」


シドが一歩前に出て、シャルナを冷徹に分析した。


「お前頭大丈夫か?(シドは指を立てて数え始めた)ここの人口って一万ちょいぐらいだよな。その半数以上が普通に生活してる人達だよな? そうなると、その神の戦士か何か知らねえけど、戦力的に三千人ぐらいだぞ。それだけの人数で何が出来るの?」


シドの指摘に、周囲の男たちの間にわずかな動揺が走った。しかしシャルナの笑みは消えない。


「神の戦士の力をわからせましょう。グリズさんの敵もありますしね。バッドさんでしたか?」


シャルナは腰の剣に手をかけ、殺気を放った。


「今から貴方を殺します。そして次は隣りのお友達も。それとも、二人まとめて、私一人でお相手しましょうか?」


「面白えな、俺がやるよ」


バッドが剣を抜き放つ。鋭い金属音が響き、切っ先を真っ直ぐにシャルナへ向けた。


「俺が勝ったらゼノンとギノンから手を引けよ。見た事ある顔が何人かいるから、後ろのてめえ等にも言ってるからな」


バッドの低い声に、後方の男たちが気圧されたように沈黙する。


「余計な事すんな(ギノンは苦々しく吐き捨てた)。俺達の問題だよ」


シドは動じず、横目でギノンを一瞥して不敵に笑った。


「いいから見てろ。アウトローズ・クラウンより、生きてるって実感が出来る場所に俺とバッドが連れて行くから。まあ、焼き肉の給仕だけどな(シドはニヤリと笑った)」


「……はぁ?」


ギノンが呆けたような声を漏らした。隣に立つゼノンも、構えていたサーベルを握り直すことさえ忘れ、目を見開いて絶句している。

殺伐とした空気の中に、場違いな言葉が落ちた。

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